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請求書の電子化による発行側・受領側のメリットとは 〜法的解釈やシステム選びのポイントも紹介

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テレワークの普及や業務のDX化が進む中、経理業務、特に請求書発行の電子化が注目を集めています。
2021年に「日本の経理をもっと自由に」プロジェクトが経理担当者1,000人に行った調査では、取引先に請求書の電子化に取り組んでほしいと思っている経理担当者は約9割に上ったそうです。経理業務が電子化することは、経済効果としても大きなメリットがあるといわれており、市場には様々なクラウドサービスも提供されています。
しかし、一方では「準備に手間がかかるのでは」「自社にとってもメリットがあるかどうか」「どのサービスがいいのか分からない」と躊躇する声も聴かれます。
そこで今回は、請求書の電子化について発行側・受領側から見た業務上のメリットや法的な注意点、導入時のポイントについて改めて解説します。

奉行Edge 請求管理電子化クラウド

目次

「請求書の電子化」とは

「請求書の電子化」は、請求書をPDFなどの電子データで作成し、Webやメールなどを使ってやり取りすることをいい、電子化された請求書は「電子請求書」「電子インボイス」などとも呼ばれています。

これまでは、紙の請求書でやり取りすることが通例でしたが、電子帳簿保存法によって電子データでやり取りすることも認められています。電子帳簿保存法では、電子化された請求書は「電子取引」とみなされ、次のような方法で受領した請求書データが該当します。

電子取引に該当すると考えられる取引
電子取引

もっとも標準的で扱いやすいのが、あとで編集や改ざんがしにくいPDFデータで、メールによって送付される方法が採られています。また、市場には請求書データの発行・送付ができるクラウドサービスも数多くあり、導入を進めている企業も増えています。最近は大手企業を中心に、紙から電子データで送付するよう切り替えを要望する企業も現れています。

電子化された請求書は法的に問題なし!ただし受領側は要注意

請求書の電子化を検討する際、法令上の注意点については気になるところでしょう。

発行する立場では、紙の請求書を電子データに切り替えたとしても法的な問題は特にありません。以前は、「電子化が難しい」とされた理由の1つに「押印ができない」ことが挙げられていましたが、2020年以降は行政手続きでも押印が廃止され、押印に法的な強制がないことが明らかになっています。そのため、押印のない請求書も国税関係書類として取り扱うことができます。
とはいえ、押印にはトラブル発生時の証拠としての価値もあるため、一部には電子印鑑や印鑑画像の貼付けなども推奨されています。押印廃止で取引先とのトラブルを回避するには、相手の合意の元で実施することが望ましいでしょう。

一方、受領する立場では、電子化された請求書は電子帳簿保存法に関係するため、国税関係書類として保存する際に注意が必要です。
電子帳簿保存法では、2024年1月1日以降、電子データで受領した証憑類はデータのままで適切に保存することが必要になり、保存にあたっては次の要件を満たすことが必須となっています。

<電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存要件>

  • 電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け
    ※自社開発のプログラムを使用する場合に限る
  • 見読可能装置の備付け等(ディスプレイやプリンタ等の備付け)
  • 検索機能の確保
  • 次のいずれかの措置を行うこと
    1.タイムスタンプが付された後の授受(発行側のタイムスタンプの付与)
    2.授受後遅滞なくタイムスタンプを付す(受取側のタイムスタンプの付与)
    3.データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステムまたは訂正削除ができないシステムを利用
    4.訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け
※参考:国税庁 「電帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」問9

「検索機能の確保」では、現在は改正電子帳簿保存法により「保存した電子請求書の検索に取引年月日・取引金額・取引先の3項目で検索できる」だけで良いとされています。
ただし、「令和5年度税制改正大綱」により電子保存において要件緩和がなされ、課税売上高5,000万円以下の場合は検索要件の全てが不要となる見込みです。(現行1,000円以下からの引き上げ)また、課税売上高5,000万円超であっても、取引年月日・取引先ごとに整理された電子データの出力書面の提出に応じられれば、検索要件は不要となり電子データで保存できていればよくなります。
さらに、システム導入が間に合わないなど、保存要件に従って保存をすることができなかったことについて相当の理由があると税務署長が認める事業者については、出力書面の提出およびデータのダウンロードの求めに応じることを条件に、要件を満たさず保存された電子データも認められることになります。
いずれにせよ、電子化された請求書を受領した場合は「電子データのまま保存する」ことが必要になり、かつダウンロードの求めに応じられる必要があるため、速やかに対応できるようなデータの保存方法を検討しておくことが肝要です。
「令和5年度税制改正大綱」の詳細については、コラム「法人に関する2023年税制改正のポイント」もあわせて参照ください。

