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販売管理システムは、企業活動において非常に重要な活動を支える基幹システムであるため、導入やリプレイスをする際にはシステム選びも慎重になりがちです。
特に最近は、IT技術の進化によって業務のデジタル化が進められており、販売管理業務においても様々なサービスが数多く提供されています。「業務効率化を図るためには、自社にとってどのようなシステムを選ぶべきか」とお悩みではないでしょうか。
そこで今回は、システム開発を手がけるプロの視点から、これからの時代に求められる販売管理システムの選定ポイントについて解説します。
目次
いまの販売管理システムは「手作業で補填」が当たり前
販売管理業務には、見積書作成に受発注管理、売上・仕入管理、入荷・出荷管理、在庫管理、入金・支払管理と、幅広い業務があります。
販売管理システムは、こうした広範囲で細々とした業務を円滑に行い、業務の効率化を図るためのシステムです。大手企業では、自社サーバにシステムを構築して利用するオンプレミス型が主流ですが、最近はパソコンにインストールするタイプやクラウドでデータ管理をするタイプも登場しており、中小企業においても販売管理システムが広く活用されています。
とはいえ、販売管理業務のやり方は、企業規模や業種などによって大きく異なります。そのため、これまでは「自社の業務のやり方に沿うよう、必要な機能を兼ね備えたシステム」を選ぶのが一般的でした。
市場でも、業務特性に合わせて機能を選んだり自由にカスタマイズしたりできるシステムが、数多く提供されています。中には、特定の機能だけに特化したものもあり、種類も、規模も、コストも、多種多様な展開が見られます。しかし、どの企業にも柔軟に対応できるシステムを開発すことは難しく、現在の販売管理システムは、一部の業務はExcelで管理していたり、手計算した結果を入力する必要があったりと、「手作業で補填する業務がある」ことが当たり前になっています。
また、販売管理システムは他の基幹システム以上に、一度導入したシステムをそのまま長く使い続ける企業も少なくありません。自社の業務に沿ってカスタマイズを繰り返し、複雑化しているシステムも多いようです。これも、ひとえに「自社流のやり方」が軸となり、必要な機能を求めた結果と言えるでしょう。
ですが、ビジネスに求められるスピードは、デジタル技術の発展により日々加速しています。中小企業においてもDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進※められている時代に、はたして「システムを使っているのに手作業が当たり前」でよいのでしょうか?
2021年夏にOBCが行ったアンケート調査で、業務担当者が販売管理システムを検討する上で重視したいポイントを尋ねたところ、例えば「入力業務の効率化・自動化」を重視するという回答は65%に上りました。この結果から見ても、現場では「当たり前」の手作業を課題視していることが分かります。
※DXについては、コラム「DXとは?デジタル化との違いや中小企業が今すぐ始められるポイントをわかりやすく解説」を参照ください。
これからは「デジタルデータを活かす」販売管理システムが必要に
実は今、販売管理システムの役割そのものが大きく変わろうとしています。
デジタル化に大きくシフトしている今、政府は商取引における電子化を強化しようとしています。
例えば、2022年1月には改正電子帳簿保存法が施行され、全ての企業において、電子取引による請求書などの電子データは、原則電子データのまま保存する」ことが義務づけられます。「電子取引」というとEDI取引や電子請求書発行クラウドサービス、カード決済などをイメージしやすいですが、メール等で請求書等の授受を行っている場合も「電子取引」に当たります。こうした様々な方法で授受した証憑データは、全て紙に出力して保存することができなくなるのです。
この改正電子帳簿保存法は、電子インボイス導入の布石とも言われています。現在進められている電子インボイスの仕様(Peppol)では、請求から支払、入金消込といった取引先とのやり取りが全てデータで行われるようになるため、紙の書類を取り扱うことがなくなります。このことから、電子インボイスが導入されると、2023年以降は「デジタルデータを活かす業務プロセス(業務のデジタル化)がスタンダードになる」と予想されているのです。
※法改正のシステムへの影響については、コラム「会計システムの役割が変わる!? 電子帳簿保存法・インボイス制度が与える経理業務への影響とこれからのシステム選びのポイント」も参照ください。
会計システムや人事労務システムでは、すでにデジタル化への対応が進んでいますが、販売管理システムは長く「手作業があること」が前提になって開発されてきたため、市場で提供されている多くのタイプは「デジタルデータを生かし切る」仕組みになりきれていません。しかし、今後は販売管理システムにおいても「業務のデジタル化」への対応が必須となります。
現在は、売上情報や仕入情報、入金・支払情報など、多くの情報がデータ化されている時代です。こうしたデータを活用し、自動的に処理できるシステムこそが、これからの販売管理業務には必要不可欠になるのです。
これからの販売管理システム選びは
4つの「脱・アナログ業務」の実現が決め手!
