法定調書合計表の書き方と提出期限・提出先

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年末年始は、年末調整など気を抜けない業務がたくさんあります。その上、支払調書など各種法定調書の作成も、同時期に行わななければならないため、この時期は目の回る忙しさになっていることでしょう。
今回は、法定調書に添付が義務づけられている「法定調書合計表」の概要と書き方について解説します。
業務が立て込む時期だからこそ、ミスなくスムーズに進められるよう基礎知識をしっかり押さえておきましょう。

「法定調書合計表」とは? 〜概要・提出先・提出期限〜

「法定調書合計表」は、法定調書を提出する際に使用する書類の1つで、法定調書の種類ごとに「人数」「支払金額」「源泉徴収税額などの総額」を記載する様式になっています。

そもそも法定調書は、「所得税法」「相続税法」「租税特別措置法」「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」などの税法により、税務署への提出が義務づけられています。全部で60種類ありますが、そのうち以下の6種類については年末調整時に同時にとりまとめ、提出することになります。(詳しく知りたい方は国税庁ホームページを確認ください)
法定調書合計表はこのとりまとめの際に添付され、法定調書類の表紙のような役割を持っています。

<年末調整時にとりまとめる法定調書>

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 退職所得の源泉徴収票
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 不動産の使用料等の支払調書
  • 不動産等の譲受けの対価の支払調書
  • 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

上記6つの法定調書と法定調書合計表は、原則として支払いが確定した年の翌年1月31日までに所轄の税務署⻑宛に提出しなければなりません。

様式は、国税庁のホームページからもダウンロードできます。

給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(OCR帳票)
出典:国税庁リンクPDF「平成 年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(OCR帳票)」

提出方法は、書面、e-Tax(国税電子申告・納税システム)、法定調書の記載事項を記録した光ディスク等(CD、DVDなど)などから選べます。
ただし、法定調書の種類ごとに2年前の提出枚数が1,000枚以上だった場合、当年からe-Taxまたは光ディスク等を使用して提出しなければならないことになっています。
この法定調書の「電子申告義務化」は、2021年1月1日以降に提出する分から、要件が「1,000枚以上」から「100枚以上」に変更されますので注意が必要です。例えば、2019年に提出した法定調書が種類ごとに100枚以上になった場合、2021年の提出時からはe-TaxもしくはCD、DVDでの提出が必須になります。

また、法定調書を提出しなかった場合や偽りの内容で提出した場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金になります(所得税法第242条、地方税法第317条の4)ので、法定調書は正しくとりまとめて提出しましょう。

法定調書合計表の書き方 〜全6種類の法定調書のまとめ方〜

ここでは具体的に、法定調書合計表をどのように記載すればよいか、見ていきます。

まず、法定調書合計表にまとめる前に、法定調書にはそれぞれ提出範囲が規定されているので、提出対象をしっかりチェックしておきましょう。

■ 給与所得の源泉徴収票合計表の書き方・まとめ方

給与所得の源泉徴収票の提出対象は、以下のようになっています。

<年末調整をしたもの>

  • 1年間の給与等の支払金額が 150万円を超える役員
  • 1年間の給与等の支払金額が 250万円を超える弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、弁理士等(報酬として支払った分は除く)
  • 1年間の給与等の支払金額が 500万円を超える上記以外の者

<年末調整をしなかったもの>

  • 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出したが、1年間の給与等の支払金額が 2,000万円を超え年末調整はしなかった者
  • 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した退職者や災害等により源泉徴収の猶予を受けた者で、1年間の給与等の支払金額が250万円を超える従業員(役員の場合は 50万円超)
  • 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しなかった者(月額表・日額表の乙欄もしくは丙欄の適用者等)で、1年間の給与等の支払金額が 50万円を超える従業員

給与所得の源泉徴収票合計表の内訳は、用紙の「1」の枠に記載します。

給与所得の源泉徴収票合計表
  1. ① 1年間で給与等を支払った全ての人数と、そのうち源泉徴収をしない人数を記載します。「源泉徴収をしない人」は、給与所得の源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄の金額がゼロとなる人のことを言います。
  2. ② 1年間で支払った給与等の総額と、源泉徴収税額の合計額を記載します。
  3. ③ 給与所得の源泉徴収税額表(日額表)の「丙欄」を適用した給与等の状況を記載します。
  4. ④ 「給与所得の源泉徴収票」を提出する対象者の人数と支払金額、源泉徴収税額の合計額を記載します。

ただし、中途入社の従業員が前勤務先から受けた給与や源泉所得税額、また災害で被害を受けたなどで徴収を猶予された源泉所得税額は、②の各合計欄には含みません。しかし、前職の給与や源泉所得税額は、④の合計に含むことになりますので留意しておきましょう。

