「管理会計」とは?経理担当者が知っておきたい基礎知識とスマートに導入する方法

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会計業務の中でも管理会計は、業績測定・業績評価をするためには欠かせない重要な業務と言えます。経営状況や経営目標が明確になり健全経営に役立つと、管理会計を行っている企業も多いことでしょう。
しかし一方で、「財務会計をやっていれば充分」という声も聞かれます。そもそも、管理会計と財務会計はどんな違いがあるのでしょうか。
今回は、管理会計のメリットや業務内容に触れ、手軽に実行する方法についてご紹介します。

目次

「管理会計」とは? 〜メリットと「財務会計」との違い

管理会計の主な業務

管理会計にも対応した会計システムで無理なく始めよう!

おわりに

「管理会計」とは? 〜メリットと「財務会計」との違い

「管理会計」とは、自社の経営に活用するため、社内向けにまとめる会計のことを言います。株主や取引金融機関など社外の利害関係者に提出する「財務会計」とは異なり、経営判断に活用するために役立てられます。
経営に関する意思決定で最も重要なのは、「現在、自社がどのような状況に置かれているか」という情報です。迅速な意思決定を実現するためには、できるだけ自社の現状をタイムリーに把握しなければなりません。そのため管理会計には、現状の可視化だけでなくスピーディーさも求められます。

管理会計を行うメリットを整理すると、次のようになります。

● 会社の経営状態が明確になり目標や成長戦略が立てやすくなる

事業規模が拡大すると、部門別財務状況の把握、収益バランス、人員や資本、経営資源の配分などを検討する重要性も増していきます。しかし財務会計だけでは、「決算報告書の開示」を目的に作成されることもあって、こうした「経営課題の指標」として経営に活かすのは難しい面があります。
管理会計を行っていれば、月単位や週単位など社内ルールに従って経営状況を「見える化」できます。管理会計の情報を具体的な施策にしっかり活用していくことで、業務効率を上げたり的確な経営判断を行ったりすることが容易になるのです。
例えば、月次決算のように短い期間で業績を確認するルールにしておけば、経営の意思決定もより早くタイムリーに行え、適切な時期に適切な施策を立案・実行することができます。

● 部門ごとの業績・評価・改善が管理しやすくなる

管理会計を部門ごとに行うと、より具体的に「利益を出しているのはどの部門か」「苦戦しているのはどの部門か」などが見えてきます。現状を部門単位で把握すれば、時間利益目標やコストカット目標など現場ごとに適した目標も立てやすく、業績の評価・管理もしやすくなります。
また、管理会計の情報を現場に提供することで、現場担当の指示にも客観性が加わります。マネージャーはチームの事業戦略を見直すことができ、予算計画や事業計画、要員計画などにも役立てられるでしょう。根拠のある指示は説得力が増し、効率的なコストダウン策に繋げられる上に、現場からも自発的に経営改善に取り組む意識が芽生えやすくなります。結果として、現場・従業員の効率的な働きを期待できるようになり、コストカットと生産性向上で、さらなる利益増大も狙えるようになります。

「財務会計」は、金融商品取引法、会社法、素材法などの法律によって定められており、法令に準拠した会計基準に基づいて算出しなければなりません。
一方、管理会計は法令上「任意」となっているため、財務会計のように損益計算書や貸借対照表など書式が決まっている書類もありません。「社内で理解されればよい」とされているため、まとめ方や期間、必要な書類も企業ごとに異なり、中には「財務会計を見ればよい」と管理会計を行っていない企業もあります。
しかし、管理会計を行えば、部門別、企業全体の事業戦略を明確にでき、目標や目標達成に向けて全社一丸となって課題解決に取り組めるようにもなります。
法律に縛られた難しいルールもなく、自社の状況に合わせて自由にカスタマイズできるので、スピード感のある経営判断のためにも取り組むことが望ましいでしょう。

管理会計の主な業務

管理会計は、企業によって必要な情報をカスタマイズできるものですが、概ね「予実管理」「原価管理」「経営分析」「資金繰り管理」の4要素で行われます。

● 予実管理

予算管理は、年度ごとや中長期的期間で、予算管理とその情報を経営に活かすことを目的としています。
全社で目標を立て、各部門に分配したり実績と対比したりして部門の成果を管理します。一定期間ごとに予算と実績を比較することで、計画の進捗状況を確認することができ、遅れや苦戦が見られる部門にはテコ入れを行うなど、PDCAサイクルで管理することもできます。また、月次決算とあわせて把握することで、月単位で営業成績や経費状況を迅速に比較でき、次月の施策に反映するなど意思決定のスピードアップに繋がります。
予実管理は、Excelで集計・分析・管理を行っている企業が多く見られますが、会計システムの情報を出力してExcelで加工したり、各部門から収集した情報を独自のフォーマットに手作業で入力したりしていると、時間もかかりタイムリーな管理会計が行えません。勘定奉行クラウドの拡張機能「オリジナル帳票アセンブリ」のように、会計システムの情報をそのまま管理会計帳票のフォーマットで出力できるシステムを利用すれば、手軽に予実管理を行うことができます。

