

年末調整の時期になると、労務担当者は従業員から複数の申告書を回収し、記入内容や添付書類を確認します。令和7年には特定親族特別控除が新設され、給与所得者の基礎控除申告書や扶養控除等(異動)申告書などの確認項目も変わっています。本記事では、中小・中堅企業の労務担当者向けに、年末調整の仕組みや対象者、3つの申告書の書き方、従業員の記入ミスを防ぐための対策方法を解説します。
【この記事でわかること】
- 年末調整の仕組みと対象者・実施タイミング
- 年末調整で提出が必要な申告書の役割と書き方
- 令和7年から新設された特定親族特別控除など最新税制への対応ポイント
- 従業員の記入ミスを防ぐための担当者の対策
目次
- 年末調整とは?
- 年末調整を行うタイミング
- 年末調整の対象者
- 年末調整と確定申告の違い
- 年末調整で提出してもらう3つの申告書
- 【年末調整申告書用紙の書き方】給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
- 【年末調整申告書用紙の書き方】給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 【年末調整申告書用紙の書き方】給与所得者の保険料控除申告書
- 3枚の申告書以外に回収が必要な書類
- 年末調整の書類の書き方で従業員がミスしやすいポイントと担当者の対策
- 記入ミスを防ぐには従業員サポートが手厚い年末調整システムがおすすめ!
- 年末調整に関するよくある質問
年末調整とは?
年末調整とは、会社が従業員に代わって1年間の所得税額を計算し、毎月の給与から概算で天引きしてきた源泉徴収税額との差額を精算する手続きです。毎月の源泉徴収では、その時点の給与額などを基に税額を計算するため、年間の所得や控除額を反映した実際の税額とは差が生じる場合があります。
年末調整では、基礎控除や扶養控除、保険料控除などを反映して、年間の正確な所得税額を計算します。その結果、毎月の源泉徴収税額の合計が年間の所得税額を上回っていれば払い過ぎた分が還付され、不足していれば追加徴収されます。必ず還付される手続きではなく、年間の所得や控除の内容によって精算結果が変わります。
また、年末調整で確定した給与所得や控除の情報は、翌年の住民税額を算出する際の基礎になります。住民税そのものの精算は、年末調整とは別の手続きで行われます。
年末調整を行うタイミング
年末調整は、原則として12月の最終給与が確定する時期に行います。対象となるのは、1年を通じて勤務している従業員や、年の途中に新卒・中途で入社し、年末まで勤務する従業員です。
一般的には、会社が10月から11月頃に年末調整書類の回収を始めます。その後、12月の最終給与や賞与の金額が確定するタイミングに合わせて、1年間の所得税額と源泉徴収税額との差額を精算します。
ただし、すべての従業員について12月に一斉に年末調整を行うわけではありません。特定の事由が発生した従業員に対しては、年の途中で年末調整を行う場合があります。
たとえば、従業員が死亡により退職した場合や、著しい心身の障害が原因で退職した人で、退職後その年中に再就職して給与を受け取る見込みがない場合は、退職時に年末調整を行います。また、海外支店への転勤などにより、日本国内に住所を持たない非居住者となる場合は、出国時に精算します。
そのほか、12月分の給与を受け取ったあとに退職した場合も、退職時に年末調整を行います。パートタイマーなどが退職し、本年中に支払いを受ける給与の総額が123万円以下の場合も退職時年末調整の対象となります。ただし、退職後、その年のうちに他の勤務先から給与の支払いを受ける見込みがある人は除かれます。
年末調整の対象者
年末調整の対象となるのは、原則として会社に雇用され、給与の支払いを受けている人です。正社員に限らず、パートやアルバイトであっても、勤務先に「扶養控除等(異動)申告書」を提出していれば対象となります。
一方で、年末調整の対象者であっても、別途本人による確定申告が必要になる場合があります。たとえば、1か所から給与を受けながら副業などで20万円を超える所得がある人や、2か所以上の会社から給与を受けており、年末調整を受けていない給与などが20万円を超える人などが該当します。
また、会社員やパートであっても、年末調整の対象外となる場合があります。その年の給与収入が2,000万円を超える人、災害減免法による源泉徴収の猶予や還付を受けている人、年の途中で退職したまま年末までに再就職していない人などは、自身で確定申告が必要になる場合があります。
年末調整と確定申告の違い
年末調整と確定申告は、どちらも1年間の所得税額を精算する手続きですが、手続きを行う人や対象者、実施時期、書類の提出先が異なります。
| 年末調整 | 確定申告 | |
|---|---|---|
| 手続きを行う人 | 会社 | 従業員本人 |
