わずか6ヶ月で2つの経営課題を解消した山本通産。
グローバル経営戦略の追い風となる海外7拠点の連結決算業務効率化に成功した5つの要因とは?
今、大手企業を中心に、あらゆる業種・業界で基幹システムのクラウド化が進んでいます。一部の業務からでも始められ、リプレイス時にも切り替えやすいとも言われています。
しかし中小企業の中には、まだインストール型システムを活用しているケースも多く見られ、「わざわざクラウド化する必要を感じない」と言う声も少なくありません。
クラウドサービスを利用するメリットは、果たしてどのようなものなのでしょうか?
今回は、中小企業の、特にバックオフィス業務にスポットを当てて、クラウドサービスが業務にもたらすメリットについてまとめます。
中小企業のバックオフィス業務におけるクラウド化の実態
中小企業庁が発表している「中小企業白書」2018年版によると、中小企業のバックオフィス業務、特に会計業務と勤怠管理業務でのIT利活用状況は、いずれもインストール型システムを活用しているケースが最も多く、クラウドサービスを活用しているのは、会計業務で約14%、勤怠管理では約10%と、まだまだクラウド化が進んでいない傾向が伺えます。
基幹システムのクラウド化については、大企業のほうが体力も経済力もあるのは当然ですが、政府も電子申請・電子申告の義務化などでクラウド化を推進している割には、中小企業の多くが未だ“置いてけぼり”になっている感は否めません。
さらに総務省の「情報通信白書」令和元年度版を見てみると、中小企業の多くがクラウドサービスを「必要がない」という回答をしています。
「情報通信白書」では、何故必要がないと思っているかという点については言及されていません。あくまで推量の域は超えませんが、この要因には中小企業の資金・人材力の問題に加え、現有の基幹システムに対する問題意識の希薄さとクラウドサービスに対する理解の不足が起因しているのではないかと考えられます。
いま世の中には、AIやIoT、Fintech、ブロックチェーンなど、中小企業が規模の不利を克服しうるような新たな技術・サービスが次々と登場しています。政府から求められる「働き方改革」でも、「制度改革」「意識改革」に次いで「IT活用」の重要性が示されており、企業がITテクノロジーを業務に活かすことは必須にもなっています。
しかし、従来のシステムを最新のテクノロジーに対応させるには、最新技術を導入するためのサーバやハードウェアを準備しなければなりません。また、業務プロセスにおいても、システムを使い慣れた担当者の能力に依存したり「慣習」として進めたりするケースが未だ多く、非効率な業務が発生していても「気づいていない」可能性すらあります。あるいは、非効率だと気づいていても「⻑年培ってきた流れを変えるだけの時間や労力、コストがない」とあきらめている企業もあるかもしれません。
世の中の流れは「クラウド化」が主流となる時代へ突入しています。多くの企業がクラウドサービスを利用することで何らかの「改善」を実感できていることも事実です。クラウドサービスは「必要がない」と目を背けずに、自社システムの現状と向き合い、「クラウドサービスで自社の問題点がどのように解決できるか」という視点で検討することも重要になってきているのです。
中小企業にクラウドサービスをオススメする最大の理由は業務の効率化にあり!
企業にとって「生産性向上」は最大の課題です。生産性を向上させるためにはフロントオフィス業務の強化が必要であり、バックオフィス業務といえどもフロントオフィス業務の後方支援として活躍が求められる場面は多岐にわたります。
しかし、現実は「日々の事務作業に追われ、しっかりサポート活動に取り組めない」ということも発生しています。特に中小企業は、働き方改革や社会的な人材不足に直面しており、慢性的な人手不足に陥っています。
クラウドサービスをオススメしたい理由は、まさにこの「業務をうまく効率化」する点にあるのです。
自社サーバで運用するインストール型システムと比較すると、クラウドサービスには「初期費用がかからない」「契約後すぐ使える」などのメリットを持ち合わせています。そうした物質的な利点だけでなく、様々な形で業務を効率化することで手早く「生産性向上」のための“時間の確保”ができるからなのです。
具体的には、次のようなポイントで「業務の効率化」を実現します。
○入力作業を自動化する
例えば、経理担当者にとって入力作業の負荷は、業務の中の大部分を占めています。売上データや日々発生する請求書、経費などの処理作業では、必ず入力作業が発生します。特に決算時期は、報告書作成業務の大半が入力作業に時間を取られるため、残業になってしまうほどハードワークになりがちです。
クラウドサービスを利用すれば、店舗のPOSシステムから取引データを自動で取り込んだり、金融機関の入出金データを自動記帳したりできるので、こうした入力作業はなくなります。事実、勘定奉行クラウドを導入している企業では、入力業務が不要になったことで業務量が70%削減できたという事例もあります。
さらに自動生成された会計データを活用した分析や、決算資料等の自動作成・自動チェックなども、全て自動化することができるため、月次決算に要した作業も大幅に削減することができます。
