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タレントマネジメントとは?目的やメリットと進め方のポイント

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タレントマネジメントとは?目的やメリットと進め方のポイント

経営環境の変化やグローバル化、労働人口の減少が進む日本において、いま「タレントマネジメント」が注目されています。
2019年4月には働き方改革関連法も施行され、企業には、国の定める働き方改革を実現しつつ収益を高める施策が急務となっています。タレントマネジメントは、そうした企業の課題を解決へと導く切り札とも言われ、企業規模にかかわらず経営課題の一つとして非常に重要視されています。
今回は、タレントマネジメントの重要性や、働き方改革と生産性向上の両立を実現する運用のコツをご紹介します。

目次

タレントマネジメントとは

「タレントマネジメント」は、従業員が持つ能力・資質・才能やスキル、経験値などの情報を一元管理し、戦略的な人材配置に役立てたり人材育成を行ったりする、マネジメント手法です。
1990年代、当時から人材の流動が激しかったアメリカにおいて「優秀な人材を定着させ、育成する」ことを生産性の向上につなげるために生まれました。

これまでの日本では、時代とともに成果主義・業績重視にシフトしながらも「新卒一括採用・年功序列・終身雇用」の考え方が主流だったため、人材の流動については深く重要視されてきませんでした。
職務ごとに目標を設定して均一的な考課基準で評価する人事評価制度が当たり前で、人材育成もマネージャーなど管理者の感覚で行われていたため、管理者の手腕に左右されることが多くありました。当然、「個人の能力」より「従業員が企業の理念や方針に合わせる」ことのほうが重視され、従業員の特性で人材配置を行うことも少なく、経営戦略において長い間「人材のタレント性」は重要とされてこなかったのです。

しかし、経済はグローバル化が加速し、日本も企業規模にかかわらず「世界とビジネスで戦う」ことを余儀なくされる時代に突入しました。テクノロジーの進化でスピード感もアップし、企業は日々激変する経済環境に迅速かつ的確に対応しなければなりません。
業務においても次第に専門性への要求が高まり、「スキルアップ」「ワークライフバランス」など個人の価値観が重視されるようになると、働き方自体も変化を始めました。多様な雇用形態、副業やフリーランスなど、様々な働き方が認められる中、より自身の価値観に見合った職場を求めて人材の流動性が激しさを増しています。

一方で、少子化による労働人口の減少によって、人材の枯渇状態はますます深刻化しています。採用市場は、毎年のように“売り手市場”と言われつづけ、人材の争奪戦が激化の一途をたどっています。
また、AIやIoTなどのテクノロジーにより「業務のデジタル化」が進み、多くの業務プロセスが見直され始めており、いま企業には「新たな人材の獲得」という課題の他に「業務の効率化によって発生する余剰人員をどう活かすか」という課題も突きつけられているのです。

ところが、従来の人材マネジメント手法では、こうした課題を解決へと導くのは非常に困難です。従業員のタレント性を可視化していないため、「経営戦略に活かせる人材がどれだけ居るか」「現状どんな人材が居るのか」「どんな人材が必要か」といったことが明確に見えてこないのです。
そこで注目され始めたのが、タレントマネジメントです。

タレントマネジメントが生み出すメリット

タレントマネジメントでは、従業員に対して理想的なキャリアパスや人材開発メニューを提供し、自らのキャリアの実現を支援することに重点を置きます。
そのため、タレントマネジメントを取り入れると、従業員の能力や才能、特性といった「タレント性」がつまびらかになり、企業は経営戦略の実現に向けて最適な人材を最大限に活用する“適材配置”ができ、目標達成のために多大なメリットをもたらします。また、経営戦略に必要な人材像に近い従業員を見つけやすくなり、より貢献度の高い人材=次世代リーダーに育成することも容易になります。
さらに、1人ひとりの目標に応じた評価軸が設けられ自身のキャリアデザインに即した育成サポートで、従業員のモチベーションを向上させ、優秀な人材の発掘や流出を防ぐことも可能になります。「この職場で働きたい」という従業員が増えることで職場環境もよくなり、生産性をさらに高めることにもつながるでしょう。

具体的には、タレントマネジメントの導入によって以下のような効果が期待できます。

<タレントマネジメントで実現できること>

●人材情報の“見える化”

タレントマネジメントでは、業務経験や配属履歴だけでなく、スキル、資格、性格、志向、嗜好などを可視化して一元管理します。自社にはどのような人材がいるのかが明確になり、優秀な人材を見つけ出しやすくなります。また、現在どの部署にどのような人材がいるか、組織のパフォーマンスも可視化でき、業務の特性と人材特性の合致度合いなども検証することができます。

●適正な人材配置によるパフォーマンスの最大化

タレントマネジメントでは、戦略的な人材配置を可能にします。人材情報をもとに業務との適性を判断し、根拠に基づいて人材配置を行うことができます。各々がもつ得意領域やスキルを活かせる配置を全社規模で行えば、人材のパフォーマンスを最大化することも可能です。新事業など新たな事業展開を行う際にも、必要な能力を有する人材を選出し、最適なプロジェクト編成が行えます。