| 対象となる人 | 会社に「扶養控除等申告書」を提出した従業員 | 個人事業主、年収2,000万円超の会社員、一定額を超える副業所得がある人など |
| 実施する時期 | 毎年10月〜12月頃 | 毎年の確定申告期間(原則として2月16日〜3月15日) |
| 提出先 | 勤務先の企業(原則として企業が保管し、税務署等から求められた場合に提出する) | 従業員の納税地(通常は住所地)を管轄する税務署 |
会社が処理できるのは、年末調整の対象となる給与所得や控除の範囲です。年末調整の対象者であっても、申告内容によっては本人による確定申告が別途必要になる場合があります。また、年末調整で回収した申告書は、原則として会社が保管し、税務署等から求められた場合に提出します。
年末調整で提出してもらう3つの申告書
個人の所得税計算では、納税者本人や家族の状況などに応じて、所得控除を受けられる場合があります。所得控除は全部で16種類ありますが、年末調整で控除できるのは、そのうち13種類(2026年現在)です。年末調整では、従業員が該当する控除を受けるために勤務先に申告書を提出します。
年末調整で主に提出してもらう申告書は、次の3つです。
「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」
「基礎控除」「配偶者控除・配偶者特別控除」「所得金額調整控除」のほか、令和7年に新設された「特定親族特別控除」を受けるための書類です。紙の書類では、これら4種類の申告書が1枚の様式になっています。
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
「扶養控除」「障害者控除」「ひとり親控除」「寡婦控除」「勤労学生控除」を受けるための書類です。扶養控除等申告書では、毎月の源泉徴収税額の計算のために、源泉控除対象配偶者や源泉控除対象親族などを申告します。「障害者控除」は自身または同一生計配偶者・扶養親族が対象となる場合に適用を受けられます。
またこの書類では、翌年の住民税に関する情報も記載することになっており、翌年6月から徴収される住民税の基礎情報となります。なお、扶養親族の年齢や扶養状況等については、原則としてその年12月31日現在の状況で判定されますが、住民税を納付する自治体は翌年1月1日現在の住所地の市区町村です。
「給与所得者の保険料控除申告書」
生命保険料や地震保険料などの「保険料控除」のほか、iDeCoなどの「小規模企業共済等掛金控除」、自己または生計を一にする配偶者・親族の「社会保険料控除」を受けるために必要な書類となります。
寄附金控除や医療費控除、雑損控除は年末調整では控除できず、確定申告が必要です。対象となる従業員がいる場合は、確定申告についても案内します。
また、2か所以上から給与を受け取っている場合、年末調整書類は1か所の勤務先にしか提出できません。該当する従業員には、これらの書類を主たる勤務先(「扶養控除等(異動)申告書」を提出する先)に提出するよう案内します。
【年末調整申告書用紙の書き方】
給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
年末調整の申告書は、税制改正によって様式や記入欄が変更される場合があるため、最新の書式や記入ルールを確認することが大切です。「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」は、令和7年度税制改正によって創設された特定親族特別控除が加わり、次の4つの申告書が1枚にまとまっています。
- 給与所得者の基礎控除申告書
- 給与所得者の配偶者控除等申告書
- 給与所得者の特定親族特別控除申告書
- 所得金額調整控除申告書
ここでは、基礎控除の引き上げなど、最新の税制に対応した各書類の書き方と注意点を解説します。
●⓪給与の支払者情報・本人情報
給与の支払者情報欄には、企業情報を記載します。
本人情報欄には、従業員の氏名、住所または居所を記載します。
●①給与所得者の基礎控除申告書
基礎控除は、当年中の合計所得金額の見積額が2,500万円以下で年末調整の対象となる従業員に適用される控除です。
令和8・9年分は、税制改正によって基礎控除額が引き上げられ、特例加算を含めた最大額は104万円です。令和10年分以降は最大99万円となる予定で、合計所得金額に応じて控除額が段階的に変わります。
「収入金額」欄には、手取り額ではなく、所得税や社会保険料などが差し引かれる前の額面金額を記入します。給与明細を確認する際は、振込額ではなく所得税の課税対象となる金額を参照します。
また、「所得金額」欄には、額面から給与所得控除などを差し引いた金額を記入します。そのうえで、算出した合計所得金額を申告書内の判定表に当てはめ、該当する区分Ⅰの記号と基礎控除の額を記入します。
(記載例)