販売管理業務をデジタル化するには、これまで「当たり前」と思われてきたアナログ対応の業務を、どうデジタル化できるかが見極めのポイントとなります。
特に、次の4つの業務においては、業種や企業規模を問わず多くの現場で手作業が発生している傾向があります。
- 伝票入力業務
- Excel管理業務
- 請求書発行業務
- 社内対応業務
まずは、この4つの業務で「業務のデジタル化」を実現できるシステムを選ぶことが肝心です。 具体的には、次のような点でチェックしていきましょう。
ポイント1脱!伝票入力業務
手入力せずに必要な伝票が自動作成できるか?
例えば、注文をFAXなどで受けると、その情報を「伝票入力する」という作業が発生します。また、受注と同時に発注を行う場合、「発注伝票を作成する」作業が発生しますが、元々の受注情報を手作業で伝票作成していると、発注伝票の作成も手作業になっているケースがほとんどです。
これまで販売管理システムでは、こうした入力作業が「当たり前」でした。
「デジタルデータを活かす」販売管理システムなら、受注伝票を作成する際、その情報を使って発注伝票も同時に作成するため、同じ情報を2度入力する必要がなくなります。銀行など金融機関ともデータ連携できれば、入金データを取り込み、回収予定から消込処理をするだけで入金伝票も自動作成することができるようにもなります。手入力自体が要らなくなれば、人為的ミスも入力内容のチェック負担も削減できます。
さらに、POSシステムやECなどの受注システムと販売管理システムが連携できれば、受注システムで管理している受注データ・売上データを取り込んで受注伝票を自動作成できます。
このように、「デジタルデータを活かす」ことで必要な伝票は自動作成されるようになり、入力業務をほぼゼロにすることが可能になります。
商蔵奉行クラウドなら、1つの画面で、受注伝票を作成すると同時に発注伝票を自動で作成します。明細ごとに仕入先を指定して複数の発注伝票を作成することも自動化できるので、2度3度とほぼ同じような内容を入力する必要がありません。
<システム連携による受注伝票の自動作成>
また、APIにより様々な受注システム・サービスと自動連携することができ、受注伝票や売上伝票を自動作成することも可能です。
ポイント2脱!Excel管理業務
Excel管理しなくても業務に必要な情報が管理できるか?
受発注管理は販売管理システムで行っていても、「回収予定管理や入金消込はExcelで管理している」という企業も少なくありません。業務をデジタル化することで、入力のミスを減らせるだけでなく、データを効率的に集められるようになります。
「デジタルデータを活かす」販売管理システムなら、得意先それぞれの回収条件に合わせて回収予定を管理できるようになるため、別途Excelで回収予定データを収集・管理する必要はなくなります。さらに、銀行など金融機関とデータ連携して入金データを取り込むことができれば、システム上で入金消込までできるようになります。
商蔵奉行クラウドなら、得意先ごとに異なる回収条件もシステムで一元管理でき、請求書の発行状況から回収予定表を自動作成します。金融機関とも自動連携できるので、入金データをシステム上で確認することができます。入金消込もチェックするだけで完了し、同時に入金管理資料も自動作成するので、入金伝票を作成したりExcelで管理したりする必要はありません。
<デジタル化した入金管理業務>
他にも、Excelで別管理している情報は多々あります。例えば、「商品に、サイズ別や色・型別などバリエーションが多い」「商品の価格設定が複雑」などでは、価格表や商品管理表、棚卸管理、在庫管理など詳細な管理にExcelを使用している企業も多いでしょう。実務で必要なデータをExcelで管理していると、都度データの更新が必要になり、入力ミスや入力漏れも心配です。
商蔵奉行クラウドなら、1つの商品コードで荷姿管理や色・サイズ・規格などのバリエーション管理、単価管理などができるので、Excelによる管理業務が一切なくなります。商品管理が複雑になるアパレル業だけでなく、様々な商品を取り扱う卸小売業などにも適しています。
ポイント3脱!請求書発行業務
手作業なしに請求書の作成・やり取りができるか?
