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ハラスメントとは?職場ハラスメントの意味や種類、防止対策

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ハラスメントはどのような業界でも、どのような職場でも起こりうる問題です。ハラスメントが起きれば、従業員が身体的、精神的な不調に陥るだけでなく、企業のイメージダウンなどにつながることもあります。
ここでは、ハラスメントが発生する理由と種類のほか、ハラスメントによる企業のリスクと防止対策について解説します。

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目次

「嫌がらせ」や「いじめ」などを意味するハラスメント

ハラスメントとは、「嫌がらせ」や「いじめ」などを意味する言葉です。相手を不快にさせたり、苦痛を与えたりすれば、身体的か精神的かを問わずハラスメントにあたります。悪気がない行為だったとしても、ハラスメントとなりえます。
下記のグラフのとおり、都道府県労働局などの総合労働相談コーナーに寄せられる「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は増加しており、職場でのハラスメント対策が求められます。

■職場での「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数
あかるい職場応援団「データで見るハラスメント」

出典:あかるい職場応援団「データで見るハラスメント」

職場でハラスメントが起きる理由

ハラスメントは、なぜ職場で起きるのでしょうか。その主な理由は、下記の3つが挙げられます。

ハラスメントへの意識に個人差がある

職場でハラスメントが起きる理由としては、ハラスメントの意識に個人差があるということが挙げられます。行為者は冗談のつもりであっても、被害者は不快に感じることもあります。どのようなことをしても問題ない関係性を築けていると思っていても、相手が不快だと言い出せない状況かもしれません。
このように意識に差があることで、ハラスメントがエスカレートしていくことも考えられます。

風通しの悪い職場環境になっている

風通しの悪い職場環境になっていることも、ハラスメントが起きやすい理由のひとつです。例えば、従業員の意見が上司や役員にまで届かない状況だと、何をやっても問題になることはないと考える従業員も出てくるかもしれません。
このような職場環境では、ハラスメントを受けた被害者は声を上げられず、ハラスメントの温床となってしまいます。

ハラスメント対策が遅れている

ハラスメントに対する意識の差や職場環境に加え、ハラスメント対策が遅れていることも、ハラスメントが起きる理由といえるでしょう。ハラスメントにもさまざまな種類がありますが、厚生労働省が発表した「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」(2016年)によると、国内でパワーハラスメント対策を実施している企業は52.2%です。従業員数が少ないほどパワーハラスメント対策の実施率は低く、従業員99人以下の企業では26.0%となっています。

厚生労働省「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」(2016年)

出典:厚生労働省「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」(2016年)

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ハラスメントの種類

ハラスメントにはさまざまな種類があり、さまざまな表現があります。パワハラ、セクハラ、マタハラは厚生労働省の定義がありますが、それ以外は明確な定義などはありません。ここでは、よく耳にする12種類について見てみましょう。ただし、すべてがこのように分類できるわけではなく、複数の要素を持ったハラスメントもあります。

パワーハラスメント(パワハラ)

パワーハラスメントとは、役職や人間関係など、職場での立場の優位性を利用した嫌がらせのことです。厚生労働省では、職場で起こるパワーハラスメントを下記の6種類に分類しています。

<パワーハラスメントの種類>
  • 身体的な攻撃(暴行、傷害)
  • 精神的な攻撃(脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言)
  • 人間関係からの切り離し(隔離、仲間外し、無視)
  • 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
  • 過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや、仕事を与えないこと)
  • 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

なお、2020年6月1日にパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が施行され、職場でのパワハラ防止対策が義務化されました。まず大企業が義務化され、中小企業は2022年4月1日から義務化されています。パワハラ防止法に違反した場合の直接的な罰則はありませんが、パワーハラスメントに対して必要な対応をせず、指導などにも従わない場合には、企業名とパワーハラスメントの事実が公表されます。

セクシュアルハラスメント(セクハラ)

セクシュアルハラスメントとは、性的な嫌がらせのことです。男性から女性に対する嫌がらせだけでなく、女性から男性の場合や、同性同士の場合でもセクシュアルハラスメントは起きる可能性があります。
また、容姿に対して不快になるような発言をしたり、過度な身体的接触をしたりすることもセクシュアルハラスメントです。

なお、2020年6月1日に改正された雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)では、セクシュアルハラスメント防止対策が強化されています。この改正では、セクシュアルハラスメントを行ってはいけないということを企業が従業員に対して周知させることや、セクシュアルハラスメントの対象となる範囲が取引先などにまで拡大することなどが追加されました。

マタニティハラスメント(マタハラ)

マタニティハラスメントとは、妊娠や出産、育児に関する嫌がらせのことです。
例えば、産休や育休を取得する人に対して、「産休のせいで仕事が増えた」「育休が長すぎる」といった発言をすることなどが挙げられます。また、産休や育休を取得させず、退職させるようにする言動を行うこともマタニティハラスメントといえるでしょう。

