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有給休暇の取得率を上げるには?押さえておきたい取り組みと勤怠管理システム活用例

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2019年4月から年次有給休暇の年5日取得義務が施行されて以来、厚生労働省による「年次有給休暇取得促進期間」の取り組みなどにより、2021年には有給休暇の取得率が過去最高となりました。
しかし、政府の目標にはまだ遠く及ばないのが実情で、企業にはさらなる取得率向上が求められています。
そこで今回は、有給休暇の取得率を上げるには、どのような取り組みが必要か、企業の成功事例なども踏まえてご紹介します。

目次

有給休暇の取得率とは

年次有給休暇(以下「有給休暇」)とは、賃金が支払われる休暇日のことで、法律で定められた従業員の権利です。労働基準法第39条では、次の要件(下線部分)をいずれも満たしている従業員は、正社員・パートタイムなど雇用形態にかかわらず、年10日の有給休暇を取得できるとされています。

労働基準法第39条

出典:「労働基準法(e-Gov)

有給休暇の取得率は、有給休暇を従業員がどのくらい取得したかを示すもので、次のように1年間で全従業員が取得した有給休暇の日数を、企業が1年間に全従業員に付与した有給休暇の日数で割って求めます。(ただし、前年の繰越分は分母に含めません。従業員の入社時期も考慮する必要はありません)

有給休暇の取得率

有給休暇取得率の向上で得られる企業側のメリット

有給休暇を取得することは、心身の疲労回復やリフレッシュ効果など、従業員にとって大きなメリットがあります。一方、企業にとっても「有給取得率が高い」ことは大きなメリットをもたらします。

例えば、従業員に充分な休息をとらせることで、仕事に対するモチベーションや集中力が高まれば、仕事の質が上がって生産性の向上が期待できます。
昨今は、育児・介護・自身の病気療養などの事情で働く時間が制限される人も増えており、そのような従業員からは、有給休暇が取得しやすいことで「働きやすく・働きがいのある職場」として満足度が高まり、定着率も高まるでしょう。
また、有給休暇の取得率は、転職者や就活生などの間でも注目されています。ここ数年は、求職者の間でも職場の働きやすさを重視する傾向にあり、有給休暇の取得率が高いほど「福利厚生が充実していて従業員が働きやすい企業」として認識されやすくなります。従業員を大切にする職場としてイメージアップにもつながっているのです。

有給休暇の取得率だけでは、従業員の休み方の実態を把握することはできません。有給休暇取得推進の取り組みに関しても、取得日数のみを目標として掲げている企業が大多数で、取得率の目標値を設定している企業は多くはありません。
しかし現代は、時間をかけて成果を求めるのではなく、時間あたりの生産性を高める働き方・休み方が求められています。有給休暇の取得率を高めることは、今や企業力維持・向上戦略にも欠かせない指標とも言えるでしょう。

有給休暇の取得率が「なかなか上がらない」理由

厚生労働省が公表している「令和4年就労条件総合調査」によると、2021年に企業が付与した有給休暇(繰越日数を除く)取得率は過去最高の58.3%を記録したものの、政府では「2025年までに有給休暇取得率を70%まで引き上げる」という目標達成には、まだ克服すべき壁があるようです。

令和4年就労条件総合調査

出典:厚生労働省PDF「令和4年就労条件総合調査の概況

有給休暇の取得率が思うように上がらない理由には、従業員間で「有給休暇取得へのためらい」があると考えられています。
厚生労働省の委託調査では、約4割の労働者が有給休暇取得にためらいを感じており、「みんなに迷惑がかかる」「後で多忙になる」「仕事の調整が手間」「職場の雰囲気で取得しづらい」などの理由があげられていました。

有給休暇取得へのためらい

出典:厚生労働省 委託調査PDF
令和4年度「仕事と生活の調和」の実現及び特別な休暇制度の普及促進に関する意識調査報書

先述した「令和4年就労条件総合調査」でも、企業規模が小さいほど取得率が低い傾向も見えており、一人が休むと他の従業員に負担がかかるという実態が窺えます。働き方改革が進んでいる最中とはいえ、コロナ禍のピークを過ぎた現在も、こうした「ためらい」は解消されていないようです。

一方、有給休暇を「何日か残しておきたいと考えていた」人は62.5%、「使うつもりがなかった」人は6.4%となっており、その理由は「病気やけがに備えて残しておきたいから」(64.2%)「急な用事のために残しておく必要があるから」(55.0%)が上位を占めていました。