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「請求書の電子化」が発行業務・受領業務にもたらすメリット

請求書を電子化すると、経理業務には様々なメリットが生まれます。
例えば、紙の請求書でやり取りすると、印刷や承認のために担当者が出社しなければならず、コロナ禍において社会問題となりました。そもそも日本は災害の多い国であり、BCP対策にクラウドの活用が注目されています。請求書をデータ化してやり取りするクラウドサービスは、全てWeb上で完結するため、出社しなくても業務を遂行できます。また、機密情報を安全に保管する観点からも、クラウドサービスを利用することには大きなメリットがあります。
他にも、業務を遂行する上で、発行側・受領側の双方に次のような効果も期待できます。

発行側のメリット

○発行にかかる経費や手間を削減できる
紙の請求書では、紙代・印刷代・郵送費・収入印紙代など、どうしても経費が発生してしまいます。電子データにしてメールなどで送信すれば、これらの経費は不要になり、紙の請求書では発生しやすかった印刷ミスや封入ミスなども起こりません。また、印刷・封入・宛名書き・切手貼り・投函・ファイリングなどの手間もなくなるため、業務の効率化が期待できます。
すでに、毎月月末や月初に大量の請求書を発行しているなら、請求書を電子化するだけで残業時間の大幅削減にもつながるでしょう。

○在宅勤務やテレワークでも請求書の発行作業ができる
自社の販売管理システムと請求書を発行するシステムがクラウドサービスに対応していれば、インターネットからいつでも・どこでもアクセスでき、自宅やオフィス外でも請求書の発行作業を行えます。災害時や緊急事態宣言などで出社しづらいときにも業務対応が可能です。

○請求書送受信の確認が容易になる
電子化された請求書は、メールなどで送ることになり、送信履歴が残ります。請求書発行システムの中には、「取引先がメールを開封したか」「web上の請求書をダウンロードしたか」が分かるものもあるため、請求書が確実に届いているかを確認することもできます。

受領側のメリット

○請求書の発行日に受領できる
紙の請求書の場合、発行してから到着までに多少なりともタイムラグが生じます。2021年に行われた郵便法改正で、以前より到着までに時間がかかるようになったため、請求書の締日直前に郵送されると支払処理が間に合うかを心配しなくてはなりません。
しかし、請求書を電子化すれば発行当日に受け取ることができます。また、記載事項に誤りがあった場合でも、速やかに修正版を発行してもらうことも可能です。

○請求書の保存や管理がしやすくなる
請求書の保存期間は、法人の場合原則7年とされていますが、紙で7年分の書類を保管するには、かなりのスペースを要します。
しかし、請求書をデータで受領できれば、オフィス内に専用スペースを確保する必要がなく、オフィスの省スペース化につながります。また、ファイル名などで簡単に検索できるので、確認したい請求書もすぐに見つけやすくなります。

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電子化された請求書をやり取りする際の注意点

請求書を紙から電子データに切り替える際は、次のような点に注意しておきましょう。

1.切り替えの際は双方の合意の上で
請求書の電子化には、取引先との事前調整が大切です。
昨今は多くの企業で業務のDX化が進められているものの、その進捗は企業によってばらつきもあるため、取引先が受け入れに難色を示す可能性は大いに考えられます。
自社は電子データで発行できても、受領側となる取引先が「紙保存」ルールになっていることもあるでしょう。また、電子化そのものに対して否定的な場合も想定しておかなければなりません。
また、自社は電子データで受け取りたくても、発行側となる取引先がすぐには対応できない可能性もあります。
電子化を受け入れてくれる取引先がどの程度あるか目安をつけておき、請求書を電子化したい旨、電子化に関する問合せ先、承諾の意思確認のための回答書などを取引先に送付し、事前に承諾を得るのが妥当でしょう。その際には、取引先にとってのメリットも提示するとよいでしょう。一方的な切り替えではないことに理解を得られれば、承諾されやすいでしょう。

