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有給休暇管理簿とは?作成方法や記載項目、有給休暇のルールを解説

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有給休暇管理簿とは、企業が従業員の有給休暇を適切に管理するために作成が必要な書類です。有給休暇管理簿の作成方法は自由ですが、記載しなければならない項目や、保管する期間は労働基準法で定められています。
また、有給休暇に関するルールは随時改定が行われています。最新のルールを遵守できるように、知識をアップデートしていかなければいけません。
本記事では、有給休暇管理簿の作成方法と、記載すべき項目、有給休暇のルールなどについて詳しく解説します。

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目次

有給休暇管理簿とは有給休暇を正確に管理するための書類のこと

有給休暇管理簿とは、従業員の有給休暇を管理するために作成する書類のことです。
そもそも有給休暇とは、一定の要件を満たす従業員に対して企業が付与しなければならない「給料の発生する休暇」です。従業員は、有給休暇の取得日について労働する必要がありませんが、給料を受け取れます。欠勤ではないため、評価やボーナス額、退職金の査定等に影響を及ぼすこともありません。

有給休暇を取得できる日数は、従業員の勤務日数や勤続年数などに応じて決められ、さらに原則として毎年付与されるものです。そのため、全従業員がそれぞれ違う日数の有給休暇を保有しています。
そこで、有給休暇管理簿を作成して、従業員ごとの有給休暇の付与日数と取得日数を明らかにする必要があるのです。

有給休暇管理簿の項目

有給休暇管理簿は、通常1人の従業員に対して1枚の管理簿を作成します。有給休暇の基準日や使用日などが従業員によって異なり、記載すべき情報量も多いため、一覧にするには適さないからです。したがって、従業員名や社員番号に加え、入社日、生年月日、性別などの情報も併記するといいでしょう。

また、有給休暇は理由を問わず取得できる従業員の権利のため、取得理由を管理簿に記載する必要はありません。ただし、自発的に休みを取らない従業員がいる場合に、雇用主が日付を指定して取得させたり、計画的に有給休暇取得日を割り振ったりすることもあることから、本人の希望による取得なのか、日付指定や計画的付与なのかを記載することはあります。
なお、有給休暇管理簿に決まったフォーマットはありませんが、「基準日」「日数」「時季」の記載が労働基準法で定められています。

・基準日

有給休暇管理簿に記載する項目のひとつである基準日とは、従業員に有給休暇を付与した日のことです。
有給休暇は通常1年に一度付与されますが、最初の付与は、雇用から6ヵ月経過した日です。例えば4月1日入社の従業員なら、10月1日が基準日となり、最初の有給休暇が付与されます。その後、毎年10月1日にその年の有給休暇が付与されます。
ただし、上記は最低基準のため、従業員に有利になる扱いであれば、基準日を前倒して設定することも可能です。例えば、4月1日の入社時点で5日、半年後に残り5日といった運用もできます。この場合、初年度の有給休暇を本来よりも6ヵ月繰り上げて支給していることから、基準日は4月1日になり、翌年の4月1日に新たに有給休暇が付与されます。

・日数

有給休暇管理簿に記載する日数とは、従業員が取得できる有給休暇の日数のことです。付与された有給休暇の合計の日数と、取得済みの日数を差し引いた日数を記載することで、該当の従業員の有給休暇残日数がわかるようにします。

・時季

時季とは、従業員が有給休暇を取得した日付です。こちらも有給休暇管理簿に記載する必要があります。

有給休暇管理簿の保存期間

有給休暇管理簿の保存期間は、3年です。有給休暇管理簿の作成と保存が義務付けられている、労働基準法施行規則第24条の7では5年と定められていますが、法改正の経過措置として当面は3年間の保存も認められています。なお、有給休暇の付与から1年間に加え、その期間の満了後から3年間保存しなければなりません。

ただし、3年とするのはあくまでも経過措置です。具体的にいつまでの措置なのかは明らかにされていませんが、長く保存する分には問題ないため、5年間保存できる体制を整えておくと安心です。

出典:厚生労働省労働基準局 PDF「改正労働基準法等に関するQ&A

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有給休暇管理簿を作成しないことによる罰則

有給休暇管理簿が作成されていないことによる罰則はありませんが、労働基準法により有給休暇管理簿の作成が義務付けられているため、労働基準監督署から是正勧告を受けることになります。また、有給休暇の取得が正しく行われていない場合は、労働基準監督署からの是正勧告に加え、従業員1人あたり30万円以下の罰金を科せられる可能性があります。

有給休暇管理簿がなければ、どの従業員に何日有給休暇が付与されているのかを確認できないため、正しい取得を阻む原因になるでしょう。有給休暇管理簿を作成し、全従業員の有給休暇について管理する必要があります。

有給休暇管理簿の作成対象者

有給休暇管理簿は、有給休暇が付与されるすべての従業員を対象に作成しなければいけません。有給休暇は、正社員、契約社員、準社員、パート、アルバイトといった雇用形態を問わず、取得する権利があります。

