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ここ数年で、年末調整を電子化する企業が増えています。法改正による国の後押しや多様な働き方の定着なども影響しているようですが、一方で、電子化に対して「必要性を感じない」「コストを割けないし、導入後の設定も面倒そう」という声も少なくありません。
そこで今回は、奉行Edge 年末調整申告書クラウドの導入事例をひも解き、年末調整の電子化による効果やおすすめしたい企業、自社での実施に向けて押さえておきたいポイントを解説します。
目次
- 年末調整の電子化が進められる背景
- 電子提出ができる年末調整書類
- 年末調整の電子化で圧倒的な「業務の時短」を実現した5つの事例
- 事例から見えてきた!年末調整の電子化が「業務の時短」を生み出す3つの理由
- 年末調整の電子化は義務ではない でも業務効率をよくしたい企業には強くオススメしたい!
- 年末調整業務を劇的にラクにするにはシステム選びも肝心!
- 気付いた企業から年末調整業務の“変革”は始まっている!
年末調整の電子化が進められる背景
年末調整業務は、これまで紙ベースでの手続きが主流だったため、様々な業務課題が生じています。
紙ベースで手続きする企業では、申告書用紙を従業員のために準備したり、申告書作成に不慣れな従業員に書き方を指導したりと、担当者は書類を回収するまでのサポートに多くの時間を費やしています。回収後も、税額計算のために「従業員の記入事項に誤りがないか」「計算が正しいか」を確認・検算する作業があり、不備がある場合には差し戻して修正してもらわなければなりません。
このようなことから、年末調整の準備期間も含めると税務署に書類を提出するまで約2〜3ヶ月はかかり、大変手間のかかる業務となっているのが実態です。
年末調整の電子化は、こうした負担の大きな事務処理業務を簡便化し、効率化するために進められています。2020年以降は、年末調整の電子化にまつわる法改正が毎年行われており、今では税務署への事前申請も必要ありません。電子データで提出できる書類も、申告書から控除証明書まで幅広く適用されています。こうした年末調整の電子化は、今後もますます加速していくことが予想されます。
電子提出ができる年末調整書類
2023年現在、年末調整手続きに必要な書類(申告書、添付書類等)は、次のようにほぼ電子提出が認められています。
出典:国税庁 PDF「年末調整手続の電子化及び年調ソフト等に関するFAQ」
なお、電子データで提出できる控除証明書等は、具体的には次のような書類が該当します。
- 生命保険料(新・旧)、個人年金保険料(新・旧)、介護医療保険料の保険料控除証明書
- 地震保険料の保険料控除証明書
- 国民年金保険料の保険料控除証明書
- 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除証明書
- 年末残高等証明書
(2023年9月現在)
年末調整の電子化で圧倒的な「業務の時短」を実現した5つの事例
年末調整を電子化すると、どのような効果があるのでしょうか。
ここでは、奉行Edge 年末調整申告書クラウドを利用して業務時間を圧倒的に短縮できた事例をご紹介します。
●1,000人超企業で従業員・担当者の業務を200時間以上削減した事例
(株式会社中電シーティーアイ様)株式会社中電シーティーアイは、1,000人を超える従業員を抱え、毎年の年末調整に多大な労力がかかっていました。それまでは、自社開発した年末調整システムを利用していたものの、電子帳簿保存法の要件を満たしていなかったため、書類の提出や内容確認、保管は「紙」に頼らざるを得なかったのです。そのうえ、全従業員の申告書類の提出を締め切ってから10日間で全ての処理を完了することになっており、膨大な作業を労務グループの8名だけではまかなえず、総務人事室の他グループの応援に加え、派遣社員も受け入れてどうにか対応していました。
そこで、システムを切り替えるにあたり、年末調整業務の作業時間を測定・比較したところ、従来のシステムを使った業務では合計294時間かかっていたものが、奉行Edge 年末調整申告書クラウドでは91時間にまで短縮できることが判明しました。特に、給与奉行クラウドと連携すれば、これまで負担になっていた「電子データの比較確認」にかかる時間がゼロになることもわかり、派遣社員が不要になることも証明できたのです。このことで、社内稟議も難なく承認されたといいます。
導入後1年目の年末調整では、担当者が手作業で行うのは、Webで提出された申告書の内容確認作業だけで想定通り多くの作業時間がゼロとなり、担当者の業務だけでも203時間の削減に成功しました。また、社員の申告作業についても調査したところ、申告にかかる所要時間は全社合計で267時間短縮され、人件費も58万5,133円削減されたことも分かりました。
このように、年末調整を電子化すると業務時間を大幅に削減することができます。従業員数に関わらず効果はてきめんですが、企業規模が大きいほど効果も如実に表れると言えるでしょう。