なお、2016年に改正され、2017年1月1日から施行された男女雇用機会均等法および育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)では、マタニティハラスメントへの防止措置も義務づけられました。企業は、妊娠や出産などを理由とする嫌がらせを防止する措置を講じなければなりません。

モラルハラスメント(モラハラ)

倫理や道徳に反する言動によって精神的な苦痛を与える嫌がらせのことを、モラルハラスメントといいます。言葉や態度だけでなく、文書などによって人格や尊厳を傷つけるということもあてはまります。
パワーハラスメントとも似た部分がありますが、パワーハラスメントは立場の違いを利用したハラスメントです。モラルハラスメントは立場に関係なく行われます。また、パワーハラスメントは身体的な暴力も含まれますが、モラルハラスメントには含まれません。

リモートハラスメント(リモハラ)

リモートハラスメントとは、リモートワーク中に起きるハラスメントです。パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントは行為者側の行為によって分類されますが、リモートハラスメントはリモートワークという状況にあてはまるハラスメントすべてが含まれます。
例えば、オンライン会議中、相手のプライベートにまで踏み込んだ発言をしたり、業務に関係のない不快な言葉をチャットで送信したりといったことが挙げられます。

ソーシャルメディアハラスメント(ソーハラ)

ソーシャルメディアハラスメントとは、FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSを介して行われる嫌がらせのことです。職場の同僚や上司とSNSでつながることもありますが、そこで「いいね」や「リツイート」を強要したり、1対1のやりとりを公開したりする行為があてはまります。
また、業務時間外にSNSで何度もやりとりしたり、職場でのSNSの利用を強制されたりすることが苦痛に感じる場合もあるため、注意が必要です。

ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)

ジェンダーハラスメントとは、性別によって社会的な役割が異なるといった固定観念にもとづいた嫌がらせのことです。「男のくせに」「女だから」といった言葉が該当します。具体的には、職場で女性にだけ電話を受けさせたり、職場内を掃除させたりすることが挙げられます。
セクシュアルハラスメントは性的な嫌がらせですが、ジェンダーハラスメントは性的ではなく、性別に関する嫌がらせという違いがあります。

アルコールハラスメント(アルハラ)

アルコールハラスメントとは、飲酒に関する嫌がらせのことです。職場や取引先との会合で、飲酒を強要することがあてはまります。また、酒が飲めない人に対して、飲めないことを揶揄するような言動もアルコールハラスメントに該当します。

スモークハラスメント(スモハラ)

スモークハラスメントとは、喫煙に関する嫌がらせのことです。喫煙者が非喫煙者に対してたばこを吸うように強制したり、周囲に配慮せず喫煙したりする行為がスモークハラスメントとされています。
受動喫煙だけでなく、たばこのにおいそのものを嫌がる人もいるため、たばこをその場で吸っていなかったとしても、においだけでスモークハラスメントとなることもあります。

テクノロジーハラスメント(テクハラ)

テクノロジーハラスメントとは、ITなどのテクノロジーに関する知識が乏しく、パソコンやスマートフォンの操作を苦手とする人に対する嫌がらせのことです。パソコンの操作が不得意だとわかっていながら、「こんなこともわからないのか」とけなしたり、専門用語ばかりを使って説明したりといった行為などが該当します。
テクノロジーハラスメントは、若い世代から上の世代に対して行われることが一般的ですが、若い世代同士でも起きることがあります。

スメルハラスメント(スメハラ)

においに関するハラスメントのことを、スメルハラスメントといいます。口臭や体臭、香水、柔軟剤の香りなどが気になり、仕事に集中できなかったり、気持ちが悪くなってしまったりすることがあると、スメルハラスメントとされることがあります。
自分のにおいにはなかなか気づきにくいだけでなく、体臭は人によって差があります。体臭について指摘することで、相手を傷つけてしまうこともあるため、注意が必要です。

リストラハラスメント(リスハラ)

リストラの対象になった人に対する嫌がらせを、リストラハラスメントといいます。具体的には、リストラ対象者に対して不当な配置転換をするなど、嫌がらせをすることでみずから退職するよう精神的に追い込むことがあてはまります。
また、退職に応じなかった人に対して、退職するよう嫌がらせをすることもリストラハラスメントです。

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ハラスメントによる企業のリスク

職場でハラスメントが発生することによって、さまざまなリスクがあります。ハラスメントの当事者だけでなく、職場全体に影響が出ることも考えられます。
ここからは、ハラスメントによる企業のリスクについて、詳しく見ていきましょう。

従業員のパフォーマンスが低下する

職場でハラスメントが起きると、職場全体に影響が出て生産性が低下してしまいます。ハラスメントによって被害を受けた従業員はモチベーションが下がり、そのほかの従業員もハラスメントを目撃したり、ハラスメントの状況を耳にしたりすることで、働きにくく感じてしまうのです。
ハラスメントによって職場の雰囲気が悪くなってしまった場合には、ハラスメントの被害を受けた従業員だけでなく、職場全体に対するケアが必要になります。

