要チェック!雇用保険被保険者離職証明書の書き方と作成・提出時の注意点

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従業員の退職時にハローワークに提出する書類の一つに「雇用保険被保険者離職証明書」があります。
通称「離職証明書」とも呼ばれており、雇用保険の基本手当(以下「失業給付」)の手続きに欠かせない重要なものです。
しかし離職証明書は、どんな従業員が退職しても提出が必要な書類ではありません。また、必要に応じて添付する資料が記載内容によって変わるなど、注意点もいくつかあります。
今回は、そんな離職証明書の取り扱い方について、書き方や提出時の注意点などをまとめてご紹介します。

※退職時の手続き方法については、OBC360°コラム「従業員の退職に伴う社会保険・雇用保険等の手続きと対応の注意点」を参照ください。

「雇用保険被保険者離職証明書」とは

「雇用保険被保険者離職証明書」(以下“離職証明書”)は、退職が決まった従業員が失業給付の手続きをするため離職票を請求できるようにする書類です。3枚綴りの複写式となっており、1枚目が事業主控え、2枚目がハローワーク提出用、3枚目は退職者に渡す「離職票-2」になります。そのため、ウェブサイトでダウンロードができず、事業主は書類をハローワークの窓口で受け取って記載・提出するか、電子申請(e-Gov)で提出することになります。

また、離職証明書の提出は、以下のように「必要な場合」と「不要な場合」があります。

<離職証明書の作成・提出が必要な場合>

①退職者が離職票の交付を請求した場合
離職証明書の3枚目に当たる「離職票-2」は、退職者が失業給付の手続きに使用します。そのため、退職者が失業給付を希望する場合、企業は被保険者でなくなった日の翌日(退職日の翌々日)から10日以内に事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」を提出する必要があります。提出する際は、退職者の出勤簿、労働者名簿、賃金台帳など退職日以前の賃金支払状況や勤務状況を把握できるものや、離職理由を確認できる書類を添付します。
もし、悪意がなくても、企業側が期日までに手続きを済ませられなかったり、退職者から請求されたにも関わらず離職票発行を拒んだりした場合は、雇用保険法施行規則第7条に違反することとなり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。また、退職者も失業給付を受ける手続きができないなど、双方に不利益が生じることにますので、適切に手続きを行いましょう。

②退職時の年齢が59歳以上の場合
改正高年齢者雇用安定法により、現在は、定年または継続雇用制度で契約期間を満了した従業員が退職する際、離職証明書の提出が義務付けられています。
60歳以上64歳までの人が雇用される場合、高年齢雇用継続給付の手続きが必要になります。その際、「60歳時点の賃金と比較して60歳以後の賃金(みなし賃金を含む)が75%未満であること」を証明するため、60歳の時点での「雇用保険被保険者六十歳到達時賃金証明書」(通称「賃金証明書」)を提出しなければなりません。59歳で退職すると、再就職後は60歳を迎えるため、転職先でこの「賃金証明書」を提出することになります。そのとき、退職前の賃金支払い状況が分かる「離職票−2」が必要になりますので、本人の希望にかかわらず、59歳以上の退職者には離職証明書を必ず提出しなければなりません。

<離職証明書の作成・提出が不要な場合>

①退職者が離職票の交付を請求しない場合
退職者が失業給付を希望している場合は「離職票-2」交付のため離職証明書の提出が必須となりますが、次の転職先が決まっている場合は、失業給付の対象とはならないことから離職証明書の提出が不要になります。
退職が決まったら、退職者本人に「離職後すぐ転職できる先が決まっているのか」を確認しておきましょう。「離職票-2」の交付を希望しないのであれば作成する必要はありません。
ただし、その際でも「雇用保険被保険者資格喪失届」の提出は必要ですので、忘れずに期限内に手続きを済ませましょう。

②従業員が死亡した場合
離職証明書は「離職票が不要の場合は提出しなくてよい」とされており、従業員が死亡した場合は提出の必要がありません。ただし「雇用保険被保険者資格喪失届」は提出する必要がありますので、忘れないようにしましょう。

雇用保険被保険者離職証明書の書き方、記入例

離職証明書は、一部に押印や署名が必要な用紙があるなど、3枚とも全く同じ仕様ではありませんが、大きな記載事項は共通しています。ハローワークのホームページでは、「離職票−2」の記入例が公開されているので参考にするとよいでしょう。