●多拠点展開で年末調整申告書の配付・回収が超ラクになった事例
(株式会社MCEAホールディング様)株式会社MCEAホールディングスは、グループ会社2社の総務経理、年末調整業務を含む人事業務全般を担っています。2社合わせると全国に15拠点あり、これまでは拠点長が年末調整申告書の配付・回収、進捗管理を行っていました。しかし、従業員はお客様先に常駐しているケースが多く、全国に点在する登録型派遣社員のエンジニアもいるため、年末調整申告書の配付・回収、進捗管理が長年の課題でした。
奉行Edge 年末調整申告書クラウドを導入後は、すべてweb上で申告作業が行えるため、拠点別、個人別での書類の配付・回収作業がゼロになりました。長期出張やお客様先に常駐して拠点にいない従業員にも期日通りに配付・回収できるようになり、システムで進捗管理もできるため、拠点長の業務負担が格段に少なくなったといいます。
また、奉行Edge 年末調整申告書クラウドには申告情報の自動複写機能があるため、従業員も前年の入力情報を見れば「こうすればいいんだ」と思い出せることで入力作業の負担が軽減され、問い合わせも年々減少しているとのことです。
さらに、各種控除額が自動計算されるため、今は証明書等添付書類の金額と合っているかどうかを確認するだけで済んでおり、導入前は丸2日かかっていた検算作業がゼロになりました。
このように、多拠点展開をしている企業にとっては、年末調整の電子化は業務負担の大幅軽減に大きく役立つ手法となります。
●年末調整の電子化で業務の簡略化に成功した事例
(トーテックアメニティ株式会社様)トーテックアメニティ株式会社では、毎年約200名を新規採用しており、従業員が増加し続ける中で管理部のマンパワー不足が深刻化し、特に年末調整申告業務の負担が大きな課題となっていました。そこで、「従業員が簡単に使いこなせる」ことを最優先に考え、年末調整の電子化に踏み切り、奉行Edge 年末調整申告書クラウドを導入しました。
システムを使うと指示に従って入力するだけで迷わず申告でき、前年度の自動複写機能もあることから、従業員からの問い合わせや記入ミスが格段に減ったといいます。担当者によるチェック作業や差し戻しなども、ひとつの画面で一連の作業が完結するため効率的で、従来の半分の時間で完了できるようになりました。
進捗管理も、これまでのようにExcelシートを都度開いて確認する必要がなく、作業が効率的になっていることを実感しているそうです。申告された書類は電子データで保存でき、紙の保管場所を確保する必要もなくなりました。これにより、例年は担当者5名で行っていた業務を3名で対応できるようになり、派遣や他部署からの人員補強が不要になったそうです。
忙しい年末調整時期でも、他の業務に時間を割ける余裕が生まれるのは大きな魅力となるでしょう。
●人事労務業務をDX化したら年末調整業務も時短できた2つの事例
(社会医療法人明和会様)・ (JA共済ビジネスサポート株式会社様)年末調整を電子化した事例の中には、「他の業務をDX化した際に年末調整業務も併せてシステム化したら大きな効果を得ることができた」という企業もあります。
例えば社会医療法人明和会では、給与システムと人事システムをカスタマイズで作り込んでいたため、働き方改革関連法への対応を視野に入れてシステム改修を計画し、専門スタッフがいなくても運用でき、ひとつのパッケージで人事労務業務を全てペーパーレス化できる 奉行V ERPを導入しました。その際、奉行Edge 年末調整申告書クラウドも併せて導入したところ、年末調整業務で大きな効果が上がったと言います。
例えば、職員からは申告が「ラクに入力できた」という声が上がり、担当者も点検作業の進捗も容易に把握でき、効率よく進められたそうです。また、システムから申告情報をダウンロードするだけで、奉行V ERPの給与システムに連携して年末調整の計算が始められるようになり、年末調整にかかる業務時間を170時間削減※できたといいます。
※導入初年度の効果
JA共済ビジネスサポート株式会社の場合は、人事労務業務の多くを紙で処理していたため毎月の給与計算で「年度末」レベルの忙しさになっていたことから、年末調整を含めた人事労務業務を広範囲に電子化できる 奉行クラウド HR DX Suite を導入しました。
それまでの年末調整では、税務署主催のセミナーに毎年参加して3種類の用紙を全従業員分(約150名分)持ち帰り、その日に準備開始・翌日発送というスケジュールで慌ただしく対応していましたが、奉行クラウド導入後はそうした準備時間が削減されたといいます。
また、書類の回収後も、ダブルチェックのうえ、記入漏れ・記入ミスがあれば付箋にコメントを書いて差し戻すという作業に最も時間を要していましたが、奉行クラウドでは前年の情報が複写されるため、入力の手間が省けたことでミスも起きにくくなり、担当者の業務時間を6割削減することができたそうです。
事例から見えてきた!