※予実管理の方法については、コラム「Excelでの予実管理はもはや限界!?スムーズに予算管理を運用するための方法とは」でも詳しく解説しています。

● 原価管理

利益を確保するには、製品やサービスにどのくらいのコスト(原価)がかかっているかを正しく知ることも重要です。原価管理は、原材料や部品のコストを計算するだけでなく、人件費、設備費なども算出します。正確に原価を把握することで、製品価値や利益に見合った価格設定を行ったり、損益や経営状況を把握したりすることにも利用できます。
原価管理では、基準となる標準原価を概算で設定し、製品完成時に実際に必要とした原価を計算して、標準原価との差異を分析します。標準原価と実際原価を比較することで、どの工程・材料を抑えるかなどの対策を立てやすくなり、売値や利益の適正化にも役立てることができます。
しかし、原価管理は正確性を問われるため、手作業では限界があります。効果的・効率的に行うには、勘定奉行クラウド[個別原価管理編]のような原価管理ができる会計システムがあれば、手間のかかる間接費配賦も自動化でき、正確な原価管理を簡単に行うことができます。

※原価管理の方法については、コラム「【経理担当必読】プロジェクト別の原価計算・原価管理業務の負担を軽減する方法とは?解決の鍵はシステム選びにあり!」も参照ください。

● 経営分析

業績を分析し評価することは、管理会計でもっとも重要な業務とも言えます。
どのような経営分析が必要かは、企業規模や業種・業態などによっても変わりますが、最低限見ておきたいポイントは収益性(損益)と安全性(資産)になります。
現状がどのくらい成長しているか(売上成長率や営業利益率)、現在の資本はどのくらいか(自己資本比率、当座比率など)は、あらゆる企業で分析しておきたい指標です。
特に収益性については、財務会計では売上総利益、営業利益、経常利益、当期純利益などが重要な指標となりますが、管理会計では「限界利益」が重視されます。
限界利益とは、売上高と変動費の差のことで、損益分岐点の分析時に出てくる、全ての固定費を回収できる地点を示す管理会計上の指標です。
例えば、1つの商品を200円で仕入れ、250円で販売するとします。単純に考えると50円の利益ですが、その中には人件費や広告宣伝費などの変動費も含まれています。こうした変動費が高ければ、限界利益は低くなり、そこから固定費を引いてマイナスになると、「利益で固定費を賄えていない」ことになります。
限界利益を出して損益分岐点を求めると、利益を生むために必要な売上高も把握できます。損益分岐点や収益性分析で、しっかりと確認することが重要です。

● 資金繰り管理

損益計算書では利益が上がっていても、キャッシュフロー計算書では収入にはならないため、利益が上がり黒字化していてもキャッシュが足りない・・・ということがあります。
資金繰り管理では、日々の入出金を管理することで現金の流れを把握し、資金の過不足を調整するなど経営の正常化を図ります。入出金情報を適切に把握できると、現在の財務状況だけでなく、運転資金の状況を踏まえて将来の資金需要も予測することが可能になります。
資金繰り管理は、Excelで資金繰り表を作成している企業も多くありますが、別のExcelデータで管理されている債権債務情報や会計システムの情報を見ながら手入力で更新するのは大変です。債権債務情報を連携して資金繰りシミュレーションもできる会計システムがあれば、簡単に資金繰り管理も行えます。

※資金繰りの方法については、コラム「【必読】「債権債務管理」は資金繰りの不安解消のカギ!中小企業の「資金繰り」改善のコツ」「リアルタイムですぐに作れる!会社を支える資金繰り表の作り方!」でもご紹介しています。

管理会計にも対応した会計システムで無理なく始めよう!

管理会計では細々とした集計や分析作業が多くなるため、「経理担当など現場の負担が増える」と言われがちです。管理会計に必要なデータのほとんどは、会計システムですでに管理されています。しかしそれだけではなく、例えば顧客別・部門別の売上情報など、各部門で管理されている情報も必要になるためです。
多くの企業では、これらの情報をExcelで作成した管理会計用のフォーマットに手入力して、表計算などの作業を行っています。そのため、どうしても集計作業に時間を取られることになり、経理担当者の負担が増大することになるのです。
また、手入力作業があると、入力ミスなど人的エラーも起こりやすくなりますが、管理会計は外部報告用の業務ではないため、チェック機能も甘くなりがちです。公認会計士や税理士に確認してもらう方法もありますが、適切に分析できているかの判断は企業が自ら行わなければならず、経営者が満足のいくレベルで管理会計を行えているケースは現実的にそう多くはないでしょう。

管理会計を負担なく行うには、簡単に経営シミュレーションができるシステムやクラウドサービスがおすすめです。企業情報を一元管理するERPシステムなどでも管理会計を行うことができますが、そこまで大がかりな仕組みがなくても、管理会計もできる会計システムがあれば日々の経理業務の延長上で業務に取りかかることができます。
例えば、勘定奉行クラウドの「オリジナル帳票アセンブリ」を利用すれば、経営層の「こういう視点で見たい」という内容に応じて帳票フォーマットを設計し、勘定奉行クラウドの会計情報をもとに自動で作成することができます。ボタン1つで見たいフォーマットで帳票を作成してくれるので、会計システムのデータをExcelに再入力して加工をするという手間がなくなり、管理会計を手早く行うことができます。

おわりに

Excelで管理会計を行っていると、入力作業だけで相当な時間を費やすため、経営者には月の途中で経営状況を確認したくても経理に頼みづらい、といったジレンマが生じます。
しかし、会計システムで管理会計を行えれば、リアルタイムな情報を即座に入手でき、効果的な管理会計を実践することができるのです。
業務の負担を少なくし、効果的な管理会計を実施することで、タイムリーに経営判断を行い、企業の拡大・成長に繋げていきましょう。

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