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IFRS(イファース) とは
OBC360°用語集
IFRS(イファース)とは、正式名称をInternational Financial Reporting Standardsといい、ロンドンを拠点とする民間団体である国際会計基準審議会(IASB)が定める会計基準を指します。
これまでの会計基準は国ごとに設定されてきましたが、経済活動のグローバル化の動きが加速する中「世界共通の会計基準」の必要性が高まり設定されました。
資産から負債を引いた額を企業価値とするIFRSの会計基準は、日本の会計観と大きな違いがあります。日本では、利害関係者全般に向けた利益算定・経営分析の手段だと会計基準を捉えるのに対し、IFRSは投資家に企業価値を開示する意図を持ちます。
具体的には、大きく以下のような3つの特徴があります。
① 原則主義
日本では会計基準、解釈指針、実務指針を細かく規定する細則主義を採用していますが、IFRSでは解釈指針を除き、詳細な規定や数値基準をほぼ表記しない原則主義を用います。自由度について国の事情に応じて自由に解釈できる一方、その根拠を分かりやすく示す必要があり、注記を丁寧に行わなければなりません。
② 貸借対照表重視
IFRSは、投資家や債権者が求める資産価値を示す意図から、将来キャッシュフローにおける現在価値を重視し、貸借対照表を基準とします。
企業の収益力を重視する日本では、損益計算書を基準とします。例えば、買収価格と帳簿上の価格差・・・いわゆる「のれん代」は、日本の会計基準では資産として計上されつつ毎年減損処理を行うことになります。
一方、IFRSでの「のれん代」は、資産計上はするものの償却費は計上されません。つまり、IFRSを用いると利益をより多く示すことができます。
③ グローバル基準
IFRSでは、基準を世界に置いているため、議論や定義ともに英語を用いて言語差異を防ぐ工夫がなされます。
海外にも拠点を置いている企業などは、IFRSを導入することで管理コスト削減や子会社業績の正確な把握、迅速かつ適正な経営判断が可能になります。また、海外投資家への説明が容易になり、海外での資産調達がスムーズになります。
しかし、会社法で「国内企業は日本基準で資産価値を提示すること」が求められているため、IFRSを導入する場合は日本基準の帳簿も用意しなければなりません。また、IFRS仕様の帳簿は大量の注記を要します。会計基準自体が難しく、改正も頻繁に行われるため、事務処理の負担が増える可能性もあります。IFRS導入に際しては、そうした負荷を軽減するため、対応できるシステムや外部アドバイザーなどが求められます。
IFRSは、2005年にEU内の上場企業に対し適用が義務化され以降、2016年現在では130以上の国及び地域で採用されています。日本でのIFRSの導入企業は2017年2月時点で135社(金融庁調べ)に上ります。
日本政府は2012年にIFRSに関する中間的論点整理を公表したものの、2019年6月現在において導入判断は企業に一任されており(任意適用)、強制導入については今後もしばらく検討が続くと見られます。