[2020年・電子帳簿保存法改正]スキャナ保存制度も利用して業務の効率化を加速させよう!

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2020年10月、改正電子帳簿保存法が施行されました。コロナ禍で在宅勤務/テレワークが働き方の主体となりつつある中で、今回の改正でますます利用しやすくなり、オフィス業務改善への期待も寄せられています。
今回は、2020年に施行された電子帳簿保存法の改正内容を中心に、スキャナ保存制度や簡単にできる運用方法をまとめてご紹介します。「まだハードルが高い」と思っておられる方は、ぜひご参照ください。

目次

<電子帳簿保存法>2020年度の改正内容とは

スキャナ保存制度を利用すれば紙の領収書もデータ保存OK!

制度を利用するなら税務署への申請を忘れずに!

電子帳簿保存法対応の会計システムなら簡単に要件クリア!

おわりに

<電子帳簿保存法>2020年度の改正内容とは

電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿書類を電子データで保管することを認める法律です。7年間(一部の書類は10年間)の保存が義務づけられている国税関係の帳簿書類は、これまで紙での保存が「当たり前」でしたが、税務署長の承認を受ければ電子データとして保存できるようになります。
1998年の施行以来、時代に合わせて少しずつ要件緩和されている電子帳簿保存法ですが、今回は主に電子取引に関する要件が緩和されています。

電子取引は、通信手段を問わず「取引情報の授受を電磁的方式により行う取引」と定義されています。そのため、EDI取引や電子メール、クラウド等を介して授受する取引、インターネットサイトで受発注を行う取引など、様々な手段が該当します。
本来、電子帳簿保存法の適用を受けるには税務署長の承認が必要になりますが、実は電子取引に関しては、一定の保存要件を満たすことを条件として「申請不要」で利用することができます。(電子帳簿保存法第10条より)
電子データで受け取った請求書などをそのまま保存するには、「データの受領後遅滞なくタイムスタンプを付与する」か「改ざん防止等のための事務処理規程を定め運用・備付けを行う」かいずれかの措置が必要です。特にタイムスタンプの付与については、これまで発行側で付与しているか否かにかかわらず、受領側で「概ね3営業日以内」にタイムスタンプを付与しなければなりませんでした。
今回の改正では、この保存方法の選択肢に以下の2つの方法が加わることになりました。

4 電子帳簿等保存制度の見直し

(国 税)
国税関係帳簿書類の保存義務者が電子取引(取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいう。)を行った場合の電磁的記録の保存方法の範囲に、次の方法を加える。

  1. (1)発行者のタイムスタンプが付された電磁的記録を受領した場合において、その電磁的記録を保存する方法
  2. (2)電磁的記録について訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができるシステム(訂正又は削除を行うことができないシステムを含む。)において、その電磁的記録の授受及び保存を行う方法
  3. (注)上記の改正は、令和2年 10 月1日から施行する。

出典: PDF「令和2年度税制改正の大綱」より

わかりやすく図解すると下記のようになります。

「令和2年度 税制改正」納税環境整備
出典:財務省「令和2年度 税制改正」5 納税環境整備より

この改正で、発行者側でスタンプが付与されている請求書などの電子データを受け取った場合、受領側でタイムスタンプをさらに付与する必要はなくなりました。これまで行っていたタイムスタンプの「遅滞なき付与」は、経理担当者にとって負担の大きいものでしたが、発行者側で付していれば必要なくなることは大きな負担軽減となります。
また、電子データの保存方法が増えたことで、クレジットカードやプリペイドカード、交通系ICカードなどによるキャッシュレス決済を行った場合の電子明細書も保存対象になりました。
コロナ禍による非接触の推奨により、電子決済の普及率は高まっています。キャッシュレス決裁を企業が導入すれば、より一層経理業務の効率化が図れるでしょう。

スキャナ保存制度を利用すれば紙の領収書もデータ保存OK!