一方、派遣社員に対しては、派遣元である派遣会社が有給休暇を付与します。派遣スタッフを利用している企業側が有給休暇を付与したり、有給休暇管理簿を作成したりする必要はありません。

有給休暇に関するルール

有給休暇に関しては、労働基準法によりいくつものルールが制定されています。ルールの見直しも随時行われていることから、最新の法令に則った有給休暇の付与を行う必要があり、特に、2019年4月に施行された法改正以降は、「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が義務付けられています。

有給休暇の付与や取得が法令に則って正しく行われているかどうかを確認するためにも、有給休暇管理簿による管理が必要です。
ここでは、有給休暇の「付与日数」「取得の義務」「取得の権利」について解説します。

有給休暇の付与日数

有給休暇は、下記の条件を満たす従業員に対して付与されます。

<有給休暇付与の条件>

  • 入社から6ヵ月経過時点で、継続して雇用されている
  • 所定労働日数の8割以上出勤している

例えば、4月1日に入社した従業員が10月1日時点で在籍している場合、有給休暇の付与の対象です。ただし、ケガなどの理由で「半年のうち2ヵ月間欠勤していた」という場合は、対象になりません。

勤続年数に応じた有給休暇の付与日数は、下記のとおりです。

■ 勤続年数に応じた有給休暇の付与日数
勤務継続期間 有給休暇の付与日数
6ヵ月 10日
1年6ヵ月 11日
2年6ヵ月 12日
3年6ヵ月 14日
4年6ヵ月 16日
5年6ヵ月 18日
6年6ヵ月以上 20日

出典:厚生労働省 PDF「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説

アルバイトやパートなど、所定労働日数が少ない場合は、所定労働日数によって有給休暇の付与日数が決まります。該当者は、所定労働時間が週30時間未満で、週所定労働日数4日以下または年間所定労働日数216日以下の従業員です。短時間勤務で1日7時間、週35時間労働の正社員などは、フルタイムの正社員と同じ日数の有給休暇が付与されます。

週の所定労働日数と勤続年数に応じた有給休暇の付与日数は下記のとおりです。

■ 週の所定労働日数と勤続年数に応じた有給休暇の付与日数
週の所定労働日数 勤続年数
6ヵ月 1年6ヵ月 2年6ヵ月 3年6ヵ月 4年6ヵ月 5年6ヵ月 6年6ヵ月以上
4日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

出典:厚生労働省 PDF「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説

なお、付与された有給休暇は、1年間繰り越せます。例えば、年間で20日の有給休暇を付与された従業員が、年間で8日有給休暇を取得した場合、翌年への繰り越し分は12日です。翌年、新たに20日付与された際は、繰り越し分と合わせて、有給休暇の残日数は32日となります。繰り越した分の有給休暇は、1年間で取得しなければ失効します。

年5日の有給休暇の取得義務

2019年4月の法改正の施行から、年5日の年次有給休暇の確実な取得が企業に義務付けられました。これは、従業員の義務ではなく雇用する企業側の義務です。
有給休暇取得義務の対象になるのは、有給休暇が年に10日以上付与される従業員です。正社員のほか、パートやアルバイトなどでも、条件に該当すれば対象になります。

該当する従業員には、有給休暇の付与から1年以内に、最低5日の有給休暇を取得させなければいけません。従業員側から有給休暇取得の申し出がなかった場合は、企業が有給休暇取得希望日をヒアリングし、その結果をもとに有給休暇取得日を指定することができます。これを「時季指定」と呼びます。
ただし、希望日のヒアリングを行わなかったり、ヒアリング内容を尊重せずに企業の都合で有給休暇取得日を決めたりすることはできません。

有給休暇の取得を促進するために、「毎年5日間の長期休暇を好きな時期に取得できる」などのアナウンスも有効といえます。また、部署ごとの有給休暇取得率などを確認し、取得の妨げになる要因を取り除いていくことも大切です。

なお、事業者と個々の従業員で取り交わされる約束事を書面契約した「労使協定」を結び、有給休暇取得日をあらかじめ企業が決めることもできます。これを「計画的付与制度」と呼びます。
また、計画的付与の対象は、従業員に付与される有給休暇から5日を除いた日数です。残りの有給休暇に関しては、従業員が希望する日に取得してもらう必要があります。

出典:厚生労働省 PDF「年次有給休暇の計画的付与制度

有給休暇の取得に関する権利

有給休暇の取得日は、原則として従業員の希望に応じる必要があります。繁忙期などで事業の正常な運営を妨げる場合は、企業側が有給休暇の取得時季をずらす、「時季変更権」を行使することが可能です。

しかし、時季変更権は、簡単に認められるものではないため、業務量や繁忙期などの対応も考えて人員配置を行う必要があります。また、正当な理由なく有給休暇を与えなかった場合、対象の従業員1人につき、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があるので注意しましょう。

なお、有給休暇の取得理由によって、企業が取得を拒否することはできません。また、取得理由を従業員が申告する必要もありません。一方で、従業員が取得理由を伝えることによって、企業の時季変更権を行使が行われないことはありえます。