2.複製・改ざんができない方法を採用する
請求書の電子化と言っても、どんな方法でもよいわけではありません。ExcelやWordなどで作成したものをそのまま送付すると、相手先で額面や名目を簡単に変更できてしまいます。必ずPDFなど改ざんできないフォーマットでやり取りすることが大切です。受領側として依頼する場合には、「PDFなどデータ改ざんができないフォーマット」と明示した上で対応を求めることが望ましいでしょう。
発行する際は、電子帳簿保存法に対応したクラウドサービスを利用すれば、データ改ざんができない方法として法的に認められた形式で請求書を発行できます。

3.専用のシステム導入は避けがたい
請求書を電子化するなら、発行側も受領側も、電子化に対応できる経理体制を整えておかなければなりません。例えば、Excelで作成した請求書を一件ごとにPDF化してメール送信する方法は、いくらPDFが電子発行に適しているといっても、発行枚数が多いほど業務負担が大きくなります。
電子化する最大のメリットは「手間の削減」ですので、より手間のかからない専用システムの利用が効果的です。
発行側なら請求書を電子発行できるクラウドサービスを、受領側も受け取った請求書の電子データから会計処理や支払処理ができたりデータを適正に保存できたりするシステムを検討するとよいでしょう。
ただし、安価なサービスでは期待する効果が得られない可能性もあるため、専用のシステムを導入する際は費用面だけで選ばないよう注意が必要です。電子化することで削減できるコストや紙の場合にかかる人件費などを勘案して、費用対効果からも最適なシステムを検討しましょう。

4.誤送信やエラー、セキュリティ面に注意する
請求書は機密性の高い書類にあたるため、誤送信などトラブルや外部からのアクセスを防ぐなどのセキュリティ強化も必要になります。
メールに添付して送信する場合は、請求書データにパスワードを設定し、データとパスワードを分けて送信するなどの対策が必要でしょう。他にも、送信前に別の従業員や責任者と宛先をダブルチェックする方法もあります。取引先とセキュリティ対策について確認し合うことも効果的でしょう。
請求書をweb上で閲覧・ダウンロードできる方法なら、誤送信に気づいた後でもアップロードした請求書を削除するなどの対応がとれます。発行用のクラウドサービスを利用すれば、インターネットに接続したパソコン上にデータを保存することなく、請求書を電子データで送信できるため、管理の手間や漏えいリスクの低下にもつなげられます。ベンダーによって万全なセキュリティ体制のもとで管理され、アクセスできる人数を制限することも可能です。

請求書の電子発行に適したシステム選びのポイント

請求書を電子化するにあたり、発行側が発行システムを選定する際に最低限押さえておきたいポイントは3つあります。

① 自社の債権データを活用できること
債権データをシステムで管理している場合、そのデータをもとに請求書を作成できれば、都度手入力する必要がなく簡単です。市場には、請求書を電子発行できる販売管理システムや債権管理システムも多く提供されていますが、システムを丸ごとリプレイスすると導入コストが嵩みやすく、稼働までに時間もかかります。
コストを抑えて電子化するには、現有のシステムと自動連携し、債権データから請求書を自動作成できるサービスがおすすめです。

② 電子帳簿保存法、インボイス制度、デジタルインボイスにも対応すること
先述したように、電子帳簿保存法で「電子取引」の電子データ保存要件が定められており、その措置の一つには「発行側によるタイムスタンプの付与」も含まれています。
発行側の対応は強制ではありませんが、取引先からタイムスタンプの付与を依頼される可能性もあることから、システム選定時はタイムスタンプ付与の可否も確認しておくとよいでしょう。例えば「JIIMA認証」を受けているかも1つの目安になります。
また、インボイス制度が開始されると、適格請求書発行事業者の登録番号や請求書への記載事項の変更なども生じます。さらに、デジタルインボイス(Peppol)も導入が予定されています。2023年1月現在は、デジタルインボイスに法的な強制力はない予定です。しかし、取引先から求められる可能性がある場合、導入を検討しているシステムがインボイス制度だけでなくデジタルインボイスにも対応予定とわかっていれば安心でしょう。