ハローワークインターネットサービス「記入例:雇用保険被保険者離職票−2」(様式第6号)

「e-Gov」での電子申請では、ハローワーク提出用の画面で作成することになります。入力する内容は、紙で離職証明書を作成する場合と同じですので、画面にしたがって入力やチェックを行います。最後に入力ミスがないか確認して、エラーが出なければ「署名して次へ」を選択し、申請手続きに移りましょう。
手続きが完了すると、PDFで電子公文書として離職票-2が発行されますので、印刷して本人に渡しましょう。紙の離職票-2はA3サイズですが、電子公文書を印刷する場合はA4でも問題ありません。

では実際、離職証明書ではどんな項目について記載するのか、「様式第6号」を参考に解説します。
項目は多岐にわたるので、漏れがないように注意しましょう。

① 被保険者番号

退職者の雇用保険被保険者証を確認しながら、雇用保険被保険者番号を記載します。
退職者が1981年7月6日以前に雇用保険に加入している場合、被保険者番号は16桁になっている可能性があります。その場合は、下段の10桁の数字を記載し、残りの一枠は空欄にします。

② 事業所番号

自社の事業所番号を記載します。

③ 離職者氏名

退職者の氏名を記載します。

④ 離職年月日

原則「雇用保険被保険者資格喪失届」に記載した離職年月日と同じ日を記載します。

⑤ 事業所名、所在地、電話番号

自社情報を記載します。2枚目のハローワーク提出用には事業主印を押印する場所がありますので、提出前に正しく押印できているかチェックしておきましょう。

⑥ 離職者の住所または居所

退職者の退職時点の居所を記入します。
失業給付の手続きは「居住地の管轄ハローワーク」でしかできないため、離職後に居所を変更することが決まっている場合などで本人が希望する場合は、変更後の居所を記載します。不明な場合は退職時の居所で提出し、本人に管轄のハローワークで「受給資格者住所変更届」の手続きをしてもらいましょう。

⑦ 離職理由

この欄には、倒産や定年、労働契約期間満了、労働者の判断など6種類19パターンの離職理由が記されています。この中から該当理由を1つ選択した上で、「具体的事情記載欄」に具体的な内容を記載します。説明欄の途中にある( )表示についても、提出後に記載漏れ扱いにならないよう、記入の有無を確認しておきましょう。
ハローワークでは、この離職理由によって、退職者が倒産や解雇などによって再就職の準備をするための時間的余裕がなく退職する「特定受給資格者」か、期間の定めのある労働契約を更新されなかった等やむなく退職した「特定理由離職者」に該当するかを判断し、基本手当の所定給付日数を決定します。
失業保険の基本手当は離職理由によって変動するため、企業側は退職者が訴える理由をよく把握し、間違いのない記載をしなければなりません。また、判定材料として、離職理由を確認できる資料(後述「離職証明書の作成・提出における注意点」の提出も求められていますので、添付資料の準備も必要です。

⑧ 被保険者期間算定対象期間

基本的に、一般被保険者と高年齢被保険者(後述「離職証明書の作成・提出における注意点」)はA欄、短期雇用特例被保険者(後述「離職証明書の作成・提出における注意点」)はB欄に記入します。欄には退職前の2年間から被保険者期間12カ月分を記載していきます。なお、「離職日の翌日」とは「離職年月日」欄に記載した日の翌日となりますので、不一致が出ないよう見直しましょう。

⑨ 被保険者期間算定対象期間における賃金支払基礎日数

上記の「被保険者期間算定対象期間」をふまえ、賃金支払いの対象になった期間を記載します。
月給で働く正社員等の場合は1か月の全日数、時給または日給制で働くパートやアルバイトは実働日数を記載します。
欠勤で休んだ日があった場合などは、完全月給制・日給月給制・日給制または時給制のいずれを採用していたかで記載が変わります。完全月給制の場合は、休んだ日も含め暦日数を支払基礎日数とします。日給月給制では、定められた1日あたりの控除割合に沿って計算します。日給制または時給制では、出勤日数が支払基礎日数となり、ここに有給休暇日数を加えます。
また、対象期間内に、疾病、負傷、出産、事業所の休業、海外勤務等といった理由で継続して30日以上賃金を支払っていない期間がある場合は、その該当月に関しては「被保険者期間算定対象期間」の欄に記載する必要はありません。ただし、支払いが行われなかった期間と理由(医療機関にかかるものであれば傷病名等)を「備考」欄に記載してください。

