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雇用保険は、失業や休業したときでも労働者が安心して暮らせるよう、給付金の支給や就職活動の支援をする制度です。企業は、雇用保険の加入手続きをしたり、従業員に代わって雇用保険料を国に納付したりしなければなりません。
そこで今回は、雇用保険の目的やメリットのほか、雇用保険の加入条件、各種手続きの方法について解説します。
雇用保険は、雇用に関するさまざまな支援をする強制保険制度です。失業や休業などをしたときには給付を行い、労働者の生活を安定させることを主な目的としています。また、雇用の機会を増やしたり、労働者の能力開発や就職を促したりすることも雇用保険の役割です。
現在は働けていても、失業して収入が途絶えてしまう、または育児や介護による休業で収入が減ってしまうというリスクは誰にでもあります。雇用保険があることで、給付金の支給などの支援が受けられ、労働者にとって万一の失業という事態でも安心できるというメリットがあります。
雇用保険による給付は失業等給付と呼ばれ、「求職者給付」「就職促進給付」「教育訓練給付」「雇用継続給付」の4種類に大きく分けられます。ここでは、雇用保険で受けられる給付について、それぞれ解説します。
求職者給付は、定年退職や倒産、自己都合などによって離職した人に基本手当を支給し、安心して再就職できるよう支援します。いわゆる、失業手当のことです。基本手当を受給できる日数は90~360日と幅があり、離職時の年齢、雇用保険の加入期間、離職の理由などによって決定されます。
倒産や解雇など、会社都合により離職した場合は、急なことで再就職までに時間がかかってしまうことから、ほかの離職者よりも給付日数が長くなります。支給開始日も、自己都合退職のときは公共職業安定所(ハローワーク)に届け出てから2~3ヵ月後から支給が始まりますが、会社都合での退職の場合は7日後に支給が始まるといった違いがあるのです。
なお、求職者給付には、基本手当のほか技能習得手当や寄宿手当、傷病手当などさまざまな手当があります。
就職促進給付は、離職後に再就職したときに給付されるものです。基本手当の受給者ができるだけ早く再就職できるよう、就職活動のモチベーションを高めることが目的です。
就職促進給付には、再就職手当や就業促進定着手当、就業手当といった手当があります。
教育訓練給付は、労働者の能力向上やキャリア形成を支援するものです。厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了すると、受講料や入学料などの一部が教育訓練給付として支給されます。
雇用継続給付は、労働者が働き続けられるよう援助、促進することを目的としています。雇用継続給付には、下記の3つがあります。

雇用保険料は、1年分をまとめて、企業が前払いで国に納めます。従業員と企業が負担し、従業員負担分の保険料は、各月の給与から分割して徴収することになります。
雇用保険料の計算方法は下記のとおりです。保険料率と負担する割合は、業種の種類で定められています。
雇用保険は、原則として労働者を雇用する企業や、そこで働く労働者を対象に加入することになっています。そのため、従業員を1人でも雇用している企業は、農林水産業の一部事業を除き、どのような業種や規模であっても雇用保険の適用事業となります。
適用事業となるのは任意ではなく強制ですから、必ず雇用保険の加入手続きをし、企業と従業員が負担する保険料を合わせて納めなければなりません。
パート・アルバイト・派遣といった雇用形態にかかわらず、下記の条件をすべて満たしている労働者は雇用保険に加入できます。なお、条件をすべて満たしていても、高等学校もしくは大学に在学している人などは適用除外者とされ、雇用保険に加入できません。ただし、定時制や夜間学部に通う学生などは、加入が可能です。
31日間以上雇用し続けることがあらかじめ明確であれば、パートやアルバイトでも雇用保険に加入できます。「31日間以上働く見込みがある」とみなされるのは、下記のような場合です。
・期間の定めがなく雇用される場合
・雇用期間が31日以上である場合
・雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇い止めの明示がない場合
・雇用契約に契約更新の規約がないが、同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合
なお、雇用された当初は31日以上雇用される予定がなかった場合でも、その後31日以上雇用が見込まれることになった場合は、その時点から雇用保険が適用されます。
雇用契約書などに、週20時間以上働くことが記載されていれば、パートやアルバイトでも雇用保険に加入できます。
なお、パートやアルバイトで、所定労働時間が週18時間と契約書に定められている場合は、たとえ突発的に週22時間働いたとしても、加入条件にはあてはまりません。
雇用保険の各種手続きは、企業などの適用事業所が行います。ここでは、入社時・退職時の手続きと、電子申請について見ていきましょう。
適用事業所に従業員が入社したときは、雇用保険の加入手続きが必要です。入社した月の翌月10日までに、管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。
雇用保険被保険者資格取得届については、当サイトの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
これで安心!雇用保険被保険者資格取得届の書き方と申請時の注意点
従業員が退職するときには、退職した日の翌日から10日以内に、管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」を提出し、手続きを行います。
提出の際には、賃金台帳や労働者名簿、出勤簿といった、退職前の賃金支払状況を確認できる資料や退職理由を確認できる資料なども添付しなければなりません。
雇用保険被保険者資格喪失届と離職票については、当サイトの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
雇用保険被保険者資格喪失届の書き方・添付書類など提出時の注意点
離職票の書き方を解説 | 雇用保険被保険者離職証明書の記入例・提出時の注意点
雇用保険だけでなく、ほとんどの社会保険と労働保険の手続きで電子申請ができます。電子申請は、郵送したり届出に行ったりする手間が削減できるのでおすすめです。
特に、社員数が多く手続きが頻発する企業にとっては、電子申請に切り替えると業務を省力化できるため大きなメリットとなるでしょう。
電子申請については、下記を参考にしてください。
電子申請について
利用準備
企業の労務担当者は、雇用保険の手続きにおいて、従業員が入社したときは「雇用保険被保険者資格取得届」を、退職したときは「雇用保険被保険者資格喪失届」や「雇用保険被保険者離職証明書」のほか、さまざまな添付書類を準備して提出する必要があります。
「給与奉行iクラウド」であれば、これらの届出書の作成から電子申請まで行うことができるので、届出作業にかかる時間を大幅に削減することができます。ぜひ、導入をご検討ください。

■監修者
山本 喜一
特定社会保険労務士、精神保健福祉士
大学院修了後、経済産業省所管の財団法人に技術職として勤務し、産業技術総合研究所との共同研究にも携わる。その後、法務部門の業務や労働組合役員も経験。退職後、社会保険労務士法人日本人事を設立。社外取締役として上場も経験。上場支援、メンタルヘルス不調者、問題社員対応などを得意とする。