最下部の「災害減免法により徴収猶予したもの」欄は、「給与所得の源泉徴収票」の提出対象者のうち、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の規定により源泉所得税の徴収を猶予された方がいる場合に記載します。ここ数年、水害や地震による被害が各地で多発していますので、対象者がいないかのチェックも忘れずにしておきましょう。

■ 退職所得の源泉徴収票合計表の書き方・まとめ方

「退職所得の源泉徴収票」は、退職手当等を支払った全ての方について作成し交付することとされています。そのうち、税務署と市区町村へ提出しなければならないのは、受給者が法人の役員である場合に限られています。
役員とは、取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人、相談役、顧問等が対象となります。ただし、特定役員(役員等の勤続年数が5年以下)に該当する場合であっても、上記の役員に該当しない場合は「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」を提出する必要はありません。
また、死亡退職により退職手当等を支払った場合は、相続税法の規定による「退職手当金等受給者別支払調書」を提出することになるため、「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」を提出する必要はありません。

退職所得の源泉徴収票合計表は、「2」の欄に以下のように記載します。

退職所得の源泉徴収票
  1. ① 1年間で退職手当等を支払った全ての人数を記載します。
  2. ② 1年間で退職手当等支払った額の合計と源泉徴収税額の合計を記載します。
  3. ③ ① のうち、源泉徴収票の対象範囲となる「退職手当を受け取った役員」の人数を記載します。
  4. ④ ③で記載した人数に支払った金額の合計と、源泉徴収税額の合計を記載します。

ただし、③と④については、該当者がいない場合は記入しなくても構いません。

■ 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書合計表の書き方・まとめ方

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」(以下「支払調書」)は、所得税法第204条第1項、所得税法第174条第10号及び租税特別措置法第41条の20に規定されている報酬、料金、契約金及び賞金を支払った相手が提出の対象範囲となります。詳しい提出範囲は、OBC360°記事「経理担当者が押さえておきたい、支払調書の書き方・提出の手引き」を確認ください。

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書合計表は、「3」の欄に以下の通り記載します。

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書合計表
  1. ① 支払調書の提出範囲額を下回るため支払調書の提出を省略するものも含め、全ての報酬、料金等の合計を記載します。それぞれの支払い区分ごとに記載欄が分かれていますので、注意してください。
  2. ② 支払先が「個人」「個人以外」によって、分けて件数を記載します。「個人」には、フリーランスなどの個人事業主が該当します。「個人以外」は、法人などが該当します。通常は、支払先が法人である場合は源泉徴収の対象外となりますが、この支払調書合計表には、源泉徴収の対象ではない法人への支払い分を含めた合計数を記入する必要があります。「計」欄の「実」は、各欄を通じた実人員を記載します。
  3. ③ それぞれの支払い区分ごとに、個人・個人以外の区別なく、支払金額の合計、源泉徴収税額の合計を記載します。ただし、源泉徴収税額には、災害被害者に対する租税の減免や、徴収猶予等に関する法律の規定により報酬、料金、 契約金及び賞金に対する源泉所得税の徴収を猶予された税額は含みません。
  4. ④ ②の各合計数および③の各合計金額の中で、今回支払調書の提出を行うものの合計を記載します。

その他、②および③のうち国内の法人に対して「馬主が受ける競馬の賞金(金銭で支払われるものに限る)の支払金額等」がある場合は「所得税法第 174 条第 10 号に規定する内国法人に対する賞金」欄への記載が必要です。
また、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の規定により報酬、料金、契約金及び賞金に対する源泉所得税の徴収を猶予されたものがある場合は、別途最下部欄に記載します。

■ 不動産の使用料等の支払調書合計表の書き方・まとめ方

「不動産の使用料等の支払調書」の提出範囲は、法人が不動産、総トン数20トン以上の船舶、航空機の使用料や更新料、権利金等を支払った場合、同一人に対し年間支払金額の合計が15万円を超えるものが該当します。(ただし、不動産業者である個人のうち、主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的として事業を営んでいる場合は、提出義務がありません)

不動産の使用料等の支払調書合計表の記載内容は、以下の通りです。

不動産の使用料等の支払調書
  1. ① その年中に支払いの確定した全ての不動産の使用料等について、支払先の人員と支払金額の合計額を記載します。
  2. ② この合計表に添える「不動産の使用料等の支払調書」の提出先の人員と支払った合計額を記載します。

不動産の使用料等の支払いがなく、この支払調書の提出を必要としない場合は、その旨を「摘要」欄に書きましょう。

また、支店が支払った不動産の使用料等で、この支払調書を本店が取りまとめて提出する場合は、本店が提出するこの合計表の「摘要」欄に「当該支払調書を本店が取りまとめて提出する旨」「その支店の所在地、名称、対象不動産の種類」を記載してください。その際、支店が提出するこの合計表の「摘要」欄にも、「当該支払調書を本店が提出する旨」「本店の所在地」を記載するようにします。