⑩ 賃金支払対象期間

一番上の行には、退職日直前の賃金締切日の翌日から退職日までの期間を記入します。以下、一行ごとに1ヵ月ずつさかのぼり、賃金締切日までの期間を記載します。
給料の起算日から締日が基準となるため、締日を迎えず退職した場合は1ヵ月には数えません。既に記載している「被保険者期間算定対象期間」とは日数が異なりますが、間違いではありません。

⑪ 賃金支払対象期間における基礎日数

上記の「賃金支払対象期間」において、賃金支払いの基礎となる日数を記入します。有給休暇の取得日、休業手当の対象日も含めます。被保険者期間算定対象期間における賃金支払基礎日数と同様、ここでも月給制は期間中の全日数、時給制や日給制は実働日数のみ書き入れます。

⑫ 賃金額

正社員のように月給・週給など一定期間で定められている場合は、A欄にその期間の賃金の全てを記載します。パート、アルバイトのように労働日数や時間によって賃金が算出される場合、または出来高払い制やその他の請負制によって定められている場合は、賃金についてB欄に記載した上で、月極の手当があればA欄に記載し、両者を「計」の欄で合算します。
もし使用しない欄があれば、誤って記入することのないよう斜線を引きます。

⑬ 備考

未払い賃金の有無やその参考額等を記載します。

⑭ 賃金に関する特記事項

毎月支払われる賃金以外で3ヶ月以内の期間ごとに支払われているものがある場合、支払日や賃金名称、支給額を記載します。

「被保険者期間算定対象期間」「当該期間における賃金支払基礎日数」および「賃金支払対象期間」「当該期間における基礎日数」「賃金額」の記載内容は、失業給付の算定に直結します。トラブルにならないためにも、提出前に退職者本人に確認してもらい、確認後ハローワーク提出用にある「署名欄」に直筆署名と押印をしてもらいます。

離職証明書の作成・提出における注意点

離職証明書を作成・提出する際は、以下のポイントにも注意しておきましょう。

<作成時の注意ポイント>

■退職者に休業手当を支払った期間がある場合
「賃金支払対象期間」で休業手当を支払った期間がある場合、その日数と支払った休業手当は「備考」欄に記載します。月の全日休業した場合は「全休業」と記して休業手当の支払い額を備考欄に記載します。

■退職者に育児・介護等で時短勤務をしていた期間がある場合
時短勤務をしていた従業員が退職する場合、実際に支払われていた賃金に基づいて失業給付の基本手当が決定されます。
倒産や解雇などの理由で退職した特定受給資格者に時短勤務の期間がある場合は、特例により、休業開始前または勤務時間短縮措置を講じる以前の賃金日額によって基本手当の日額が算定されます。提出時には「雇用保険被保険者短縮措置等適用時賃金証明書」の添付が必要ですので、忘れないように準備しましょう。

■賃金支払状況等を1枚の離職証明書に記載しきれない場合
賃金支払状況等の欄は、退職日からさかのぼる2年の間で賃金支払基礎日数11日以上の月を12カ月分記入する必要があります。様式には13行ありますが、1枚でこれを満たせない場合、もう1式用意して「続紙」として使います。表題右の空きスペースに「続紙」と書き入れた上で、「被保険者番号」「事業所番号」「離職者氏名」「離職年月日」「事業主の住所、氏名」を記載し、賃金支払状況等の続きを記載します。
「e-Gov」では、画面をスクロールしていくと「続紙」と表示のある用紙が準備されています。特に記入することがない場合は、白紙のままで構いません。

■退職者が「短期雇用特例被保険者」に該当する場合
「短期雇用特例被保険者」とは、季節雇用のうち下記に雇用状況が該当しない労働者を指します。

(イ)4カ月以内の期間を定めて雇用される者
(ロ)1週間の所定労働時間が30時間未満である者

これに該当する場合、離職証明書の「被保険者期間算定対象期間」において、離職日を含む月から被保険者となった時点までさかのぼって記載していきます。
なお、短期雇用特例被保険者を一年以上雇用した場合、一年に到達した日以降は特例被保険者の対象ではなく、一般被保険者(65歳未満)または高年齢被保険者(65歳以上)に区分します。在籍一年未満での退職で、極めて短期間に転職を繰り返し、その度に特例一時金を受け取っているようなケースは、特例被保険者とはせず一般被保険者として扱います。

