わずか6ヶ月で2つの経営課題を解消した山本通産。
グローバル経営戦略の追い風となる海外7拠点の連結決算業務効率化に成功した5つの要因とは?
労働人口の減少や働き方改革、ダイバーシティ、DX、新型コロナウイルスと、ここ数年で企業が抱える課題は多様に増幅しています。こうした課題を解決するべく、今多くの企業で様々な業務のデジタル化が進められています。
しかしそうした業務の改善は、どうしてもフロントオフィス業務中心になりがちです。バックオフィス業務の対策はとかく後回しにされやすく、「ペーパーレス化」「脱ハンコ」がこれほど強く求められる時代になっても、「思うように実現できていない」という企業は多いようです。経営層や上層部からは「デジタル化で現状がどのように変化するのか」「効果よりも弊害が出るのではないか」など懸念する声もあり、半ばデジタル化を諦めている担当者もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、バックオフィス業務がデジタル化するとどんなメリットがあるのか、何から始めればいいかなど、バックオフィス業務の進化のカギとなる「業務のデジタル化」についてご紹介します。
目次
- 「業務のデジタル化」は“車の自動運転”さながら!
- <業務別>「業務のデジタル化」で得られるメリット
- 「業務のデジタル化」検討・導入の進め方
- 「業務のデジタル化」は時代の要請!選ばれ続けるためにも、できるところから始めよう!
「業務のデジタル化」は“車の自動運転”さながら!
バックオフィス業務における「業務のデジタル化」とは、これまで中心だった「紙」ありきの業務スタイルから、デジタルデータを使ってシステムが自動的に処理するスタイルに変えることを指します。
例えば、車の運転で考えてみましょう。
自動車業界で今進められているのは、「自動運転」です。自動車は、早く目的地へ移動するために利用する道具であり、それを操作する方法が“人の手”でも自動運転機能でも「目的地に移動する」という本質は変わりません。しかし、仮に自動運転機能で移動することができれば、人は走行中でもスマートフォンを操作したり同乗者と会話を楽しんだりと、運転以外のことをすることが可能になるのです。
2020年時点では、「無人で勝手に運転してくれる」自動車の登場には至っていませんが、自動ブレーキや自動運転技術などといった機能が搭載された自動車はすでに存在しています。こうした機能が、いわゆる自動車業界における「デジタル化」になります。
バックオフィス業務における「業務のデジタル化」も、実はこれと同じです。
これまでの業務のあり方は、「人がシステムを使って業務を動かす」ことが当たり前とされており、システムも「紙の書類にある情報を手入力する」ことを前提として設計・開発されてきました。
しかし現在は、金融機関の入出金情報など社外から入手できる情報がデジタルデータで提供されるように変化しています。社内の情報もExcelデータで管理されるなど、バックオフィス業務で取り扱う多くの情報がすでにデータ化されているのが実情です。
こうしたデータを活用し効率アップを図る手段として、クラウドサービスがあります。
クラウドサービスを活用して業務をデジタル化すると、自動車の自動運転機能のように業務を自動的に進めることができるようになります。例えば、デジタル化されたデータを取り込んで入力を自動化します。そこには手作業が発生しないため、業務スピードはもちろん精度も向上し、短時間で業務が完了することができます。つまり、担当者は「情報の入力」「チェック」「出力」という作業から解放され、別の業務に力を入れることができるのです。
業務がデジタル化するということは、「システムが人をアシストして業務を動かす」という業務スタイルへの転換・進化とも言えるでしょう。
<業務別>「業務のデジタル化」で得られるメリット
では具体的に、バックオフィス業務でデジタル化を進めると、業務のあり方はどのように変化するのでしょうか。ここでは、業務別に「業務のデジタル化」がもたらすメリットについて見ていきましょう。
経理業務がデジタル化したら・・・
経理業務で取り扱う情報のうち、日々の売上や仕入情報、入出金情報、Excelにまとめられた経費や支払一覧データなど、既にデータとして存在するものはたくさんあります。データ化されている情報は、多い企業で9割に上るほどです。