●②給与所得者の配偶者控除等申告書
配偶者控除等申告書は、配偶者控除または配偶者特別控除を受ける場合に記入する欄です。従業員本人の合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額が133万円以下の場合に対象となるため、従業員には自身と配偶者の収入を確認するよう案内します。
令和8年分からは、基礎控除の引き上げに伴い、配偶者控除等の判定に関係する所得の枠も広がっています。配偶者の合計所得金額が62万円以下(給与収入のみであれば年収136万円以下)の場合は、配偶者控除の対象です。配偶者の合計所得金額が62万円超133万円以下(給与収入のみであれば年収136万円超207万円以下)の場合は、配偶者特別控除の対象となります。
必要な記載事項は、対象となる配偶者の氏名やマイナンバー、配偶者の合計所得金額の見積額です。見積額は、基礎控除と同じ要領で算出します。配偶者の合計所得金額の見積額を基に、判定欄で受けられる控除(配偶者控除か配偶者特別控除か)と区分Ⅱを確認し、基礎控除で判定した区分Ⅰと併せて、配偶者(特別)控除の控除額を導き出します。
(記載例)

●③給与所得者の特定親族特別控除申告書
特定親族特別控除申告書は、19歳以上23歳未満の親族で、一定の所得がある人について控除を受ける場合に記入する欄です。対象となるのは、合計所得金額が62万円超123万円以下の生計を一にする親族です。給与収入のみであれば、年収136万円超197万円以下が条件となります。
この控除は、従来の扶養控除(特定扶養親族)から外れてしまう「アルバイト収入が多い大学生の子ども」などがいる場合に関係します。対象になるかどうかを判定するため、従業員には親族の年収見込みを確認するよう案内します。
該当する親族がいる場合は、「氏名」「マイナンバー」「従業員との続柄」「生年月日」を記入します。
●④所得金額調整控除申告書
所得金額調整控除申告書は、従業員本人の給与収入が850万円超で、次のいずれかに該当する場合に記入する欄です。
- 本人が特別障害者
- 特別障害者である同一生計配偶者がいる
- 特別障害者であるその他の扶養親族(親・子どもなど)がいる
- 23歳未満の扶養親族がいる
該当する要件にチェックを入れ、申告書の指示に従って必要事項を記入します。
(記載例)