コロナ禍で「請求書発行のために出社」という話題が問題視されたことは、記憶に新しいでしょう。
請求書を紙で発行していると、郵送コストもかかり、印刷・封入の手間も避けられません。取引件数が増えるにつれ負担も大きくなり、毎月の締め作業では通常業務が停滞するというリスクも考えられます。そのため、最近はPDFをメールで送信したり、Web請求書発行サービスを利用したりする企業も増えています。
2023年には電子インボイス導入も検討されていることを考えれば、今のうちに紙から電子請求書に切り替えておくことは必須とも言えます。
商蔵奉行クラウドと奉行Edge 発行請求書DXクラウドを合わせて利用すると、商蔵奉行クラウドで締め処理をすれば自動的に請求書をデータ化し、Web上で簡単に請求書データを発行することが可能です。発行時にタイムスタンプを自動付与するので、受領側の取引先でもそのまま改正電子帳簿保存法に対応できます。配信時間を指定して自動配信することもできるので、請求書の発行を忘れたり業務が滞ったりすることもなくなります。
↓
<奉行Edge 発行請求書DXクラウドの概要>
ポイント4脱!社内対応業務
いつでも、どこでも、自分の仕事をできるか?
販売管理システムを業務担当者しか使えないと、営業担当者や出荷担当者などが必要な情報を得るには、業務担当者に都度確認しなければなりません。確認中は待機時間も発生し、その間、彼らの業務は停滞します。業務担当者も、社内からの問い合わせに応じるために通常業務を後回しにすることになります。
販売管理システムをクラウド化すれば、いつでも、どこからでも、関係する人全員がアクセスできるようになり、必要なときに必要な販売情報を確認することが可能になります。情報の問い合わせ待ちなどもなく、取引先を待たせる心配もありません。業務担当者の手間も減らせるため、業務効率化が図れます。
いざというときのテレワークにも対応しやすく、どこにいても社内と変わらない業務対応が可能になります。また、クラウドなので、プログラム更新やセキュリティ対策はベンダー任せにでき、運用管理面での心配もありません。
商蔵奉行クラウドはクラウドで運用されているので、関係者がそれぞれに必要な情報を確認し業務を進めることが可能です。例えば、出荷担当者は、受注情報を出荷予定日ごとに確認でき、指示を待たずにピッキングを開始できます。納品書や送り状もその場で出力し、入荷情報も管理されます。
また、営業担当者も、外出先から出荷日や納期、在庫状況を確認できるので、帰社することなく顧客への問い合わせや見積業務を進めることができます。電通グループが提供するAIチャットボット「AIアシスタントCB4」とAPI連携もしているので、スマートフォンからSNSで問い合わせることも可能です。
業務担当者は、支店など他拠点の担当者や在宅勤務者など複数人で同時に業務を行えるので、業務の分散化にも適しています。経営者も、売上状況を見たい視点でリアルタイムに確認できるので、迅速な意思決定が可能になります。
おわりに
立て続けに施行される制度改正によって、販売管理業務もデジタル化なしでは効率化が難しくなることは容易に想像できます。これまで正攻法だと思っていた業務のやり方は、どんどん通用しなくなっていくでしょう。
これまでと同じように表面的な機能だけでシステムを選んでいては、時代の変化に乗り遅れてしまいかねません。またシステムも、最新技術を常に取り入れ、これまでどうしても“なくならなかった手作業”を一気に収縮させ、業務全体を効率化するよう進化することが求められています。
いつまでも今の業務のやり方に固執せず、「業務のデジタル化」を実現できる販売管理システムを活用して、販売管理業務そのものを進化させていきましょう。
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