離職率が高くなる

職場でのハラスメントによって退職者が増え、離職率が高くなることも考えられます。ハラスメントの被害を受けた従業員は特に、問題が解決したかどうかにかかわらず、精神的な不調によって退職してしまうことがあります。また、ハラスメントによって職場の雰囲気が悪くなったり、ハラスメントが根本的に解決したりしなければ、当事者以外にも退職する人が増えるでしょう。
退職者が増えることで、残った従業員に負担が増え、次から次へと従業員が辞めてしまう連鎖退職が起きる可能性もあります。

従業員の多様性を妨げる

近年、企業価値を高めるために、企業は人材の多様化(ダイバーシティ)を重視するようになってきました。ダイバーシティを実現するためには、さまざまな国籍や年齢、職歴といった、異なる属性を互いに認め合えるような環境が必要になります。
しかし、職場でハラスメントが起きるようであれば、ダイバーシティを妨げることにもなりかねません。ハラスメントは特定の属性に対して嫌がらせをするため、多様性を受け入れにくくなってしまいます。そのような働きにくい職場環境のままでは、従業員は定着しにくく、企業価値を高めることもできないでしょう。

企業イメージが低下する

職場でセクハラ、パワハラなどのハラスメントが起き、メディアなどから拡散されて多くの人に知れ渡ると、企業イメージが低下してしまうことが考えられます。企業イメージが悪くなると、採用活動にも影響が出ます。優秀な人材が獲得しにくくなり、採用活動も長期化してしまうかもしれません。
また、ハラスメントへの対応を間違うと、取引先などからの信用を失ってしまうこともあります。一度悪くなってしまった企業イメージを回復させるには相当な時間が必要ですので、しっかりハラスメント対策を行う必要があるでしょう。

ハラスメントを防止するには?

前述のとおり、2022年4月1日から中小企業でもパワハラ防止対策が義務化されました。では、ハラスメント対策にはどのような方法があるのでしょうか。ハラスメントを防止する4つの対策をご紹介します。

ハラスメントに関する規則を定める

ハラスメント対策として、まず就業規則やハラスメント防止規程でハラスメントに関する規則を定めておくことが大切です。

また、ハラスメントが発生したときにどのような流れで対応するか、社内の対応フローを作成しておくことをおすすめします。どの企業においても、ハラスメントは起こる可能性があります。ハラスメントが発生したら迅速な対応が求められるため、あらかじめ就業規則への記載と社内の対応フローの構築をしておきましょう。

相談窓口などの社内体制を整備する

ハラスメントが起きてしまった場合に備え、従業員が気軽に相談できる窓口を設置します。ハラスメントが起きたときだけでなく、発生しそうな状況での相談にも対応できる窓口が必要です。相談窓口を設置する際には、プライバシーに十分配慮できるような体制を整えてください。
また社内での相談に抵抗がある人もいるため、内部だけではなく外部の相談窓口を併設すれば、相談のハードルを下げることができます。

ハラスメント防止の方針・対処を周知する

就業規則への記載や社内フロー、体制を整えられたら、従業員に対してしっかりと周知します。どのようなことがハラスメントに該当するのか、ハラスメントにはどのような処罰があるのかといったことに加え、プライバシーへの配慮、解雇や降格処分など労働者の権利を阻害する不利益取扱いをしないなどの点も伝えることが重要です。
なお、従業員に周知する際には、文書での通知だけではなく、専門家を招いたセミナーや研修を開催すると効果的です。

ハラスメントに対して適切に対応する

ハラスメントはあってはならないことですが、もしハラスメントが起きた場合には、事前に設定したフローや体制に則って、下記のような対応を迅速に行う必要があります。

<ハラスメントが起きたときの対応>
  1. 相談者と行為者だけでなく、必要に応じて第三者からも話を聞き、事実確認をする。
  2. ハラスメントの事実が確認できたら、就業規則に則って適切な措置を行う。
  3. 相談者、行為者、関係者などへのケアを必要に応じて行い、身体的、精神的不調がなく業務を行えるようにする。
  4. 職場環境の改善など、再発防止に向けた取り組みを行う。

ハラスメントを防止して働きやすい会社にしよう

従業員が安心して働けるようにするためには、しっかりとしたハラスメント対策が重要になります。また、従業員の健康診断や定期的なストレスチェックも必要でしょう。

山本 喜一

■監修者
山本 喜一

特定社会保険労務士、精神保健福祉士
大学院修了後、経済産業省所管の財団法人に技術職として勤務し、産業技術総合研究所との共同研究にも携わる。その後、法務部門の業務や労働組合役員も経験。退職後、社会保険労務士法人日本人事を設立。社外取締役として上場も経験。上場支援、メンタルヘルス不調者、問題社員対応などを得意とする。

 

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