EDI取引とは?業務メリットや電子帳簿保存法などシステム導入時の注意点を解説

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経済産業省が2021年に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、ここ数年、商取引のデジタル化が進んでいるようです。
2020年以降は新型コロナウイルス感染症対策として電子取引が推奨されるようになり、インボイス制度がスタートすると、今後ますます市場は拡大していくことが予想されます。
そんなデジタル商取引の1つに、EDI(Electronic Data Interchange)があります。
今回は、「EDI」について、業務上のメリットや最近よく耳にするBtoB ECなどとの違い、システムを導入する際に押さえておきたいポイントなどについて解説します。

目次

EDI取引とは

EDIは「電子データ交換」という意味で、EDI取引とは、商取引で発生する発注書や納品書、請求書などの証憑類を電子化し、取引先と専用回線で接続してデータでやり取りする取引のことを言います。
データ変換システム(EDIシステム)を使用し、お互いの販売管理システムに直接取引データを送受信します。これにより、取引で発生する多くの書類を印刷して郵送したり、受け取った紙の書類をもとに手作業で自社システムに入力したりする作業がなくなります。

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ただし、取引データを使って相互に業務を自動化するためには、異なる販売管理システムを使用していても問題ないよう取引先と事前にルールを取り決めておく必要があります。
ルールの取り決め方には、主に次の3種類があります。

●個別EDI

取引先ごとに、通信方法やデータ形式・識別コードなどのルールを取り決めます。
取引内容やお互いの特性に合わせて設計できますが、取引先ごとに取り決めたルールに対応するEDIシステムが必要になります。また、ルールそのものは発注者優位で決められることが多く、売り手企業が買い手企業に合わせる傾向がみられます。

●標準EDI

取引規約や運用ルール、フォーマット、データ形式、識別コードなどのルールが標準化されたもので、対応するEDIシステムを介して取引先のシステムへデータを送信します。標準規格となっているため、複数の取引先と送受信ができ、すでに多くの企業で利用されています。
代表的な標準EDIには、中小企業間取引に標準化された「中小企業共通EDI」や流通業者の取引用に標準化された「流通BMS」、商取引情報を振込等に添付送信する「全銀EDI」などがあります。

●業界VAN(標準EDI)

標準EDIの中でも、特定の業界に特化した「業界VAN」というネットワークサービスを利用し、業界単位で雛形となるルールを規定したものを指します。特定の業界でしか使用されないため、利用できる取引先は限られますが、業界共通のコードや規格が標準化され、同じ業界の企業と多くの取引が行えます。

EDI取引と「EOS」「BtoB-EC」との関係

EDI取引と混同されがちなものに、「EOS」や「BtoB-EC」があります。これらとEDI取引がどのような関係にあるか、整理してみましょう。

●EOS

EOS(Electronic Ordering System)は、ネットワークを利用してタブレットなどから発注をする電子受発注システムのことをいいます。1970年代より小売業や卸売業の中で導入され始め、現在は在庫切れ・過剰在庫を防ぐことを目的に幅広く活用されています。
入力した情報は、ホストコンピューターを経由して発注先に送られるので、EDI取引の仕組みが必要になります。そのため、今はEDIの仕組みの一部として利用され、受発注だけでなく出荷や納品、請求支払いまでを一括で行うことができるようになっています。

●BtoB-EC

BtoB-ECは、企業間取引をECサイト上で完結させる仕組みで、「企業間のネット通販」とも言えます。インターネットを介して行うので、インターネットが繋がる環境とパソコンやスマートフォン、タブレットなどのデバイスがあれば取引でき、商圏を全国に拡大できます。
一般のECサイトと違う点は、誰でも買い物ができるわけではなく、商取引をEC化することが目的のため、取引先ごとに表示価格を変えたり商品の閲覧表示制限が設定できたりします。
EDI取引が「取引をデジタル化して業務効率化を図る」ものであるのに対し、BtoB-ECには取引先とのコミュニケーションや商品売買に関するCRM視点もあるため、「BtoB-ECの一部がEDI取引」という考え方もあります。実際、経済産業省で実施されている電子商取引の市場調査では、BtoB-EC市場規模にEDI取引の流通総額も含まれています。