○業務の分業化を可能にする
インストール型システムの場合、複数名で利用するときはサーバやネットワーク環境などの設備を準備する必要があります。新たな設備投資は中小企業にとって大きな負担となりやすく、中には複数名で業務に当たることをあきらめた企業もあるでしょう。業務を分業できないと、専門知識を有する担当者頼みになりやすく、担当者が休むなどすると業務が滞ることを防ぎようがありません。
しかしクラウドサービスなら、ライセンスを追加するだけで同時に複数人が作業できるため、業務を分散することが簡単にできます。インターネットを介して手軽にネットワーク化できるので、遠隔拠点の担当者も同時に業務に従事することが可能になります。
また、最新テクノロジーによって金融機関などともデータを自動連携できるため、会計帳簿の自動入力は簡単になっています。操作する人に高度な会計知識や操作スキルがなくても充分業務が遂行でき、人的スキルに関係なく業務の分業化が実現しやすいのも特徴です。
○リアルタイムな情報共有を可能にする
インストール型のシステムの場合、情報を共有するには「出力して回覧する」「メール等で情報を共有する」などの作業が必要になります。月次決算の際は、報告書作成の時間に加え、こうした情報共有にかかる時間も考慮して業務を進めなければなりません。
クラウドサービスなら、インターネット環境下であれば「いつでも」「どこでも」データが見られるため、情報の伝達スピードや精度が従来よりも格段に向上します。経営層も、必要な時に必要な情報を閲覧することができ経営判断に活かすことができるので、改めて情報を収集したり資料を作成したりする必要はありません。
さらに税理士や社労士、銀行の融資担当など外部の専門家ともリアルタイムに情報を共有することもできます。
○電子申請・電子申告で手続き業務を簡略化する
近頃では行政も様々な申請・申告の電子化を進めており、企業のクラウド化を推奨しています。
電子申請や電子申告に対応するクラウドサービスは、クラウド上で管理されている情報から必要なデータを自動収集し、提出書類を作成したり添付書類の準備をしたりすることができます。
電子申請・電子申告が可能になれば、窓口に出向くことも、郵送の準備をする必要もなく手続きでき、オフィスにいながら手続きができるため業務効率を飛躍的にアップすることが可能になります。
○在宅勤務/テレワークに対応して災害時でも業務を止めない
もともと日本は「災害大国」と言われているほど自然災害の多い国です。そのため企業には、想定外の緊急事態にも早急に対応するためのBCP対策の策定が求められています。また、最近は新型コロナウイルス感染症の脅威により急きょ在宅勤務/テレワークを導入せざるを得ない状況も発生しており、企業は改めて「働き方」も見直さなければならない危機に直面しています。
事業を継続させるためには、何かあっても常に業務を遂行できる環境を整備しておく必要があります。
しかし、インストール型のシステムでは限られたネットワーク環境での操作に止まり、多くの業務がオフィスの所定位置で行わざるを得なくなります。災害でサーバが破損することを想定して、普段から自社で厳重なデータ保全対策を実施する必要もあります。
クラウドサービスであれば、端末とインターネット環境さえあれば場所を問わず操作できるので、オフィス以外でも業務に従事することができます。BCP対策はもとより、働き方の多様化に対しても適切な労働環境の整備に役立ちます。また、データは常にサービス提供者によるセキュリティ体制で守られているので、不測の事態でも早い復旧が見込めます。
このようにクラウドサービスは、多角的な視点から「業務の効率化」を実現して企業の生産性向上に直結するサポートツールなのです。
クラウドサービス選びで押さえておきたい4つのポイント
クラウドサービスは、生産性を可視化しづらいバックオフィス業務を最大限に効率化し、時間や労力と言った“見えないコスト”メリットを生み出します。
しかし、その多くは大事なデータを多く取り扱う業務のため、クラウドサービスに移行するとしても慎重に最適なサービスを選びたいところでしょう。
既存のインストール型システムでも、リプレイスの際には性能や信頼性、拡張性、運用性、セキュリティなどの非機能要件を理解しておく必要がありますが、その点についてはクラウド移行でも同様です。
特に、クラウドサービスを選ぶ際に注意しておきたい点について、以下の4つのポイントから考えてみましょう。
- セキュリティは安心できるか
- 自社の業務に適合するか
- 拡張性はどの程度あるか
- クラウドへの移行は簡単にできるか
1. セキュリティは安心できるか
実は、リプレイス時において、意外に厳密にチェックをなされていないのが「セキュリティ」です。
クラウドサービスでは、セキュリティパッチの適用や、OSやソフトウェアのアップデートなど最新のセキュリティ環境は、サービスを提供するベンダーが管理しています。そのため、セキュリティ面はベンダーに全面的に委譲する意識も高くなるようです。
しかし、セキュリティ要件は企業によって異なります。例えば、顧客データの取り扱いに関する契約はベンダーによって異なるため、導入してから不具合を感じる企業も少なくありません。また、ベンダーごとに講じているセキュリティ対策や採用している技術には違いがあり、自社のセキュリティ要件にそぐわない可能性もあります。