年末調整の電子化が「業務の時短」を生み出す3つの理由
事例に見られるように、年末調整の電子化によって多くの企業が業務時間を短縮できています。
なぜ、電子化するだけで業務時間の短縮につながるのでしょうか。それは、電子化によって次のようなことが実現できるからです。
1.手作業を大幅に削減できるから
年末調整は、申告書の記入や控除額の計算など申告に不慣れな人には難しい作業が多く、記入ミス、計算ミスはつきものとなっています。手書きともなれば、従業員の心理的負担も大きくなるうえに、人事労務担当者にとっても内容の確認作業に時間と手間がかかります。従業員数が多いほど、担当者にかかる負担は比例して膨れ上がります。
年末調整を電子化すれば、従業員はオンラインで必要事項を入力すれば申告作業が完了します。多くの年末調整システムは、サービスによって表示方法は異なるものの、記入項目が分かりやすく記入漏れもなくなります。控除証明書等を電子データで入手できれば、アップロードするだけで控除額を自動計算するため、手計算する必要もありません。担当者も、用紙の配付や回収をする必要がなくなるため、準備といえばメール等で周知する程度に留まり、従業員の問い合わせ対応や申告内容の確認、検算で時間をとられることもありません。
電子化することで手作業を大幅に減らすことができることが、結果として“時短”につながっているのです。
2.より正確な申告額の算出が可能だから
どこまで正確に申告額が提出されているかによって、納税額が変わってくるため、従業員に不利にならないよう申告額の確認・検算は入念に行っている担当者は多いでしょう。しかし、この確認・検算に要する時間は、担当者にとってもっとも業務負担の大きいものになっています。
年末調整を電子化すれば、従業員が申告に必要な情報を入力するだけで各控除額がシステムで自動計算されるため、必要事項を正しく入力してさえいれば計算ミスはゼロになります。控除証明書等を電子データで提出すると情報入力から計算まで全て自動化できるため、控除額計算の正確性が上がります
出典:国税庁 PDF「年末調整の電子化について~スケジュール編~」
クラウドサービスで提供している年末調整システムなら、更新の手間もなく最新の法制度に対応しているプログラムが提供されるため、最新の法制度に則って適切に控除額を算出でき、検算する必要がなくなることも業務時間の削減につながっていると言えるでしょう。
3.保管コストを大幅に削減できるから
年末調整申告書書類の保存期間は、「年末調整の提出期限を迎える年の翌年1月10日の翌日から7年間」です。年末調整を紙ベースで行なっていると、書類の保管スペースを確保しなければならず、保管のためのファイリングや人件費などのコストもが発生します。
年末調整を電子化すれば、申告情報をデータで保管できるため、ペーパーレス化が実現し保管コストを削減することができます。
年末調整の電子化は、申告情報をデータで提出してもらうことばかりに着目されがちですが、こうした年末調整書類の保管業務を含めて効率化できることも“時短”につながっています。
出典:国税庁 PDF「年末調整の電子化について~スケジュール編~」
年末調整の電子化は義務ではない
でも業務効率をよくしたい企業には強くオススメしたい!
年末調整の電子化は、法律上の義務ではなく、基本的に企業の判断に一任されています。そのため、必ずしも「電子化しなければならない」ということではありません。
しかし、奉行Edge 年末調整申告書クラウドの導入事例からもわかるように、年末調整業務に何らかの負担を感じているのであれば、電子化は業務の効率化を実現する最良の方法と言えます。
ただし、法的な義務はなくても、一部の企業にとっては年末調整の電子化が必然的になる場合もあります。
現在の法令では、前々年に提出した給与所得の源泉徴収票が100枚以上の企業には、e-TaxまたはCDやDVDなどの光ディスク等による提出が義務づけられています。例えば、2021年(令和3年)1月に提出した給与所得の源泉徴収票が100枚以上ある場合、2年後である2023年(令和5年)1月に提出する給与所得の源泉徴収票は電子申告で提出しなければなりません。
出典:国税庁 PDF「e-Tax、光ディスク等又はクラウド等による提出義務基準について」
年末調整から法定調書作成までの業務は、企業の労務担当にとって原則的に一連の流れとなっています。つまり、法定調書の電子申告が義務づけられている企業では、年末調整を電子化することで法定調書の提出までを一気通貫で電子化して業務負担を軽減することも可能になります。
源泉徴収票が100枚未満の場合は、書面での提出でも申告業務に対して別段影響はありません。しかし、昨今は税制改正が行われるたびに税額計算が複雑化しており、今後の担当者や従業員の業務負担は大きくなることが予想されます。そうした意味でも、法定調書の電子申告の義務対象ではない企業でも、年末調整を電子化しておくのが肝要でしょう。
年末調整業務を劇的にラクにするにはシステム選びも肝心!