【年末調整申告書用紙の書き方】
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、扶養控除や障害者控除、ひとり親控除などを受けるために、本人や配偶者、扶養親族の情報を記載する書類です。源泉控除対象配偶者や扶養親族の有無のほか、住民税に関する事項も記入するため、年末調整だけでなく翌年の住民税計算にも関係します。ここでは、各欄の書き方と確認箇所を整理します。
●(A)給与の支払者情報・本人情報
給与の支払者情報欄には、企業情報を記載します。
本人情報欄には、氏名、住所(または居所)のほか、生年月日、世帯主名、世帯主との続柄、配偶者の有無、マイナンバーの記載欄があります。マイナンバーについては、すでに会社に提出済みの場合、「記載しない(空欄にする)」よう指示している場合もあります。
扶養親族がおらず、障害者や寡婦、ひとり親、勤労学生に該当しない独身者の場合は、本人情報のみ記載すれば完了です。
●(B)源泉控除対象配偶者
源泉控除対象配偶者とは、従業員本人の所得の見積額が900万円以下で、同一生計の配偶者の所得の見積額が95万円以下である場合の配偶者を指します。給与収入のみで、所得金額調整控除を受けない従業員は、給与収入1,095万円以下が条件です。所得金額調整控除を受ける場合は、給与収入1,110万円以下が条件となります。
配偶者の収入が給与のみの場合は、年収160万円以下が条件です。公的年金等の収入のみの場合は、65歳未満なら1,633,333円以下、65歳以上なら2,050,000円以下が対象となります。
この欄に源泉控除対象配偶者の記載がある場合は、別途「給与所得者の配偶者控除等申告書」の提出も必要です。
(記載例)

●(C)源泉控除対象親族
源泉控除対象親族欄には、従業員と生計を一にする親族のうち、「①通常の扶養親族(控除対象扶養親族)」または「②アルバイト等で少し収入が多い19歳以上23歳未満の親族」に該当する人を記載します。配偶者や事業専従者は、この欄の対象にはなりません。
通常の扶養親族は、令和8年中の所得の見積額が62万円以下の人です。給与収入のみであれば、給与収入136万円以下が条件となります。扶養親族が国内に住んでいる場合は、年齢16歳以上の人が対象です。
一方、扶養親族が海外に住んでいる非居住者の場合は、年齢や状況によって対象となるかが分かれます。年齢16歳以上30歳未満の人、年齢70歳以上の人、または年齢30歳以上70歳未満で「留学生」「障害者」「38万円以上の送金を受けている人」のいずれかに該当する人がいる場合は対象となるため記載します。
また、19歳以上23歳未満の生計を一にする親族で、アルバイト等により少し収入が多い人がいる場合も確認が必要です。令和8年中の所得の見積額が58万円超100万円以下、給与収入のみであれば123万円超165万円以下の親族が該当します。
対象の親族がいる場合は、氏名、続柄、マイナンバーなどを記載します。マイナンバーの記載や回収は、社内の取り扱いルールに沿って行います。
(記載例)

●(D)障害者、寡婦、ひとり親または勤労学生
従業員自身が障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生である、もしくは同一生計の配偶者や扶養親族が障害者である場合に記載します。障害者または勤労学生に該当する場合は、右の欄にその内容を記載します。
(記載例)

●(E)他の所得者が控除を受ける扶養親族
同居家族に従業員自身を含め2人以上の所得者がいる場合で、他の所得者の「控除対象扶養親族」とした親族を記載します。
●(F)住民税に関する事項
この欄は、次に該当する場合に記載します(該当しない場合は関係ありません)。
- 当年末時点で16歳未満の扶養親族(基本的には中学生以下)がいる場合
- 退職手当を受け取った配偶者や扶養親族がいる場合(配偶者については退職所得を除く所得の見積額が133万円以下に限ります。扶養親族・特定親族については、それぞれの所得要件を確認してください)
退職手当を受け取った配偶者または扶養親族がいる場合、所得税は控除対象外でも住民税は控除対象になる場合があります。年末調整は所得税計算のための情報収集ですが、住民税における控除の適用漏れを防ぐため、併せて情報を提供する様式になっています。
申告書には、上記の要件に該当する配偶者・扶養親族の情報を記載し、寡婦またはひとり親に該当する場合にはチェックを入れます。退職手当を受け取った親族の「所得の見積額」については、退職所得を除く額を記載します。
【年末調整申告書用紙の書き方】
給与所得者の保険料控除申告書
「給与所得者の保険料控除申告書」は、次の控除を受けるために提出する書類です。
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
保険会社などから届く控除証明書を基に、支払った保険料や掛金を記入します。ここでは、各欄の書き方と確認箇所を整理します。
●(0)給与の支払者情報・本人情報
給与の支払者情報欄には、企業情報を記載します。
本人情報欄には、従業員の氏名、住所(または居所)を記載します。
●(1)生命保険料控除
生命保険料控除では、1年間に支払った保険料のうちの一定額が控除されます。「一般(新・旧制度)」「介護医療」「個人年金(新・旧制度)」に分かれており、生命保険料控除証明書などの内容を確認しながら、保険会社の名称、保険の種類、契約者の氏名などをそれぞれ記入し、合計額を算出します。
控除額の計算式は、次のように新・旧制度によって異なります。そのため、新旧それぞれ保険料を算出します。