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EDI取引がもたらす業務メリット

EDI取引を採用すると、受発注業務において次のようなメリットがあります。

■人的ミス・人的コストの削減

EDI取引になると、伝票データをシステムに取り込む作業が自動化されるので、買い手企業はシステム入力の手間を減らすことができます。そのため、紙の証憑類でやり取りする場合に起こりがちな、メモによる情報伝達ミスやシステムへの入力ミスなど人為的なミスが発生しにくくなります。

中小企業庁 PDF「平成29年度中小企業・小規模事業者決済情報管理支援事業調査報告書」

出典:中小企業庁 PDF「平成29年度中小企業・小規模事業者決済情報管理支援事業調査報告書」より

また売り手企業でも、送信ミスや印刷したりFAXや郵送の対応をしたりする必要がなくなるため、相互に人的コストも削減することができます。

■経費コストの削減

紙の証憑類での取引には、書類を出力する印刷コストや郵送・FAXにかかる発送コストなどの経費が発生します。EDI取引はデータでやり取りするため、こうした経費コストを削減することができます。
また、書類の保管場所を確保する必要もなくなるため、オフィスの省スペース化にも貢献します。

■業務時間の削減

例えば決済業務にも、受発注業務と同様に手作業になる業務が多くあります。
入金のために銀行やATMに並んだり、支払予定表や入金予定表と突合しながら消込作業を行ったりするアナログ作業の時間は、実際の感覚以上に時間を費やしているものです。特に、売掛金と入金額に差異があった場合、紙の伝票の山から違算の原因を探さなければならなくなります。毎月の締め作業は当然ながら、決算期にこうした事態が起きるとその他の業務にも影響しかねません。

中小企業庁 PDF「平成29年度中小企業・小規模事業者決済情報管理支援事業調査報告書」

出典:中小企業庁 PDF「平成29年度中小企業・小規模事業者決済情報管理支援事業調査報告書」より

EDI取引では取引情報が全てデジタル化され、取引先のシステムに自動で取り込まれるため、手作業の工程自体がなくなり、大幅な業務効率化が実現します。結果として業務のスピードアップも可能となり、業務の生産性向上に役立ちます。
また、急な欠品が生じた際にも迅速に発注ができ、納品までのタイムラグを極力減らすことができます。タイムラグがなくなれば、過剰在庫を抱えるリスクも回避できるようになるでしょう。

■内部統制のサポートになる

内部統制の目的のうち「財務報告の信頼性」を担保するためには、取引情報の適正も重要です。
EDI取引であれば、外部取引先からのデータは相互に標準化されたルールに基づき送受信されるため、取引情報の信頼性が確保できます。そのため、内部統制をスムーズに遂行するためのIT技術となります。

主流はWeb-EDIシステムへ・・・
システム導入の際に押さておきたいポイント

これまでのEDI取引には、通信インフラにISDN(固定電話回線)が利用されていました。
しかし、2024年1月でISDNサービス提供が終了すると発表されて以降、今後のEDI取引への影響が懸念されてきました。(EDIの2024年問題)そのため現在は、従来のEDIシステムからインターネットを介して利用できるWeb-EDIに変わりつつあります。
Web-EDIは、従来の固定電話回線を利用するEDIシステムと比べて次のような違いがあります。

  • Webブラウザを介して簡単に利用できるため、導入コストを抑えられる。
  • データの通信速度が速く、よりスムーズに業務を遂行できる。
  • 従来のEDIシステムでは扱えないケースが多かった画像や漢字データを問題なく送受信できる。
  • EDIプロバイダーにより最新セキュリティが適用されているため安全性が高い。

現在EDI取引を従来型のシステムで行っている場合はもちろん、これからEDI取引を採用する場合も、Web-EDIの特性をしっかり理解して導入を進めましょう。
また、Web-EDIを検討する際には、次のようなポイントを押さえておくことも重要です。