電子帳簿保存法でデータ保存が認められているのは、仕訳帳や総勘定元帳などの国税関係帳簿と、貸借対照表や損益計算書などの決算書類、自社が作成した見積書や請求書などの取引関係書類になります。受領した見積書や請求書などの取引関係書類については、電子帳簿保存法に規定されている「スキャナ保存制度」の適用を受ければデータ保存が可能です。(国税関係帳簿と決算関係書類はスキャナ保存することができません)

スキャナ保存精度

領収書や請求書ともなれば、日々処理業務を行うことになる書類のため、種類や枚数も多く、整理や保管に相当の手間と時間がかかるものです。スキャナ保存制度を導入すれば、紙の領収書を受領後「おおむね7営業日以内」または「最長2ヶ月と7営業日以内」にタイムスタンプを付与すればデータでの保存が可能になります。
スキャナ保存制度にも保存要件が定められていますが、電子帳簿保存法と同じく少しずつ要件が緩和されており、2020年時点においては以下のような点が改正されています。

<これまでに緩和されたスキャナ保存要件>

  • スキャナは原稿台(スキャナ台)と一体型でなくともよい。
  • スキャナの読み取りはグレースケールでも可。
  • スマートフォンの撮影も保存対象として認める。
  • スキャナ保存できる契約書や領収書等の国税関連書類は「3万円未満のみ」という制約を廃止し、全ての国税関係書類を金額にかかわらず保存対象とする。
  • A4以下のサイズは大きさの証明をしなくてもよい。
  • 受領者がスキャンする場合、概ね3営業日以内に行いタイムスタンプ付与と電子署名が必要になるが、経理担当者が全ての国税関係書類について書面と電磁的記録が同等であることを確認していれば電子署名とタイムスタンプ付与は不要。(相互けんせい)
  • 税理士等の税務代理人が定期指摘にスキャナ保存にかかる事務処理要件の内容をチェックしている小規模企業者は、「相互けん制」の要件が不要。

    ※小規模企業者とは、常時使用する従業員数が5名以下(製造業等は20人以下)の企業を指します。

また現在は、承認を受ける前に作成・受領等をした重要書類(過去分重要書類)についても、過去分重要書類の内容確認を目的とした検査体制を敷くなど一定の要件を満たせばデータ保存に変更できるようになっています。膨大な量の書類をスキャナ保存するのは大変ですが、過去分重要書類のスキャナ保存には入力期間の定めがないので、基幹業務に支障がでないよう業務の合間に少しずつ作業を進めることも可能です。
他にも、過去のスキャナ保存制度では、受領から入力までの事務処理の内容を定期的(全ての事業所等を対象に1年に一度以上)に検査することが要件となっていましたが、現在は事業規模に応じた柔軟な対応が取られ、「概ね5年のうちに全ての事業所等の検査を行う」場合も認められています。

国税庁が発表している過去の 「電子帳簿保存法の承認状況」をみると、電子帳簿保存法の改正が行われた後に税務署への申請件数が増える傾向にあることが分かります。2020年度の改正内容は電子取引に関する事項のみですが、真実性の確保についての解釈が広がったことで、ますます経理業務の効率化を図りやすくなったと言えるでしょう。

制度を利用するなら税務署への申請を忘れずに!

電子帳簿保存法(電子取引以外)とスキャナ保存制度を利用するには、所轄の税務署長の承認を得る必要があります。これから利用するのであれば、合わせて申請しておくと便利です。
ただし、電子帳簿保存法では、市販のソフトウエアを利用するかマイクロフィルムで保存するかなどの保存方法によって、申請書の様式が変わります。またスキャナ保存制度についても、「これからのスキャナ保存の承認」と「過去分重要書類の適用」は届出書が別になりますので、注意が必要です。 国税庁のホームページを参考に、自社に適切な届出を行いましょう。

電子帳簿保存法もスキャナ保存制度も、申請書は1部提出すればよいですが、保存したい書類が次の項目に該当する場合は2部必要になります。

  1. 国税局において課税標準の調査及び検査を行うこととされている法人の法人税及び消費税に係る帳簿・書類
  2. 国税局において課税標準の調査及び検査を行うこととされている製造場等の酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、航空機燃料税、石油ガス税、石油石炭税、印紙税、電源開発促進税および国際観光旅客税に係る帳簿・書類