(記載例)

「一般」「介護医療」「個人年金」それぞれの控除額を計算したら、合計額を「生命保険料控除」として右下欄に記載します(上限12万円)。

なお、令和8・9年分に限り、23歳未満の扶養親族(令和8年中の合計所得金額の見積額が62万円以下の人)がいる従業員については、申告書に専用の記載欄(☆欄)が設けられており、一般生命保険料控除(新契約)の上限が通常の4万円から6万円に拡大される特例があります。該当する従業員には、申告書の☆欄に扶養親族の氏名等を記載するよう案内します。

契約者が従業員本人でない場合でも、従業員本人が保険料を支払っている場合は、控除の対象となることがあります。契約者の名義だけで判断せず、誰が保険料を負担しているかを確認します。
●(2)地震保険料控除
火災保険に地震保険特約をつけている場合、1年間に支払った保険料のうちの一定額が控除されます(地震保険に入っていない場合は空欄のままにします)。手元に届いた地震保険料控除証明書を確認しながら、必要事項を記載していきます。「地震保険料又は旧長期損害保険料区分」の項目は、地震あるいは旧長期のうち、該当するほうに◯を付けます。
(記載例)

ただし、地震保険料控除は、従業員自身や生計を一にする配偶者その他の親族が所有し、常時住宅として使用している建物および家財に対する保険料に限られます。他人に賃貸している住宅や別荘などの自身が利用していない住居・家財にかかる地震保険料は対象外となることを従業員に伝えます。
●(3)社会保険料控除
「社会保険料控除」欄は、従業員自身が直接支払った社会保険料について申告する欄です。配偶者や子ども、その他の親族分などであっても、生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を従業員が直接支払った社会保険料であれば対象となります。ただし、給与から差し引かれる社会保険料は記載しません。
●(4)小規模企業共済等掛金控除
「小規模企業共済等掛金控除」欄では、給与や賞与から差し引かれているもの以外で、iDeCo(個人型確定拠出年金)などの掛金を支払っている場合に申告します(給与天引き分はすでに控除対象となっているため記載しません)。
申告欄には、対象となる掛金の種類が記載されているため、該当する項目に当年中に支払った掛金を記載します。
3枚の申告書以外に回収が必要な書類
年末調整に関する書類には、3枚の申告書以外に、住宅ローン等を利用した該当者から回収する「住宅借入金等特別控除申告書」があります。住宅ローン控除の適用を受けるには、1年目は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で済みます。そのため、前年以前に住宅ローン等を利用した従業員からは、住宅借入金等特別控除申告書も回収します。
紙の住宅借入金等特別控除申告書は、確定申告をした年の10月頃に残りの年数分が税務署から届きます。該当年の書類を毎年提出するため、従業員から提出された申告書に記載されている年が適切かどうかを確認します。
1年目の確定申告をe-Taxで行った場合、希望者には税務署から2年目以降の住宅借入金等特別控除申告書が電子交付されることもあります。そのため、従業員から電子データで提出されるケースも想定しておきます。
※住宅ローン控除申告については、コラム「住宅借入金等特別控除申告書には何が書かれている?年末調整での住宅ローン控除の扱い方」をご参照ください。
また、先述した3枚の年末調整申告書や住宅借入金等特別控除申告書で各控除を受ける場合は、次のような証明書類も回収します。
●保険料控除証明書
生命保険や地震保険、社会保険などの保険料控除を受ける場合は、保険会社等から届く控除証明書の提出が必要です。自身に届いた控除証明書のうち、申告書に記載した保険料についての証明書を添付します。
従業員本人が保険会社等に希望した場合、電子データで提出されることもあります。
また、給与天引きしている団体保険などは、企業に従業員宛の控除証明書が一括で届くことがあります。その場合は各従業員に配付し、保険料控除申告書に記載してもらったのちに再度回収します。
●確定拠出年金(iDeCo)の払込証明書(小規模企業共済等掛金払込証明書)
従業員が個人で確定拠出年金に加入しており、小規模企業共済等掛金控除を受ける場合に必要です。
払込証明書は概ね11月頃に送られますが、毎月定額型の拠出で11月・12月に掛金の初回引落がある場合、年末調整に間に合わないことがあります。この場合は、控除を受ける従業員自身に確定申告をしてもらいます。
●住宅ローンの年末残高等証明書(残高証明書)
住宅ローン控除を受ける場合、ローンの借入金融機関から毎年10月〜11月頃に残高証明書が送られます。住宅借入金等特別控除申告書を提出した従業員には、この残高証明書の提出も求めます。