年末調整の電子化には、年末調整システムの導入が必要です。
代表的なものでは、国税庁が無償提供している年調ソフトなどもありますが、民間のクラウドサービスなら、利用料はかかるものの、従業員の申告をサポートする機能や担当者の業務をアシストする機能も充実しているため、高いコストパフォーマンスが期待できます。
また、国税庁は「年末調整の電子化実現案」として次の4つの案が示していますが、民間のクラウドサービスを利用すれば、社内LANやメール送信で従業員から情報を吸い上げる手間もなくなるため、より業務をラクに進めることができます。
出典:国税庁 PDF「年末調整手続の電子化について ~実施方法検討編~」
とはいえ、年末調整の課題は、企業規模や従業員数などによっても異なります。そのため、「どのシステムを選んでも最大限の効果を得られる」とは限りません。自社で発生している課題に対応する機能をしっかり見極め、自社の年末調整業務を上手く効率化できるシステムを選ぶことが肝心です。
例えば、民間のサービスには、質問に答えていけば申告書が完成する「アンケート形式のタイプ」もあれば、奉行Edge 年末調整申告書クラウドのように必要項目が一覧で画面表示され、穴埋め式で記入すれば申告書ができる「一覧方式のタイプ」もあります。
アンケート形式の場合、質問に対して「はい」「いいえ」で回答すればよいため、従業員にとってわかりやすいですが、翌年以降も同じ質問をされたり変更箇所を確認する質問に変わったりするため、翌年も同じ記入ミスを繰り返す可能性があります。また、質問数は減らないため、一定ラインまでは入力作業時間を短縮できても、2年目以降は停滞する可能性もあります。
奉行Edge 年末調整申告書クラウドの場合は、2年目以降は、前年の申告データを一覧で確認して変更点・追加点を入力するだけでよくなるため、入力ミスを減らすことができ、2年目以降の作業時間の短縮も期待できます。
他にも、企業に届く団体保険の保険情報などは、全員分の申告書を担当者が代理で記入することがありますが、加入者が多いほどその作業に時間がかかりがちです。国税庁の年調ソフトを利用すると、保険会社から支払情報をデータで受領し、年調ソフトで読み込み可能な形式のデータにして各従業員に配付する必要があります。一方、奉行Edge 年末調整申告書クラウドは、保険会社から受け取るLINCや損保協会の形式の団体保険データをそのままインポートし、対象の従業員の保険料控除申告書に一括反映することができます。
保険料控除証明書や住宅ローンの控除証明書などの電子化には、従業員自身がマイナポータルに登録したり保険会社等へデータでの発行を依頼したりする必要があるため、全従業員に対して年末調整手続きの完全電子化を求めるのは現実的ではないでしょう。このような場合でも、奉行Edge 年末調整申告書クラウドなら、紙の証明書を提出する従業員のために提出用の貼付台紙を出力できるので安心です。また、原本提出とともにスキャン画像を取り込んでもらうことで、担当者は原本到着前にチェック作業を済ませることができます。
気付いた企業から年末調整業務の“変革”は始まっている!
年末調整の電子化に対する世間の期待は大きく、バックオフィスのDX化に躊躇している企業でも、人事労務において「デジタル化で生産性を上げたい」と思っている業務の上位に年末調整が上げられています。(OBC調べ)
奉行Edge 年末調整申告書クラウドなら、企業ごとの細かい悩みにも網羅的に対応し、毎年継続利用してくださるお客様の要望から常に進化し続けており、従業員・担当者双方の様々な悩みも解消できます。税制改正に常に対応しているため、担当者と従業員の双方が、少ない負担で安心して業務を遂行できるでしょう。
また、初期設定も簡単で、導入から年末調整準備までの期間も従業員への事前アナウンスも含めて5日程度の日数※があれば体制が整います。
※給与奉行と連携する場合など一定の要件があります。
年末調整が税制改正の影響を大きく受ける作業である以上、紙ベースの手続きを続けることは、税制改正のたびに業務負担の膨大さを危惧することになります。大きな税制改正が行われる前に、年末調整の電子化を進めておいてはいかがでしょうか。
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