経理業務がデジタル化されると、こうしたデータを自動で取り込んで仕訳入力までできるようになります。手作業で入力する作業がないので人的な転記ミスもなく、精度アップすることは言うまでもありません。
また、普段は時間をかけてExcelで作成している支払管理表、月次報告書といった社内資料も、システムで管理している情報をもとに自動で作成できるので、大幅に作業時間を短縮できます。
クラウドサービスの情報は、税理士ともリアルタイムに共有できるので、税理士チェックによる「待ち」の時間がなくなります。時間をかけて大量の紙書類と格闘していた決算業務も効率化できるので、浮いた時間を会計データの分析や経営層への報告といったより付加価値の高い業務に充てることも容易になるのです。
さらに、電子申告にも対応できるクラウドサービスを利用すれば、会計データをそのまま利用して電子申告業務も簡素化できるようになります。
販売管理業務がデジタル化したら・・・
これまでの販売管理システムは、「納品書や請求書を出力する」ことが第一の目的だったため、一つの取引は線ではなく点で管理されており、受注は受注、売上は売上、というようにプロセスごとに手作業を行うのが一般的でした。販売管理業務がデジタル化されると、クラウドで受発注から入金・支払まで取引ベースでつなげて管理できるようになります。
例えば、受注・発注を一度に処理することも、受注データから売上計上や請求書の発行まで、データを二重入力する必要なくスムーズに処理することも可能になります。手間のかかる入金業務も、銀行の入出金データと自動連携し、入金消込や入金伝票の起票を自動化することができます。
特に最近は、在宅勤務やテレワークの普及などの影響でペーパーレス化が進み、郵送ではなくメールやWebで請求書を送ることもビジネススタンダードになりつつあります。市場でも請求書の電子データで送付するクラウドサービスが多く提供されており、こうした時流にもスピーディーに適応することができます。
人事労務業務がデジタル化したら・・・
人事労務業務は、勤怠管理業務に始まり給与明細の配付、年末調整業務、ライフイベントに合わせた各種届出の受理、行政手続きなど、入り口から出口まで全て「従業員情報」がベースとなっています。この情報収集のあり方がデジタル化するだけでも、人事労務業務において様々な業務の効率化が進められます。
例えば、結婚や出産などのライフイベントでは、従業員情報から雇用保険や社会保険など各種手続きが発生します。従業員から更新される情報をデジタルデータで受け取れば、届出書類もデータを用いて作成することができるので、ミスなくスピーディーに完了することができます。また、電子申請にも対応するクラウドサービスなら、窓口まで赴くことなく手続きを完了することも可能です。扶養手当など、従業員情報が更新されることによって見直される各種手当も、システム間の連携で自動処理され、適切な時期から給与に自動で反映されます。
手間のかかる年末調整業務も、デジタル化することで従業員から年末調整申告をデータで提供してもらうことができるようになり、入力から計算、源泉徴収票の作成といった作業時間が大幅に短縮できます。
他にも、最近は給与明細を電子データで従業員へ自動配信するクラウドサービスもあるので、印刷したり封入したりという一連の明細配付作業もなくなります。
業務がデジタル化できれば、新型コロナウイルスの感染拡大が止まない状況下でも遠隔で従来通りの業務が行えるので、少数精鋭でも従業員に対して適切な対応が可能となるのです。
<業務別>「業務のデジタル化」検討・導入の進め方
では、自社の業務もデジタル化することになった場合、どのように導入を進めるとよいのでしょうか。全ての業務をデジタルにしなければならないとなると、導入コストも心配ですし、「業務プロセスが変わるのでは?」「慣れるのに時間がかかるのでは?」と不安にもなるでしょう。
スムーズに、かつ無理なくデジタル化へと移行させるには、全てを一新するのではなく、自動化のメリットをもっともよく感じられそうな業務から徐々に切り替えていくことが肝心です。
まずは、次のステップを参考に、導入しやすそうな業務から始めてみましょう。
ステップ1
どんなことを実現したいか検討する