また、提出の際には、以下の書類を添付することも忘れないようにしましょう。

  1. 電子計算機処理システム(会計システム等)の概要を記した書類
    ※市販のプログラムを使用する場合は不要
  2. 電子計算機処理に関する事務手続きの概要を明らかにした書類
    (当該電子計算機処理を他社に委託している場合は、委託に係る契約書の写しなど)
  3. 記載事項を保管するために必要となる書類、その他参考となるべき書類(操作マニュアル)

申請期限は、制度を利用したい日(備付け開始日)の3ヵ月前となっています。ただし、帳簿の備付け開始日については、「課税期間の初日」すなわち会計期間の期首日になるため、年に1回しかチャンスがありません。もし仮に2021年4月1日から利用したいなら、2020年のうちに申請しておくのがよいでしょう。
申請書を提出したら税務署で審査が行われ、問題がなければ申請書記載の「備付け開始日」から利用できます。

電子帳簿保存法対応の会計システムなら簡単に要件クリア!

電子帳簿保存法、スキャナ保存制度には、「真実性の確保」「可視性の確保」の観点から様々な要件があります。これらの要件をまとめると、以下のようになっています。

電磁的記録等による保存要件の概要

これらの要件を自力で1つずつクリアしていこうと思うと大変ですが、今市場には電子帳簿保存法に対応した会計システムが多く提供されています。
例えば 勘定奉行クラウドなら、表内のマーカー部分(「入力期間制限」「適正事務処理要件」を除く全ての要件)は、勘定奉行クラウドを利用するだけで要件をクリアすることができます。証憑の複数枚をまとめてスキャンしてデータ化し仕訳伝票に紐付ける機能も備わっているので、毎日発生する大量の伝票を簡単に整理・入力することが可能です。もちろん、クラウド上に保管された証憑データを検索・参照することも簡単です。他にも、タイムスタンプの付与状況や画像要件を満たしているか…など、スキャナ保存制度の要件チェックも一覧で確認でき、要件を満たしていないデータは添付できないようにシステムが自動チェックします。
伝票登録したアカウント情報や伝票の修正・削除の履歴を自動的に保存するなど、制度要件を網羅しているため、勘定奉行クラウドだけで電子帳簿保存法もスキャナ保存制度も利用できる環境が整います。

おわりに

勘定奉行クラウドを利用する場合でも、「入力期間の制限」や「適正事務処理要件」については、社内規定を定めることで難なく要件をクリアできます。
例えば、「入力期間の制限」であれば、従業員から領収書を受け取りスキャンしてタイムスタンプを付与するまでの期間を、「受領後速やか(おおむね7営業日以内)に」とする早期入力方式と「業務処理サイクル(最長2ヶ月)後、速やか(おおむね7日以内)に」とする業務処理サイクル方式から選べるようになっています。どちらを採用するかをルール化しておけば、この要件はクリアすることができます。
また、「適正事務処理要件」に際しては、以下の3点を満たすことが求められており、規定に沿った事務処理を実施していることを申請書に記載する必要があります。

  1. 領収書を受領してからタイムスタンプ付与、承認までの過程を2人以上で行う(相互けん制)
  2. 1年に1回以上、入力者以外の者が定期的な検査を行う(定期的検査)
  3. 不備があった場合に、その報告、原因究明および改善のための方策を検討する体制を整備する(再発防止体制)

これも、「2人以上の体制を組み、各事務作業の職責を分担する」ことや「税理士等外部に依頼する」など社内規定でしっかり体制や手続き方法等を整備しておけば、難しいものでもありません。

IT技術の進歩により、請求書や見積書をメールやその他インターネット上でやりとりする機会は増えています。従来紙で扱っていた書類は、今後より電子化されていくと予想できます。
日本では、まだペーパーレスの普及が充分とは言えませんが、世界においては既に「常識」となっています。今は、要件緩和によって、個人事業主や小規模事業者にとっても利用のハードルは低くなっています。
これからのデジタル社会を生き残るためにも、電子帳簿保存法やスキャナ保存制度を利用してみてはいかがでしょうか。

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