タイムスタンプとは?その仕組みと活用方法、法的な役割

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ITが発展する中、オフィスでは紙で保存されていた書類が次々に電子化されています。2018年にはスキャナ保存制度の規制緩和が行われたこともあり、ますますペーパレス化を推進する企業も増えています。
しかしその一方で、電子化された文書には、データ消失やアップデートなどによる閲覧トラブル、データの改ざんといったリスクがつきまといます。タイムスタンプは、こうした電子文書の信頼性、存在価値が問われる中で生まれた仕組みです。
今後の業務改善にとっても避けて通れないであろう「書類の電子化」。それに必須条件となるタイムスタンプとは、一体どんなものなのでしょうか?
今回は、タイムスタンプの具体的な役割や使い方について整理します。

タイムスタンプとは

企業にとって重要書類となる決算書や財務関連書類は「国税関係帳簿書類」とも呼ばれ、原則「紙での保存」が求められています。ですが、こうした書類を長期にわたり紙で保存することは、担当者には時間的・費用的な負担が大きくのしかかりやすいものです。書類を出力する時に発生する「出力コスト問題」、原本を保存する場所や保管方法などで起こる「保管コスト問題」、そして、いざ参照が必要になった際に検索作業にかかる「時間ロス問題」・・・このような業務における問題の改善、効率化を図るためとして、1998年には電子帳簿保存法が、2005年にはe-文書法が施行され、一定の要件を課したうえで電子化して保存することが法的に認められました。

しかし、文書を電子化して保存すると「データの改ざん」というリスクが伴います。これは電子データの持つ“コピーの容易さ”に由来するもので、文書を電子化するにあたり「電子文書が改ざんされていない原本であること(原本性)の証明」は重要な課題でした。そこで誕生したのが「タイムスタンプ」です。

タイムスタンプとは、簡単に言えば、電子化した文書の「原本性」を証明するために考案されたマークです。電子データと時刻を組み合わせて構成されており、タイムスタンプを付与されることで、その電子文書は「スタンプが付与された時刻から変更を受けていない」ことを証明されたことになります。
またタイムスタンプは、総務省の指針に基づいて一般財団法人日本データ通信協会が認定した第三者機関の事業者が提供しており、2019年4月現在日本では9つのサービスがあります。タイムスタンプに記載される日時は、日本の標準時刻を決める国立研究開発法人の情報通信研究機構(NICT)が配信する時刻を基準にしており、こうした点から、「電子文書がある時刻から変更を受けていない“原本”であること」を確認する手段として活用されています。

認定事業者のタイムスタンプサービスを利用するには、利用料が発生します。とは言っても、タイムスタンプ付与機能がある複合機や会計システムでは、タイムスタンプの利用費を含んだ契約料金が設定されているケースがほとんどですので、「改めて別料金を徴収される」あるいは「別契約を結ばなければならない」といったことはありません。
周知が遅れているだけで、タイムスタンプ自体は15年以上前から存在しています。「タイムスタンプサービスを受けたいために、新たに複合機やソフトウェアの購入・リースを検討している」というご担当者は、一度、現在使用しているソフトウェア、ハードウェアがタイムスタンプ付与機能を有するものか確認してみてください。その上でメーカーやベンダーに問い合わせるとスムーズです。

タイムスタンプ付与の仕組み

タイムスタンプは、「要求」「発行」「検証」という3つの過程で構成されています。

電子署名・認証・タイムスタンプその役割と活用の図
出典:総務省「電子署名・認証・タイムスタンプその役割と活用」より引用

「要求」とは、認定された事業者にタイムスタンプの発行を依頼することを指します。
保存したい電子書類の情報(ハッシュ値)を認定事業者に送ると、認定事業者はハッシュ値に時刻情報を合成して「その時刻にその内容で存在した」ことの証明書となる「タイムスタンプトークン」を利用者に返します。これが「発行」で、利用者は書類の原本とタイムスタンプトークンを保存しておくことになります。

しかし、この時点ではタイムスタンプトークンには、認定事業者によって鍵がかけられています。利用者が証明を求められた際は、認定事業者から鍵を受け取って、タイムスタンプトークンとハッシュ値とを照合します。これが「検証」となります。この照合で2つの情報が合致すれば、「電子書類はタイムスタンプ付与時から変更されていない」ことになります。

タイムスタンプの利用方法と電子帳簿保存法下での役割

では具体的にタイムスタンプ付与を受けるためには、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。
電子帳簿保存法のスキャナ保存制度において、領収書をスキャナ保存する際を例にしてみましょう。

