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今、DX(Digital Transformation)が注目を集めています。競合との差別化を図るためには不可欠な取り組みとして、多くの業務でデジタル化が進められ、様々な業界、業務のDXをサポートするサービスも数多く提供されています。
しかし、中小企業の経営者からは「時期尚早」「何をすればいいのかわからない」という声も少なくありません。特にバックオフィス部門は非生産部門のため、業務改善が目的だとしてもシステム導入などの投資意欲が薄く、対応を後回しにしがちではないでしょうか。
そこで今回は、企業経営に直結する経理業務について、経営者視点からDXの必要性や進め方ポイントなどをご紹介します。
目次
- バックオフィス業務におけるDXの意義とは
- 経理業務にDXが求められる理由
- 経理DXがもたらす経営メリット
〜コスト削減や法令遵守、採用強化など◎がいっぱい! - 経理DXを成功させるカギは“システム選び”にあり!
- 経理DXを進めてビジネスの「勝ち組」へ!
バックオフィス業務におけるDXの意義とは
DXを日本語で言うと、「デジタル技術による変革」です。最新のデジタル技術を活用して、製品やサービス、ビジネスモデルを変革させること、またはビジネスプロセスを変革させ、変化に対応できる組織、環境、人材へ変革させることを言います。
DXの最終目的は「競争上の優位性を確立すること」にあります。そのため、「バックオフィス業務よりも営業などフロントオフィス業務こそDXが必要では?」と考えられやすいのですが、実はそうではありません。
日本では、顧客と直接顔をあわせることのないバックオフィス部門は、直接利益を生み出さないため「企業を支える下支え部門」という意識が定着しています。しかし、企業の生産性を上げるためには、バックオフィス業務がしっかりフロントオフィス業務をサポートする体制が欠かせません。海外では「ビジネスの成果に貢献する付加価値部門」と言われるほど、本来は重要なポジションなのです。
人事労務や経理、総務、法務といったバックオフィス業務にITツールを導入することで、業務効率化やコスト削減、働き方改革などが実現し、浮いたリソースを生産性向上のための支援に充てることが可能になり、結果として「競争上の優位性」につなげることができます。
ただし、業務ごとにITツールを導入して効率化を図るだけでは、単なる「特定業務のデジタル化」を行ったに過ぎません。DXを実現するには、次のステップである「ビジネスプロセスのデジタル化」によって、業務をデジタルデータでつなぐことでプロセスを大幅に削減し、最終的なDX実現のための環境を整えることが重要です。
特に経理業務は、バックオフィス業務の中でも「競争上の優位性」に直結しやすい領域です。2020年に立ち上がった「日本の経理をもっと自由にプロジェクト」によると、経理業務が電子化するだけで約1兆1,424億2,182万円の経済効果があるとされています。経理業務でDXを進めることは、業務の生産性を上げるだけに留まらず、企業経営力を強化し成長するための土壌を作ることでもあるのです。
経理業務にDXが求められる理由
では、なぜ経理業務に早急なDX化が求められているのか、もう少し掘り下げてみましょう。
経理業務領域でDX(以下「経理DX」)が求められる要因として、次のようなことが挙げられます。
■経理人材不足の深刻化と進む属人化への対策として
経理業務は専門性の高い分野であるため、ベテランの担当者に業務が集中しやすく、属人化している傾向が見られます。また、専門知識が求められることで「なり手不足」も進んでおり、今後新しい人材を確保することが難しくなることが懸念されています。
限られた人材で経理業務を行っていくためには、DXによって人による判断が不要な作業をITに置き換え、業務の精度を保ちつつ、作業にかかる時間を削減することが求められます。
経理DXで担当者の時間が確保できれば、空いた時間を人にしかできない分析や経営判断に役立つ指標提供に充てることができるようになります。
■改正電子帳簿保存法・インボイス制度による変化への対策として
改正電子帳簿保存法とインボイス制度によって、今後経理業務の負荷が大きくなると予想されています。
例えば、改正電子帳簿保存法では、電子取引の紙保存が禁止されたことにより、紙とデータをそれぞれ適切に管理しなければなりません。また、インボイス制度が始まると、消費税率ごとの分類管理に加え、適格請求書とそうでない請求書の区分管理も必要になります。人材不足や属人化などの問題を抱えたままで、このような事態に対応するのは事実上困難であることは間違いありません。
また、これらの改正は、ビジネスプロセスの変革によるコスト削減・生産性向上が目的です。インボイス制度では電子インボイスの導入も見込まれており、改正電子帳簿保存法の猶予期間が明ければ、請求業務はおろか経理業務全体でビジネスプロセスのデジタル化が必須となります。
このことから、改正電子帳簿保存法の猶予期間が終わる2023年末まで、できればインボイス制度が開始する2023年10月までには、経理ビジネスプロセスの変革=経理DXを進めておく必要があるのです。
経理DXがもたらす経営メリット
〜コスト削減や法令遵守、採用強化など◎がいっぱい!