■ 不動産等の譲受けの対価の支払調書合計表の書き方・まとめ方

「不動産の譲受けの対価の支払調書」の提出範囲は、法人が不動産、総トン数20トン以上の船舶、航空機に対し、売買、交換、競売、公売、収用、現物出資等で取得にかかる支払いを行った場合、同一人に対し年間支払金額の合計が100万円を超えるものが該当します。(ただし、不動産業者である個人のうち、主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的として事業を営んでいる場合は、提出義務がありません)

不動産等の譲受けの対価の支払調書合計表の記載内容は、以下の通りです。

不動産の譲受けの対価の支払調書
  1. ① 支払調書を提出しないものを含む、年内に支払いの確定した全ての不動産等の譲受けの対価、資産の移転に伴い生じた各種の損失の補償金について、支払先の人員数と支払金額の合計を記載します。
  2. ② ①のうち、「不動産等の譲受けの対価の支払調書」を提出した支払先の人員数と支払金額の合計を記載します。

もし、支店が支払った分の「不動産等の譲受けの対価の支払調書」を本店が取りまとめて提出する場合 、本店が提出するこの合計表の「摘要」欄に「当該支払調書を本店が取りまとめて提出する旨」「その支店の所在地、名称、該当不動産等の種類」を記載します。その際、支店が提出するこの合計表の「摘要」欄には、「当該支払調書を本店が提出する旨」「本店の所在地」も忘れずに記載しましょう。

また、以下の該当者が法律の規定に基づいて不動産の対価を支払う場合、その「事業名又は工事名」及び「買取り等の申出年月日」を「摘要」欄に記載しなければなりません。

  • 租税特別措置法第33条(収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例)に規定する特定土地区画整理事業等の事業施行者
  • 租税特別措置法第33条の2(交換処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例)に規定する特定住宅地造成事業等のための買取りをする者
  • 租税特別措置法第33条の 4(収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除)に規定する公共事業施行者

■ 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書合計表の書き方・まとめ方

「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」は、法人が不動産、総トン数20トン以上の船舶、航空機に対し、売買や貸付けであっせん手数料を支払った場合、同一人に対し年間支払金額の合計が15万円を超えるものが該当します。(ただし、不動産業者である個人のうち、主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的として事業を営んでいる場合は、提出義務がありません)

不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書合計表の記載内容は、以下の通りです。

不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
  1. ① 年内に支払いの確定したすべての不動産等の売買または貸付けのあっせん料について、支払先の人員数と支払金額の合計を記載します。
  2. ② ①のうち、「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」を提出した支払先の人員数と支払金額の合計を記載します。

「不動産の使用料等の支払調書」「不動産の譲受けの対価の支払調書」に記載して提出することによって、この支払調書の作成・提出を省略したものがある場合は、その支払を受けた者の人員、当該支払金額をそれぞれ「摘要」欄に記載します。
また、「あっせん手数料の支払がない」という理由でこの支払調書を提出しないものがある場合も、その旨を「摘要」欄に書いておきましょう。

もし、支店が支払った分の「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」を本店が取りまとめて提出する場合は、本店が提出するこの合計表の「摘要」欄に、「当該支払調書を本店が取りまとめて提出する旨」「その支店の所在地、名称、該当する不動産等の種類」を記載します。その際、支店が提出するこの合計表の「摘要」欄にも「当該支払調書を本店が提出する旨」「本店の所在地」を記載しましょう。

「法定調書の電子化」に備えて、今から対策を!

1枚1枚の法定調書を作成するのも非常に大変な作業ですが、法定調書合計表の作成も、源泉徴収分を含む額・含まない額を区分して書く必要があるなど、まとめるのに時間がかかるものです。ただでさえ忙しい時期だからこそ、こうした処理を的確かつスムーズに処理する対策も取っておいた方がいいでしょう。

今、市場には法定調書奉行のような法定調書作成システムがあります。煩雑な法定調書もシステムで管理すれば、書類の作成から合計表へのとりまとめまで一貫して行えるので、業務の効率化に大きく貢献できます。
特に、2019年に提出した法定調書の合計数が、2021年からの電子申告義務化に影響することを考えると、今からシステムで管理し、電子申告までスムーズに対応する体制を整えることも必要かもしれません。

行政においても、様々な手続きに対して電子化が進んでいます。いずれは全ての事業者に対して「法定調書の電子申告義務化」が行われる可能性も、当然考えられるでしょう。
2021年に義務化される企業はもちろん、近い将来の「電子申告全面義務化」に向けて、今から対策を検討しておくことをおすすめします。

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