③ 郵送対応にも備えておくこと
請求書の電子化に承諾を得られない取引先には、請求書を郵送することになり、電子化された請求書でやり取りする取引先とは別途対応する体制が必要になります。
紙での取引が手作業で対応可能な件数での場合、「手作業が残っても大丈夫」と判断されがちですが、できるだけ業務負荷を軽減できる方法がないか模索することも大切です。市場には、取引先ごとに電子化された請求書と紙の請求書とを仕分けできるサービスも提供されているため、紙で取引する件数に応じて検討するのもよいでしょう。

奉行Edge請求管理電子化クラウドのようなクラウドサービスなら、これら3つのポイントを実現することが可能です。例えば、奉行Edge請求管理電子化クラウドでは、自社の販売管理システム等から出力される請求書をPDF化すれば、請求データとして簡単に取り込めます。PDF以外にも、CSVデータやAPIなどを使った連携にも対応するため、どんな販売管理システムや債権管理システムとも連携して利用できます。債権奉行クラウドを併せて利用すれば、データ連携で請求書の電子発行から入金処理、入金消込まで自動化して業務時間を大幅に削減することも可能です。

もちろん、JIIMA認証も受けており、デジタルインボイスにも対応予定なので、インボイス制度開始後の対応にも安心です。
また、印刷・郵送代行オプションにより、電子送付と紙の送付の運用を併用することも可能です。郵送代行を希望する請求書をワンクリックで選択するだけで簡単に依頼でき、郵送分も含めて自社の経理業務を最大限効率化できます。

※ 請求書を電子発行するシステムの選び方は、コラム「電子請求書でDXもペーパーレス化も実現!Web請求書発行サービスの失敗しない選び方とは」も参照ください。

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電子化された請求書の受領に適したシステム選びのポイント

電子化された請求書に切り替えたことで業務の手間が増えることは避けたいものです。特に、受領側としては、電子データで受領する以上、電子帳簿保存法に確実に対応できる環境整備が非常に重要になってきます。また、全ての取引先と電子化された請求書でやり取りできるわけではないため、紙の請求書でも電子データでも一様に処理・管理できる仕組みが欠かせません。

<受領後の対応をデジタル化しない場合の業務フロー>

※赤字の業務が追加で発生

2023年10月からはデジタルインボイスで受領する可能性もあることから、これからのシステムには、受領形態を問わず全てデータで運用できる機能が最低限必要になります。また、そのデータを活かして会計処理や支払処理まで丸ごとデジタル運用できる仕組みなら、受領後の経理業務を丸ごと効率化することも可能です。

例えば、勘定奉行クラウドの場合、証憑収集から会計処理、支払処理から電子帳簿保存法に基づくデータ保存まで、受領後の経理業務を丸ごとデジタル化することが可能です。AI-OCRで証憑データから仕訳や支払処理に必要な情報を自動でデータ化でき、仕訳入力も自動化できます。また、債務奉行クラウドのような債務管理システムと連携して支払予定表の作成や支払処理、消込なども自動化し、手作業を削減できます。
電子帳簿保存法にも完全対応しており、奉行クラウド内に適正に保存・管理されます。上長承認後、証憑データにタイムスタンプが自動付与されるため、取引先でタイムスタンプが付与されていなくても法令違反の心配はありません。保存されたデータは、自動でリスト化され、日付・金額・支払先でいつでも検索やダウンロードができます。

さらに、奉行Edge支払管理電子化クラウドのような、あらゆる基幹システムと連携して請求書の回収から支払管理、仕訳の連携、証憑の保管まで行えるサービスなら、現有の会計システムをリプレイスすることなく受領した請求書の処理業務を自動化することも可能です。

※ 奉行Edge支払管理電子化クラウドは2023年春リリース予定です。

※ 請求書受領後の業務の効率化については、コラム「請求書の受領から支払いまでの業務を効率化する方法とは?」も参照ください。

おわりに

請求書の電子化が進めば、その経済効果は1兆円にのぼるという試算もされています。
毎月発生する請求書の発行や処理などは、取引先が多いほど業務負荷は大きくなります。デジタル社会となった今こそ、経理業務の効率化・軽減化を図るためにも、請求書の電子化を進めてみてはいかがでしょうか。

奉行で請求業務をかんたんペーパーレス化
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