レシートのイラスト
① まず、自書署名のある領収書を準備します。
(スキャナ保存制度で「領収書・請求書に署名」が義務づけられています)
スマートフォンのイラスト
② 領収書をスキャンまたは撮影します。
(2018年電子帳簿保存法が改正され、スマートフォンでの撮影が可能になりました)
アップロードのイラスト
③ 画像をアプリなどでタイムスタンプシステムにアップロードします。
タイムスタンプ
④ タイムスタンプサービスの認定事業者からタイムスタンプを付与されます。

タイムスタンプの付与が必要とされる書類は、電子帳簿保存法で「スキャナ保存」を認められている書類となります。適切な処理を行うには、どの書類にタイムスタンプを付与する必要があるのかも把握しましょう。

タイムスタンプの付与が必要な書類一覧

  • 資金や物の流れに直結・連動する書類のうち、特に重要な書類
    契約書、領収書など、またこれらの写し
    ※恒久的施設との間の内部取引に関して外国法人等が作成する書類で、これらに相当するものを含む
  • 資金や物の流れに直結・連動する書類
    預かり証、借用証書、預金通帳、小切手、約束手形、有価証券受渡計算書、社債申込書、契約の申込書(定型的約款なし)、請求書、納品書、送り状など、またこれらの写し
    ※輸出証明書や恒久的施設との間の内部取引に関して外国法人等が作成する書類で、これらに相当するものを含む
  • 資金や物の流れに直結・連動しない書類
    検収書、入庫報告書、貨物受領書、見積書、注文書、契約の申込書(定型的約款あり)、またこれらの写し

※国税庁「国税関係帳簿書類のスキャナ保存の区分」より抜粋

電子帳簿保存法には、「一般財団法人日本データ通信協会が固定する業務にかかるタイムスタンプを一定の入力単位ごとの電磁的記録の記録事項に付すこと」とあります。この要件を満たした電子文書は、法人税法で7年間の保存が義務付けられている領収書原本を破棄することが可能となります。
ただし、タイムスタンプ付与が完了しても、電子帳簿保存法の適用事務処理要件の1つである「定期的な検査」が終了するまで原本を破棄することはできません。

また、電子帳簿保存法の一部である「スキャナ保存制度」の要件では、領収書などの国税関係書類を電子化して保管する際は「電子化してから3日以内にタイムスタンプを付与する」ことが義務づけられていますので、注意が必要です。
「スキャナ保存制度」でタイムスタンプに関わる要件は下記の通りです。

■タイムスタンプの付与

領収書や請求書を受け取った人または作成した人がそれらを電子化する場合、領収書・請求書に署名をしたうえで3日以内にタイムスタンプを発行すること
※署名には、同じ証憑を別人が利用することを防ぐ意図があります。タイムスタンプの検証機能により、タイムスタンプトークンとハッシュ値が合致せず「無効」という判定が出るため、改ざんは必ず発覚します。

■入力者等情報の確認

領収書等をスキャンした担当と、この担当を監督する者を決めておくこと
※この場合の担当とは、タイムスタンプを付与して読み取り情報を保存した者を指します。

■適正事務処理

領収書受領からタイムスタンプ付与、承認までの工程は、相互けん制を行う意味でも2人以上で行うこと
さらに、1年に1回以上は入力担当以外が定期的に検査を実施すること
※万一不備があった場合は、報告・原因究明・改善案検討からなる再発防止体制を取っていることが必要です。これらが社内で整備されていることを申請書に記載しなければなりません。

その他の要件に関する詳細は、国税庁ホームページに掲載されているパンフレットPDF「電子帳簿保存法におけるスキャナ保存要件が改正されました」をご覧ください。

おわりに

現在では、医療分野での電子カルテ、製造業の図面、特許・開発分野においてはアイデアや権利の所在に関するもの、そして官公庁の文書まで、タイムスタンプは幅広く発行されています。一般財団法人 日本データ通信協会によると、2018年7~12月の半年間におけるタイムスタンプ発行数は130百万件、年次では2017年に177百万件だったのに対し、2018年には237百万件と、飛躍的に推移しているようです。(一般財団法人 日本データ通信協会「2018 年下期(7 月~12 月)における認定タイムスタンプ発行件数の アンケート調査結果の公表について」より)

繰り返しになりますが、長期にわたり紙の文書を保存する場合にはさまざまなコストが発生します。帳簿そのものはもちろん、それに関わる書類、その他証憑類まで含めると保存すべき文書が膨大な数になることは言うまでもありません。
「データの信頼性」を高めるタイムスタンプを活用してペーパレス化を進めることは、業務における様々なコスト削減とチェックの高速化・簡易化、業務効率のアップに繋がります。タイムスタンプは、これからの事業発展に欠かせないものとなりつつあるようです。

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