■退職者が「高年齢被保険者」に該当する場合
「高年齢被保険者」とは、65歳以上で雇用保険に加入している労働者を指します。かつては「高年齢継続被保険者」と呼ばれていたもので、「短期雇用特例被保険者」や「日雇労働被保険者」に該当しない人のことを言います。
退職者が「高年齢被保険者」に該当する場合、「被保険者期間算定対象期間」と「当該期間における賃金支払基礎日数」には、それぞれ退職前の6カ月以上に当たるところまで、1か月ずつさかのぼって記載します。

<提出時のポイント>

■離職理由によって添付書類が変わるので要注意!
先述したように、離職理由は最終的にハローワークで判断され、失業給付の所定給付日数等が決まります。
そのため、離職理由を確認できる資料の添付が必要です。
添付する書類や資料は離職理由によって異なりますので、注意しておきましょう。

<離職理由別添付書類一覧表>
離職理由 添付書類
事業所の倒産等 裁判所で倒産手続きの申立てを受理したことを証明する書類等
労働契約期間満了 労働契約書、雇入通知書、契約更新の通知書、タイムカード等
早期退職優遇制度、選択定年制等 各制度の内容がわかる資料等
移籍出向 移籍出向の事実が分かる資料等
解雇等 解雇予告通知書、退職証明書、就業規則等
職場事情を基に労働者自身が判断 労働条件がわかる労働契約書や賃金台帳等
労働者の個人的な事情
(一身上の都合、転職)
退職願ほか、その内容を確認できる資料等
いずれにも該当しない理由 内容を確認できる資料等

■直筆署名や押印が必要な部分の見落としに注意
離職証明書のうちハローワーク提出用には、以下のように退職者の署名・押印と事業者の署名・押印が必要です。

<直筆署名や押印が必要な場所>
  退職者本人の直筆署名、押印が必要 事業主の押印が必要
ハローワーク提出分 「離職者署名」欄
「離職者本人の判断」欄
(⑮⑯の欄)
事業主欄
事業主欄左の欄外(余白部分)に捨印
離職者本人の署名が得られない場合は「離職者署名」欄と「離職者本人の判断」欄

特に、離職理由については、ハローワークに離職証明書を提出するまでに必ず退職者に確認し、「離職理由に異議」欄の「あり・なし」を記入、直筆署名(または記名押印)をしてもらいます。もし、諸事情により退職者に確認が取れなかった場合は、「本人退職後のため」などの理由を明記し、事業主印を押印して代替します。トラブルを避ける意味でも、できる限り退職前に確認を取りましょう。

おわりに

最近は、社会保険や雇用保険の一部手続きについて電子申請が求められています。「雇用保険被保険者資格取得届」を始め、離職証明書も電子申請ができるようになっています。
すでにご存じのように、資本金・出資金の額または銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が1億円を超えるなど特定の法人に対しては、2020年4月から電子申請が義務化されることになっています。今はまだ対象となっていない中小企業においても、早晩「電子申請」を義務づけられる時期がやってくるのは想像に難くありません。そうした将来を見越して、今のうちに電子申請に切り替えておけば、業務の効率化も図れ、作業時間も短縮できます。

最近は、電子申請に対応した労務管理システムも市場では多数展開しています。離職証明書の作成は、賃金の計算や期間の算出に時間がかかり面倒ですが、システムを使えば、賃金支払状況の期間や基礎日数、賃金額も容易に算出でき、電子申請までできるのでとても簡単です。
OBCの「奉行Edge 労務管理クラウド」なら、「給与奉行クラウド」と自動連携し、過去に支払った賃金や期間などの情報を瞬時に抽出することが可能で、約5秒であっという間に離職証明書が作成できます。外部の社会保険労務士とも安全かつ効率的に情報共有することができ、お互いの業務負荷の削減も実現します。

離職理由は失業給付に深く関わるものです。企業と繋がりはなくなっても、人間同士の繋がりは後々の財産になります。その縁まで断ち切ってしまわないよう、最後のやりとりは円滑に、気分よく行いましょう。

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