奉行クラウドなら、信頼性の高い世界トップレベルの「Microsoft Azure」を採用し、ユーザーデータはすべて暗号化され、他のユーザーとは隔離された状態で安全に保管されます。また、奉行クラウドへの通信、データセンター間の通信などあらゆる通信はSSLで保護されているのも特徴です。他にも『サービス・オーガニゼーション・コントロール2(SOC2)Type2報告書』も取得し、受託業務のセキュリティ、可用性、処理のインテグリティ、機密保持またはプライバシーの内部統制も保証されています。
クラウドサービスを導入・実装するからには、お客様からの大切なデータを預ける先のセキュリティについて、しっかり吟味することはとても大切です。導入後のしまった!をなくすためにも、データの取り扱いや保護方法、法令への準拠状況や監査の仕組みなど、最低限どのように行われているのか事前にチェックしておきましょう。
※クラウドサービスを選ぶにあたり、チェックしておきたいベンダーのセキュリティポイントに関しては、コラム「クラウドサービスのセキュリティは本当に安全?企業で行うべき対策とは」も参照ください。
2. 自社の業務に適合するか
クラウドサービスに移行したのにも関わらず、効率が悪くなったとなると本末転倒です。現状の業務が滞りなく行える機能が備わっているのか、また、それ以上に業務フローの改善ができるのか確認が必要になります。
例えば、企業によって雇用形態が異なる勤怠管理システムなどは、「自社ルールで管理できる機能がある」ことはとても重要です。「必要な管理機能は備わっているか」「承認機能はあるか」「ほしい分析がスピーディに出せるか」など、業務として必要な要件をしっかりと洗い出し、クラウドサービスで実現できるかを充分確認しましょう。
3. 拡張性はどの程度あるか
クラウドサービスを選ぶ際には、事業拡張など将来性を考慮して、さらに業務の効率化を広げる可能性も考えておく必要があります。
例えば、現状「給与明細のweb化」は必要ないと判断していても、将来の従業員規模が拡大した際には、業務効率を上げるために導入すべき時期がくるかもしれません。このような機能追加はオプションとなっていることが多く、追加費用が発生する場合もあります。将来必要なったときに慌てないよう、「どのような作業が」「どの程度の効率化で実現して」「どのくらいのコストで」拡張できるのか細かく把握しておくと安心です。
例えば、奉行クラウドでは多くの拡張機能が標準装備されており、自由に追加、変更することが可能です。
4. クラウドへの移行は簡単にできるか
インストール型システムのリプレイスは、クラウドサービスに切り替える場合でも「これまでのデータを移行する」という作業が必ず発生します。データ移行にはそれなりの費用と労力が伴いますので、簡単に移行作業ができることはクラウドサービスを選ぶ際も重要なポイントとなります。
クラウドサービスの多くは、CSVデータがあれば簡単に移行作業を行えることができるようになっています。中には、有料でデータ移行作業を代行するベンダーもありますが、基本的には自社内で行う作業のため、専用ツールがなくてもPC1台で操作でき、手順も分かりやすいものがベストです。
移行手順を記したマニュアルなどがあれば、それに従うだけで担当者1人でも対応できるようになっているので安心です。例えば、奉行クラウドであれば、各シリーズにおいてデータ移行の操作手順書を用意しています。また、OBCサポートセンターでは、お客様の画面を一緒に見ながら具体的な操作方法をご案内するリモートサポートも行っています。
操作中の不明点などは、問い合わせられる専用窓口も設置されているところがほとんどですが、連絡の取りやすいサポート体制が整っているサービスを選びましょう。
おわりに
今、中小企業庁では「中小企業の身の丈に応じたITツールの普及促進」を掲げ、足元の業務効率化と将来のイノベーションを支援する動きも始まろうとしています。中でも、中小企業においては「足下の業務効率化」と「将来のイノベーション」が最大の課題となっており、「安価で」「簡単に」使えるクラウドサービスを活用して、中小企業の経営力向上を実現しようとしています。
現在は、バックオフィス業務に適したクラウドサービスも市場に多く展開されており、細かな作業別に提供されるほど日々進化しています。また利用料金も、ベンダーごとに差があるとはいえ、多くのクラウドサービスが「利用した分だけ利用者が負担する」という基本的な概念のもと月額制や年額制というスタイルで提供されています。
IT導入補助金など様々な行政の支援も利用しながら、自社の「身の丈」に合ったクラウドサービスを上手に活用して、本来取り組むべき「生産力アップ」に時間を費やせるよう、業務改善に着手してみてはいかがでしょうか。
関連リンク
-
すべての業務とつながるひろがる
シェアNo.1業務クラウド「奉行クラウド」
-
ひとりひとりの業務の無駄をゼロに。従業員の働き方改革を実現する「奉行クラウドEdge」
奉行Edgeクラウド オフィシャルサイト
こちらの記事もおすすめ
OBC 360のメルマガ登録はこちらから!