●控除の対象となる親族が非居住者の場合:
親族関係書類、留学ビザ等書類、送金関係書類または38万円送金書類
非居住者である親族について、扶養控除等(扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除・障害者控除)の適用を受ける場合には、その親族に係る以下の書類の提出または提示が必要です。
<扶養親族に係る確認書類>
- 16歳以上30歳未満又は70歳以上の親族 ・・・親族関係書類、送金関係書類
- 30歳以上70歳未満のうち
① 留学が理由の親族 ・・・親族関係書類、留学ビザ等書類、送金関係書類
② 障害者である親族 ・・・親族関係書類、送金関係書類
③ 生活費または教育費を38万円以上受けている親族 ・・・親族関係書類、38万円送金書類
<特定親族に係る確認書類>
- 特定親族特別控除を受ける場合 ・・・親族関係書類、送金関係書類
<配偶者控除、配偶者特別控除又は障害者控除に係る確認書類>
- 配偶者控除・配偶者特別控除を受ける場合 ・・・親族関係書類、送金関係書類
- 障害者控除を受ける場合 ・・・親族関係書類、送金関係書類
各証明書類は、控除額の確認・検算に必要です。各控除を受ける場合は証明書類も必要であることを従業員に伝え、添付漏れがないか確認します。提出の際は、台紙に貼付するなどの工夫をしておくと、後々の作業をスムーズに行えます。
年末調整の書類の書き方で従業員がミスしやすいポイントと担当者の対策
年末調整書類では、毎年、次のようなミスが繰り返される傾向にあります。
- 給与収入をそのまま所得欄に記入してしまう
- 前職の源泉徴収票や残高証明書の添付が漏れる
- 結婚や子どもの就職など、年の途中の変化が申告書に反映されていない
ここでは、従業員がミスしやすい箇所と、担当者が回収前にできる確認方法を整理します。
●「収入」と「所得」の混同
配偶者や扶養親族の「収入金額」と「所得金額」の混同は、年末調整で多いミスの一つです。収入金額は給与として支払われた額面金額を指し、所得金額は収入金額から給与所得控除を差し引いた金額です。
この2つを取り違えると、配偶者控除や扶養控除などの判定に影響し、控除額が変わる場合があります。
担当者は、案内文に「所得金額=収入金額から給与所得控除を差し引いた金額」と明記しておくと、問い合わせの削減につながります。
●控除証明書などの添付書類の漏れ
控除証明書などの添付書類の漏れも、年末調整でよくあるミスです。年の途中で入社した従業員が前職分の源泉徴収票を提出し忘れるケースや、住宅ローン控除の2年目以降で借入金残高証明書を提出し忘れるケースがあります。
担当者は、申告書ごとに必要な添付書類のチェックリストを用意し、回収時に1件ずつ確認する運用を行うと、差し戻しの手間を減らせます。
●家族構成・扶養状況の変化の申告漏れ
結婚・離婚・出産・子どもの就職など、年の途中で家族構成や家族の収入に変化があったものの、申告書には反映されないまま提出されることがあります。配偶者や扶養家族の人数に変動があると、受けられる控除や控除額にも大きく影響します。
担当者は、書類回収の案内と併せて「今年中に家族構成や家族の収入に変化があった方は必ず申告してください」と全従業員へ周知しておくと、個別確認や差し戻しの手間を減らせます。
記入ミスを防ぐには従業員サポートが手厚い年末調整システムがおすすめ!
年末調整業務では、従業員から回収する申告書類を基に、その年の正確な所得税額を計算します。万が一、記入ミスや計算ミスなどがあると、正しい税額計算ができません。そのため、多くの企業では「従業員の提出書類に不備が一切なくなってから給与システムにデータを入力する」段取りを組んでいます。多くの担当者にとっては、この「提出書類の確認」作業こそ、税額計算以上に大きな負担となっています。
確認作業を効率化するには、記入ミス・計算ミスが起こらないよう従業員をサポートする必要があります。とはいえ、申告内容は従業員ごとに異なるため、一人ひとりに合わせた対応が必須です。書き方指導や問い合わせ対応などを行っても、人海戦術で全従業員をサポートするのは難しいでしょう。
そこでおすすめしたいのが、「年末調整の電子化」です。
年末調整システムを使えば、従業員が申告書作成時に不安を感じるタイミングで、担当者の手を煩わせることなく適切にサポートできます。ただし、システムによって従業員へのサポート方法(機能)は異なるため、自社で発生しやすい記入ミスを防ぐ効果のあるものを選ぶのが肝心です。
たとえば「奉行Edge 年末調整申告書クラウド」の場合、提出項目のほぼすべてにヘルプ表示がついており、項目の意味や入力の方法など、よくある質問が網羅されています。自社で特にミスが起こりやすい項目には、別途「お知らせ」表示を出すこともでき、従業員が迷いやすいポイントをリアルタイムにサポートすることができます。