1.販売管理システムとの連携方法を確認する

現有の販売管理システムがWeb-EDIを利用できるかどうかは、事前に確認する必要があります。場合によっては販売管理システムの改修やリプレイスが必要になることもあります。
市場には、Web-EDIを利用できるよう環境構築がされている販売管理システムや、商蔵奉行クラウドのようにWeb-EDIとAPI連携できるシステムなどが数多く提供されています。Web-EDIを検討する際には、販売管理システムとの連携性をチェックしておきましょう。
また、Web-EDIの通信プロトコルに取引先が対応していないと、そもそもEDI取引はできません。Web-EDIには複数の通信プロトコルがあるため、どの通信プロトコルに対応しているのかも忘れずに確認しておきましょう。

2.標準EDIに対応するWeb-EDIを選ぶ

個別EDIは、取引先の数だけルールの取り決めが必要なり、そのたびに自社の販売管理システムとEDIシステムの連携を再構築しなければなりません。取引先の了解を得られるなら、汎用的に使用できる標準EDIを利用するのがオススメです。
例えば、「中小企業共通EDI」は、見積書や請求書などの証憑類を「共通標準EDIフォーマット」で標準化し、一度仕組みを構築すれば複数の企業とEDI取引ができるようになります。
商蔵奉行クラウドは中小企業共通EDIに対応していますので、同様に中小企業共通EDI対応のWeb-EDIを導入している取引先と取引データの送受信が可能です。

EDI取引は電子取引の1つ、電子帳簿保存法にも注意を!

EDI取引は、電子帳簿保存法では「電子取引」にあたります。2022年1月の改正では、電子取引における紙保存が禁止され、電子取引を行う全ての企業にデータ保存が義務化されています。
電子帳簿保存法における電子取引の保存要件は、次のようになっています。

<電子取引制度の保存要件>
  1. ● システム概要を記した書類の備付け

    1. ※ 自社開発のプログラムを使用する場合のみ
  2. ● 見読可能装置の備付け

  3. ● 検索機能の確保

    1. ①取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索の条件として設定することができること
    2. ②日付又は金額に係る記録項目についてはその範囲を指定して条件を設定することができること
    3. ③二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること
      ※ 税務職員による質問検査権に基づくデータのダウンロードの求めに応じることができる場合には②③の要件は不要
  4. ● 次のいずれかの措置を講じること

    1. ①タイムスタンプが付与されたデータを受領
    2. ②速やかに(またはその業務の処理に係る通常の期間を経過した後速やかに※)タイムスタンプを付与
      ※ 取引情報の授受から当該記録事項にタイムスタンプを付与するまでの各事項に処理に関する規程を定めている場合に限る。
    3. ③データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステムまたは訂正削除ができないシステムを利用
    4. ④訂正削除の防止に関する事務処理規程を策定、運用、備付け

EDI取引のデータは、そもそも「財務報告の信頼性」が高いので、紙に出力して保存する必要はありません。また、上記要件の「4つの措置の選択」に関しても、EDIシステムは「③データの修正削除を行なった場合にその記録が残るシステム、または修正削除ができないシステム」に該当するため、基本的には電子帳簿保存法上の問題はありません。
ただし、販売管理システムや連携する会計システムも、電子帳簿保存法の保存要件を満たす必要があります。商蔵奉行クラウドや勘定奉行クラウドのように、電子帳簿保存法に完全対応しているシステムなら安心です。

なお、EDI取引においても、国税関係書類データの保存期間は各税法に定められている通り「その事業年度の確定申告の提出期限の翌日から7年間(赤字の場合は10年間)」となっています。

おわりに

中小企業では、従来のFAXやメールでの受発注が中心となっており、大手企業に比べてEDI取引を行っている企業はまだ多くありません。しかし、業務効率や生産性、昨今のデジタル化の情勢を考慮しても、電子取引は今後なくてはならない手段になってくるでしょう。
EDI取引は、業務のデジタル化の1手法でもあります。商蔵奉行クラウドのように初期費用0円から始められて企業成長に合わせて拡張できる販売管理システムなら、Web-EDIにも対応でき、運用の手間や費用をかけずに業務の効率化が図れます。無料のお試し期間もありますので、一度利用してみてはいかがでしょうか。

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