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有給休暇管理簿の作成方法

有給休暇管理簿の作成方法に決まりはないため、各企業が任意の方法で作成できます。有給休暇管理簿の主な作成方法は下記のとおりです。

紙で作成する

有給休暇管理簿の作成には、紙に手書きで記入していく方法があります。市販の有給休暇管理簿を使用するほか、インターネット上にあるテンプレートや、各地方の労働局の作成例などをベースにしたもので作成する方法でも問題ありません。

Excelなどで作成した有給休暇管理簿の表を印刷して、手書きで取得や付与の履歴を書き足していくことでも、正式な管理簿としての役割を果たせます。

Excelで作成する

Excelで有給休暇管理簿を作成し、入力することで有給休暇を管理することも可能です。テンプレートを用意し、従業員ごとにタブを作って管理する方法が挙げられます。

一方で、Excelでの管理は、企業の規模によっては最適な方法ではありません。目的の従業員を探す手間がかかったり、入力作業に時間を要したりするため、従業員数が少ない企業に適した方法といえます。

勤怠管理システムを使う

勤怠管理システムとは、労働時間や休暇の取得、遅刻・早退といった勤怠に関する情報を一元管理できるシステムです。有給休暇についても管理が可能で、入力した勤怠データや入社日などをもとに、自動で有給休暇管理簿を作成できます。

システムによっては、有給休暇の消化状況を一覧などで確認できるため、有給休暇取得が進んでいない従業員や部署の把握にも便利です。従業員数が多い場合でもシステム的に管理できるため、有給休暇の管理を確実に行えます。有給休暇の管理や勤怠管理の効率化を図りたい事業者におすすすめです。

有給休暇の管理を効率化する方法

有給休暇の付与日数や取得日数は従業員によって異なるため、従業員数が多いほど管理の負担がかかります。ここでは、有給休暇を正確かつ効率良く管理するための方法をご紹介します。

有給休暇付与日を同一にする

有給休暇付与日の同一とは、「有給休暇の斉一的取扱い」のことです。労働基準法には明記されていませんが、厚生労働省より通達が出ています。
従業員によっては、勤続年数6ヵ月を待たずに有給休暇を付与するなどして、全従業員の基準日を一律に定めます。有給休暇の斉一的取扱いは、有給休暇管理業務の効率化を図る目的で、導入は任意となるルールです。

ただし、必ず法律で定められた基準以上の条件にする必要があるため、入社の時期によってどうしても有利不利が発生します。そのため、基準日を年に複数回設けることや入社日に応じて付与日数の調整を行うなど、従業員あいだでの差が少なくなるように工夫をする必要があります。

調整が難しい場合は、月初めや給与の締日など、月の中で同じ日に付与する運用も可能です。この場合であれば毎月一度、該当者の確認を行うだけなので、有給休暇管理業務の簡略化につながります。
なお、どのような規定にした場合でも、法律に定められた有給休暇付与日数を下回ることはできません。

出典:厚生労働省 PDF「労働基準法の年休制度の解説

勤怠管理システムを導入する

勤怠管理システムは、労働時間だけでなく有給休暇の管理も可能です。従業員の入社日と、有給休暇付与ルールを設定しておけば、それに応じてシステム的に有給休暇が付与されるため、手間がかかりません。
有給休暇の取得状況に合わせて残日数を自動で計算したり、翌年へ繰り越しできる有給休暇の日数もシステム的に算出されたりするため、有給休暇の管理におけるミスが軽減できるでしょう。

さらに、休暇の取得申請をシステム上で行えるサービスもあります。このようなシステムを利用すれば、有給休暇関連の業務全般を大幅に効率化できます。

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有給休暇管理簿で有給の適切な管理を行おう

有給休暇管理簿は、有給休暇の管理になくてはならない書類です。紙やExcel、勤怠管理システムといった作成方法の中から、自社に適した方法を選択しましょう。それぞれ異なる特徴を持っているため、従業員数やそのほかの勤怠管理方法に応じて選ぶのがおすすめです。

有給休暇の管理に加え、勤怠管理業務全体の効率化を目指すのであれば、「奉行Edge 勤怠管理クラウド」の利用をご検討ください。有給休暇の自動付与や有給休暇管理簿の出力、各種申請手続きのデジタル化などが可能です。
併せて、勤怠のオンライン打刻や勤怠データの自動集計、給与計算システム「給与奉行クラウド」などとの連携といった機能も利用できるため、勤怠管理の効率化につながります。ぜひご活用ください。

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山本 喜一

■監修者
山本 喜一

特定社会保険労務士、精神保健福祉士
大学院修了後、経済産業省所管の財団法人に技術職として勤務し、産業技術総合研究所との共同研究にも携わる。その後、法務部門の業務や労働組合役員も経験。退職後、社会保険労務士法人日本人事を設立。社外取締役として上場も経験。上場支援、メンタルヘルス不調者、問題社員対応などを得意とする。

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