紙の申告書は毎年のように様式が変更され、年々書き方も複雑かつ難しくなっていますが、「奉行Edge 年末調整申告書クラウド」なら最新の税制改正に則ってプログラムが自動更新されるため、従業員は安心して年末調整手続きを進めることができます。
従業員の多くは、公的な申告や届出に慣れておらず、申告書類には「不備がつきもの」になっています。従業員が間違えずに申告書を作成できるようにするためにも、手厚くサポートできる年末調整システムを活用してみてはいかがでしょうか。
年末調整に関するよくある質問
- 申告書に記入する「収入」と「所得」はどう違いますか?
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収入金額は給与として支払われた額面金額を指し、所得金額は収入金額から給与所得控除を差し引いた金額のことです。収入金額をそのまま所得金額の欄に記入すると、配偶者控除や扶養控除などの判定に影響し、控除額が変わる場合があります。案内文に「所得金額=収入金額から給与所得控除を差し引いた金額」と明記しておくと、従業員の記入ミスや問い合わせを減らせます。
- 令和8年分の年末調整における特定親族特別控除はどんな人が対象ですか?
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19歳以上23歳未満の同一生計親族で、合計所得金額が62万円超123万円以下(給与収入のみであれば年収136万円超197万円以下)の人が対象です。アルバイト収入が多く、従来の扶養控除(特定扶養親族)の対象から外れてしまう大学生の子どもなどが該当します。対象になるかどうかは年齢と所得の両方で判定されるため、従業員には親族の年収見込みを確認したうえで申告してもらう必要があります。
- 年末調整と確定申告はどう使い分ければよいですか?
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年末調整は会社が行う手続きで、確定申告は従業員本人が行う手続きです。年末調整の対象者であっても、申告内容によっては別途確定申告が必要になることがあります。たとえば、給与収入が2,000万円を超える場合や、一定額を超える副業所得がある場合などが該当します。
▼今年の制度改正や、デジタル化に向けた導入準備、他社システム比較など年末調整の情報を一挙公開!

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