経理業務にDXを推進すると、次のような経営メリットも期待できます。
(1)人的・金銭的コストの削減ができる
経理業務がDX化すれば、大幅な人的コストの削減につながります。改正電帳法の電子取引制度に紙ベースで対応すると次のように9つのプロセスが必要ですが、奉行クラウド 経理 DX SuiteのようなDXサービスを導入すれば、人が行うプロセスはたった2プロセスとなり、年間約813.6時間もの業務時間の削減効果が見込めることになります。
また、今まで紙で管理していたものをペーパーレス化できれば、紙の印刷代や郵送費、保管スペースなどの金銭的コストも削減できます。
(2)業務の属人化を阻止できる
経理DXが実現すると、「ベテランの経理担当者が判断して入力していた仕訳を、AIが学習して自動登録する」といったことが可能になります。テクノロジーが業務をサポートすることで、誰でも同じ結果を出せるようになるため、業務の属人化を防ぐことにつながります。
(3)コア業務を強化できる
業務には本業といえる「コア業務」と、それ以外で企業活動に必要な「ノンコア業務」があります。
ノンコア業務には定型業務も多く、DXによって定型化を図ることで手作業を大幅に削減できれば、人材をコア業務に充てやすくなります。
適切な人材配置によって、企業経営に欠かせない分析や未来予想など戦略策定に据えることができるようになります。
(4)ペーパーレス化が実現しSDGsに貢献できる
経理DXが進むと、ペーパーレス化も簡単に実現することができます。 これまでの経理業務は「紙書類の宝庫」であり、紙中心に業務が回っていたため、ペーパーレス化に取り組んでもなかなか定着しないのが課題でした。
経理DXで業務が自動化するとペーパーレス化が標準となり、必然的に紙の消費が減るため地球環境に配慮したSDGsにも貢献でき、企業評価を高めることにもつながります。
※ SDGsとペーパーレス化の関係については、コラム「中小企業ができるSDGsの取り組み バックオフィス部門のペーパーレス化から始めよう!」を参照ください。
(5)働き方改革を推進できる
2019年以降、働き方改革関連法が進められており、現在では残業時間の上限規制や同一労働・同一賃金の導入、さらに過労死ラインの見直しなどが中小企業にも厳しく求められています。
経理DXを推進すると、経理担当者の働き方を大きく変えることになります。定型業務が自動化されるだけでも業務効率は飛躍的に向上し、月末や期末の残業時間を大幅に削減することが可能です。
また、コロナ禍において「テレワークができない」業務の代表とも言われた経理業務ですが、DXを進めることでテレワークもしやすくなり、働き方の多様化を実現することができます。
(6)企業評価が高まり優秀な人材を確保しやすくなる
ペーパーレス化による環境保全やテレワークの推進は、企業のイメージアップにつながる取り組みです。特に「働きやすい企業」は、新卒採用や転職者にとって注目される要素になります。経理DXによって働き方が変わることで企業評価が高まれば、採用活動が有利になり優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。
経理DXを成功させるカギは“システム選び”にあり!
経理DXを成功させる上で重要なことは、「DXの目的や全体像を経営者から現場に浸透させること」、そして「システム選び」です。
DXは、企業戦略の1つです。まずは、経営者から経理DXに取り組む目的や理想形を示しましょう。そして、プロジェクトチームとともに経理業務の課題を洗い出し、ROIやKPIを設定してビジネスプロセスの変革を進めます。さらに、経理業務で発生したデータの活用範囲を広げ、経理部門としての理想的な業務の進め方を追求していきます。
ただし、DXは「デジタル技術を導入すれば成功する」というものではありません。理想的な業務の進め方にするには「システム選び」も重要です。
経理DX推進のためのシステム選びでは、「ビジネスプロセスから抜本的に改革できる仕組み」であることがもっとも重要です。すでに市場では、経理業務に活用できるITツールが数多く提供されています。その中から、自社にとって理想的な業務の進め方を視野に入れて選ばないと、導入自体が目的になったり業務の一部分だけが効率化しただけになったりと、失敗する可能性が極めて高くなります。
また、差し迫って求められる改正電子帳簿保存法、インボイス制度への対応についても見極める必要があります。加えて、担当者にとって使いやすい、つまり「自社のITリテラシーに見合った機能性かどうか」も吟味する必要があります。あまり高度なデジタル技術を導入すると、専任のIT担当者を配置できない中小企業の場合、運用面でリスクを伴うこともあります。
例えば奉行クラウド 経理 DX Suiteは、常に業務担当者の視点に立って製品開発が行われています。AIやAPI、OCRなどの様々な最新テクノロジーを標準搭載することで、これまで担当者の経験値で進めてきた業務を、システムがどんどん学習して自動的に業務を処理します。
入力が前提の伝票起票などの業務では、自動起票が当たり前になるため取引量が増えても大きな変化なく一定の時間削減が叶えられ、業務負担が増えることがない環境を整備できます。さらに、AIが業務を学習してアシストすることで、担当者の経験値に左右されることなく品質の統一化が図れるようになり、属人化も解消できます。
また、改正電帳法にも完全対応しているので、証憑データの保存はもとより、証憑の収集から仕訳起票、支払処理などの一連のビジネスプロセスを、まるごとペーパーレス化できるようになります。
さらに、起票に掛かるプロセスやチェック業務を削減することで、取引の発生から記録までの時間を大幅に短縮し、リアルタイムに財務状況を確認することができるようになります。
奉行クラウド 経理 DX Suiteなら、50種の豊富な視点で現在の財務状況を可視化し、スピーディーな経営判断に貢献できます。
奉行クラウド 経理 DX Suitの分析視点
クラウドサービスなので経営課題を幹部層などとも共有しやすく、当事者意識を持って社内が一丸となって課題解決に取り組む体制を構築できます。
経理DXを進めてビジネスの「勝ち組」へ!
DXを実現するには、短期的な損得勘定ではなく、数年先を見据えた⻑期的な投資判断 が求められます。しかし今のデジタル技術の進歩はすさまじく、世界中がデジタル化にシフトしています。今後の市場競争を勝ち抜くためには、早急な経理業務の改革、DX化が必要不可欠です。
経理DXをしっかり実現していくためにも、抜本的な業務改革が行えるシステムを選びましょう。
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