●中長期的な人材育成・人材開発

タレントマネジメントは、人材情報をもとに研修やトレーニング計画など人材育成計画の整備にも役立ちます。目標設定によるパフォーマンス測定、評価に基づくモチベーションアップなど、社員のモチベーションを維持し、優秀な人材の流出を防ぐ「キャリアデザイン」設計も可能になります。
また、企業の中核を担う“次世代リーダー”の育成にも活用できます。「経営目標達成のため、従業員にどのような役割を担ってもらうのがベストか」を総合的な視点で捉え、将来を見据えた育成計画を立てやすくします。

●優秀な人材の採用と定着(離職防止)

従業員を適材適所に配置することは、彼らのパワーを最大限に活かすだけに留まりません。その成果を適正に評価することで、彼らの業務に対する意欲をさらに引き出すことにもつながり、結果として優秀な従業員の離職を防ぐことにもなります。
また、人材情報を分析することで自社に不足している人材領域を可視化できるので、現有する人材で補えない場合は、業務領域を絞って採用活動を行うことにも役立てられます。

●1人ひとりの生産性向上

従業員のモチベーション向上が生産性の向上に直結することは、周知の事実です。
適材配置が可能になると、従業員も自身の能力を最大限に発揮しやすくなり、存分に実力を発揮することができます。また、仕事に対して適正な評価を得られれば、自信にもつながります。さらに、本人も能力や業務経験を確認することができるので、足りない業務経験や今後必要になる能力など、自身を俯瞰的に見つめる機会を得ることもできます。積極的に能力を伸ばしたり開発したりする意欲につなげやすくなります。
このように個人のモチベーションを活性化することができると、1人ひとりの生産意欲が高まり、業績アップへとつながります。

タレントマネジメントを実現するための運用ポイント

では、これからタレントマネジメントを導入する場合、どう運用すればよいのでしょうか。

タレントマネジメントは、従来の“経営者視点”の人材マネジメントを“従業員中心”の考え方に切り替える必要があるため、導入は難しいものと思われているかもしれません。人を相手にする以上、「厳密な正解のフロー」はないのでは?」という意見も聞かれます。

初めてタレントマネジメントを導入する場合は、以下の4つのポイントをしっかり押さえて進めることが重要です。

① 目的・人材要件を明確化し共有する

タレントマネジメントは、人事戦略と経営戦略の両方に関わるものです。たとえ優秀な人材がいても、彼らの能力を活かせる組織・仕組みがなければ、充分なパワーを引き出すことはできません。タレントマネジメントの目的を明確にすることは、将来的な事業展開、経営戦略を共有することにもつながります。
まず、自社の戦略に立ち戻り、「経営や戦略にどう活かしたいのか」「導入することで何を実現させたいのか」を明確にします。経営層はもちろん、現場となる各部門の管理者まで、タレントマネジメントの目的を明確に共有しておくことが肝心です。
そして、目的を達成するためにはどんな人材が必要か、 “理想の人材像”となる人材要件を明らかにします。理想の人材像の要件は、業務経験や能力、資格などはもちろん、性格や価値観、志向、資質なども、具体的に“見える化”していきましょう。その際、「長期的に必要な人材」と「短期的に必要な人材」で具体化すると、それぞれ長期・短期にみる自社の戦略・経営目標の実現に欠かせない人材要件となります。
また、決めた目標に対して、取り組み対象となる部署や責任者の選定もしておきましょう。

② 現有の人材データをしっかり整備・分析する

タレントマネジメントでもっとも重要なものが「人材情報」です。企業の方向性や⻑期戦略に最適な人材配置、評価、処遇、育成、新規採用などを行うにも、まず現在どのような従業員がいるかを正確に把握しなければなりません。
現有の人材データを収集するには、各部署の保有する評価データなどを吸い上げる必要があります。従来の評価データでは、タレントマネジメントとして評価する項目が不足している場合もありますので、必要に応じて新たな評価軸を追加したり面談を行ったりして、詳細な個人データを収集しましょう。
データが整備できたら、「求める人材がどの部署にどのくらい存在しているのか」「算出された割合は自社の経営戦略上において充分なのか」などを分析し、目的に合わせた「活用」「開発」「育成」などの対象別に分類します。

③ 従業員育成プランを作成する

人材データを分析し、「活用」できる人材がいる場合は適材配置を実施します。必要な人材が不足している場合は、現有する人材の最大活用を最優先にし、まず「育成」プランを作成しましょう。
人材データの分析結果を基に、育成候補となる人材を抽出したら、人材要件やモデルとなる従業員とキャリアを比較検討しつつ、個人に合った研修や教育プログラムを設定します。育成プランは、短期で結果がでるものではないため、⻑期的な視点で育成計画を検討しましょう。
また、タレントマネジメントの目的や人材要件を基に、効果指標を設定し、評価測定・フィードバックの方法も検討します。効果指標、評価測定方法、フィードバックの方法については、本人やマネジメント側とも共有しておきましょう。本人が自分で目標設定を行えば、評価測定にも公平性が与えられ、本人のモチベーション向上にもつなげやすくなります。