2020年秋に実施した「奉行クラウドフォーラム」で、参加された企業様を対象に「業務のデジタル化で実現したいこと」を尋ねると、様々な回答が寄せられました。しかも、業務ごとに優先度も異なっています。
しかし、一口に「業務のデジタル化」と言っても、「ペーパーレス化」「脱ハンコ」「入力の自動化」などデジタル化の目的は様々です。まずは、「何を実現したいか」を明確にしましょう。そうすれば、デジタル化のために必要な情報が集めやすくなります。
ステップ2
どの業務で実現したいか検討する
「デジタル化で実現したいこと」が定まったら、次に「実現したい具体的な業務」を検討します。
例えば、経理業務で「ペーパーレス化」したい場合、証憑の紙での管理をやめたいのか、行政手続きを電子化したいのか、請求書を電子化したいのかによって、システムに必要な機能は変わります。
デジタル化したい業務が多くて迷う場合には、デジタル化による効果や難易度でも検討してみましょう。例えば、毎日、毎月定期的に行う業務で、残業の要因にもなっているようであれば、デジタル化によって残業時間を減らすことも期待できます。
また、他部署の従業員にも影響しそうな業務よりも、業務担当者で完結できる範囲内から始めるほうが取り組みやすくなります。
ステップ3
デジタル化ツールについて調べる
デジタル化したい具体的な業務が決まったら、どのようなツールがあるか情報を収集します。
市場で提供されているクラウドサービスには、様々な業務に適したサポート機能があり、ベンダーごとに特徴を持っています。
ただし、闇雲に探しても目移りするばかりですので、導入事例などを確認するのもオススメです。事例で紹介されている導入効果や検討段階で留意した点などは、自社の導入においても有効な参考資料になります。
ステップ4
導入効果をチェックする
導入してみたいツールを絞り込めたら、自社にとってどの程度の効果が見込めるかをチェックします。その際、導入前と導入後の業務に費やす時間や経費などのコストについて、どのくらい削減が可能かシミュレーションすることも大切です。具体的な数値で把握できると、社内稟議を行う際の検討資料としても活用できます。
導入効果は、提供するベンダーに相談してみるのもよいでしょう。
※奉行クラウドの導入効果の算出について詳しくお知りになりたい方は、OBCへお問い合わせください。
ステップ5
機能や操作性をチェックする
導入にあたっては、実際の機能や操作性も確認しておきましょう。自社の業務に合ったもの、特に、従業員も利用するものは“誰でも利用しやすい”操作性のよいものを選ぶことが重要になります。
最近は、導入前にデモ画面が確認できたり、お試し期間を設けたりするベンダーも多くありますので、自社でも利用できそうか事前に確認してから導入しましょう。
「業務のデジタル化」は時代の要請!選ばれ続けるためにも、できるところから始めよう!
企業はこれまでも様々な業務の課題を抱え、そのたびに改革が求められてきました。特に2020年以降は、新型コロナウイルスの蔓延により在宅勤務やテレワークへ急速にシフトするなど、大きな“変化”を余儀なくされました。
2021年に新設されるデジタル庁(仮称)はデジタル化社会の実現を目指しており、政府主導で企業のDX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)推進をはじめ様々な業務のデジタル化が進められています。
しかし、フロントオフィス業務がどれほど最先端のテクノロジーを取り入れ、新しいサービスを採用しても、これを支えるバックオフィス業務が手作業のままでは、スピーディーで正確な処理は難しいでしょう。バックオフィス業務における「業務のデジタル化」は、もはや“時代の要請”でもあるのです。
クラウドサービスなどITを上手く活用することで、どのような企業でも「業務のデジタル化」は実現可能です。
変化の著しい時代だからこそ、企業の競争力を強化して「選ばれる企業」であり続けるために、できるところから確実に、デジタル化を進めてみませんか。
関連リンク
-
従来の業務を実現しつつ、自動化で生産性が上がる
クラウド財務会計システム 勘定奉行クラウドについて
-
受注・出荷指示・売上処理を自動化・省力化する機能を標準でご提供
クラウド販売管理システム 商蔵奉行クラウドについて
こちらの記事もおすすめ
OBC 360のメルマガ登録はこちらから!