④ 従業員育成プランをPDCAサイクルで運用する

対象となる人材が着実に人材要件を満たすモデル像に近づけるよう、育成プランをPDCAサイクルで取り組むようにしましょう。
タレントマネジメントはその性質上、短期的に売り上げが上昇するなどのビジネスへの直接的な影響が見えにくく、効果の測定が難しい面もあります。しかし、効果測定を行わなければ施策の評価も改善も行えず、成長の度合いも測ることが難しくなります。また、一定の成果が見えなければ、タレントマネジメントについて現場の理解やサポートも得にくくなる可能性もあります。各部署の協力を得ながら、セミナーや研修も含め長期的な視点で育成に取り組む社内環境を整えましょう。
それでも埋められないポジションが発生した場合は、改めて新規採用に向けた計画を検討します。

効率的な運用に、タレントマネジメントシステムの活用を

タレントマネジメントで“要”となるのは、人材情報です。人材データをいかに収集・整理し、分析できるかは、タレントマネジメントの有効性を大きく左右するものとも言えます。
この人事情報のデータベース化を軸に、優秀な人材の発掘や能力開発を統合的かつ戦略的に進めるためには、IT技術が欠かせません。そのため、タレントマネジメントを進める際は、システムやソフトウェアの導入とセットで考えられることが多くあります。

タレントマネジメントをうまく運用するためには、必要な人材情報を適切に管理・活用できるシステムが必要になります。また、人材育成においては個人の成⻑、変化を確認し続ける機能も重要です。タレントマネジメントでは、人材の育成レベルを定期的に診断・可視化すること、また更新情報も適切に収集し、育成度合いを把握しておくことも必要になるからです。

しかし、従来の人事管理システムでは、タレントマネジメントに必要なデータを管理できないという難点があります。人事管理システムの役割は、あくまで給与計算や人事業務のための人事情報管理が主であり、従業員のタレント性も含めたデータを管理する機能がないのです。

そこで活用したいのが、タレントマネジメントに特化した専用のシステム=タレントマネジメントシステムです。
これは、今注目されているHRテックの1つで、従業員のスキルや経歴をデータとして一元管理し、採用、育成・能力開発(研修管理、eラーニング、スキル管理など)、目標管理、評価・パフォーマンス(多面的調査など)、後継者管理、キャリア開発など様々な分野に活かすことができます。

現在、タレントマネジメントシステムはERPやクラウドサービスなど、様々なタイプがあります。特定の分野に特化したものから複数の分野に活かせるものまで、バリエーションも豊富です。操作性の難易度もコスト面も、ベンダーによって様々ですので、自社が果たしたい目的や課題、運用面での使い良さ、利用者の範囲などを検討し、自社のタレントマネジメントに合った最適なものを選ぶとよいでしょう。

例えば、OBCの奉行クラウドEdgeシリーズにも「人材情報化クラウド」「人材育成クラウド」「目標管理クラウド」と、目的に応じて3種類のサービスがあります。
「人材情報化クラウド」では、人材情報を「見える化」し、目的に合わせてピックアップできるサービスです。「人材育成クラウド」は「人材情報化クラウド」と同等の機能を有しつつ、人材育成計画、適材適所の人材配置プランまでサポートします。一方「目標管理クラウド」は、従業員に目標を明確にさせ目標達成に向けたサポートができる体制を整えるのに役立ちます。
このように、目的や課題に応じて選べるようになっているので、タレントマネジメントの運用に合わせて活用できます。

おわりに

人材は、歯車の一つではなく企業の財産(人財)です。現代の経営には、1人ひとりが活躍できる環境を作ることが企業の競争力・成長力を高める重要ファクターとも言えるでしょう。だからこそ、詳細な人材情報をデータベース化し可視化することで、従業員1人ひとりの持つ能力・スキル、過去の成果や業績、影響力や可能性までを含めた内容を皆で共有することが重要になります。

ただし、人材データを可視化するということは、内容によっては個人のプライバシーに深く入り込むことにもなります。そのことで反発を生む恐れもあるため、「なぜタレントマネジメントが必要なのか」「どのような成果が期待できるのか」を従業員に充分説明して理解を得ることも必要です。その際は、不必要な情報を収集しないことなどにも配慮しておくとよいでしょう。

タレントマネジメントは、長期的な視点で企業成長に貢献します。自社の目的・課題にあったシステムを活用しながら、人材の力を高め、個々のパフォーマンスを経営に活かせる環境を作っていきましょう。

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