有給休暇取得へのためらい

出典:厚生労働省 委託調査PDF
令和4年度「仕事と生活の調和」の実現及び特別な休暇制度の普及促進に関する意識調査報書

これは、一見すると企業が関与しない個人に起因する問題にも思えますが、「様々な事情により配慮を必要とする従業員に適した休暇制度がない」とも言え、従業員が有給休暇を「保険」として活用していると推測できます。
有給休暇は、従業員が心身の疲労を回復させ、健康で充実した生活を送るために付与される休暇の1種であり、権利です。そのため有給休暇は、事業の正常な運営を妨げない限り、従業員が請求した時季に取得させなければなりません。(事業に支障が出る場合は、時季変更権で他の時季に有給休暇を与えることができます)

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現のためには、「労働時間や休日数、有給休暇の取得状況など、従業員の健康と生活に配慮し、多様な働き方に対応したものへ改善することが重要です。有給取得率を向上させるには、有給休暇を取得しやすい職場の雰囲気づくりや、目的に応じて取得できる法定外休暇を導入するなど、従業員がためらいなく取得できる社内体制を整備することが必要なのです。

有給休暇の取得率を高める効果的な6つの取り組み

では、具体的にどのような取り組みを行えば、有給休暇の取得率を上げることができるのでしょうか。
有給休暇の取得率が上がらない理由は、「職場の意識」「マネジメント体制」「仕事のやり方」など、企業によって課題は様々です。
厚生労働省では専用サイトを設け、自社の課題を“見える化”する「自己診断」チェックシートや課題に応じた対策を細かく紹介しています。

働き方・休み方改善ポータルサイト

これら対策案を参考にしながら、次のような取り組みも実施し、有給休暇の取得率を高めていきましょう。

  1. 社員に対して継続的に啓蒙活動をする
  2. 有給休暇の取得目標を設定し管理する
  3. 計画的付与制度を活用する
  4. 特別な休暇制度を導入する
  5. 時間単位での有給休暇付与制度を導入する
  6. 有給休暇取得計画表を作成し管理する

1.社員に対して継続的に啓蒙活動をする

有給休暇取得の促進には、取得しやすい風土・雰囲気づくりが重要です。「なぜ働き方や休み方を見直す必要があるのか」への理解を促し、ためらいなく有給休暇を取得できるよう社内啓蒙を継続的に行いましょう。
例えば、厚生労働省では、社内で活用できる啓発ポスターやリーフレットなどの資料を提供しています。こうしたツールを活用して、社内報・イントラネットや会議室など従業員の目に留まりやすい場所に掲示し、継続的に啓蒙しましょう。

厚生労働省 働き方・休み方

出典:厚生労働省「厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト

社内周知については、世間の動向だけでなく、自社の目的や方向性を示すことも大切です。特に「休暇を取得したくても、上司や同僚に気兼ねして休めない」など企業の風土や雰囲気に課題がある場合は、自社の働き方・休み方改革の方針をトップメッセージとして示しつつ、上長から率先して有給休暇を取得するなども必要です。
また、プライベートの充実を図ってリフレッシュすることの重要性を周知し、夏季休暇や年末年始、大型連休など、まとまった休暇タイミングと合わせて取得するなど、取得しやすい方法を提案しましょう。

2.有給休暇の取得目標を設定し管理する

有給休暇取得のしやすさは、有給休暇取得に関わる管理職の考え方やマネジメントによって左右されることがあります。そのため、有給休暇取得状況は、全社平均の数値だけでなく部署、職種、職位、個人単位まで落とし込み、取得日数だけでなく取得率も含めて目標設定することが重要です。
目標達成に満たない場合は、該当者やその上司に対し、今後の有給休暇取得予定日を確認したり、業務スケジュールや配分を調整するよう働きかけたりすることで、確実な達成へと導きます。
その際、有給休暇取得に対するアラートをタイムリーに発信できるシステムがあると便利です。例えば、奉行Edge 勤怠管理クラウドには有給休暇取得勧奨アラート機能があり、一定期間での有給休暇取得目標が未達の従業員および関係者に自動でアラートされます。アラートメール内で、全社・部門などの目標を紹介すれば、意識啓蒙にもつなげることができます。

奉行Edge 勤怠管理クラウド

3.計画的付与制度を活用する

計画的付与制度は、労使協定を結べば計画的に有給休暇取得日を決めて取得させることができる制度です。現在は、取得が義務づけられている年5日の有給休暇取得に採用している企業も多いですが、5日を超えて計画的付与の対象とすることも可能です。計画的付与を5日以上にすれば、有給休暇の取得率も向上が見込まれ、取得義務化を強力に推進することもできます。ただし、有給休暇の全日数のうち、5日は個人が自由に取得できる日数として必ず残す必要があるため注意しましょう。
計画的付与制度には、全社一斉に休業する「一斉付与方式」、班やグループ別に交替で取得させる「交替制付与方式、個人が取得計画に基づいて取得する「個人別付与方式」のほか、夏期休暇、年末年始休暇と組み合わせて大型連休とする方法や、飛び石連休に取得するブリッジホリデーなどもあります。

年次有給休暇の計画的付与制度

出典:厚生労働省 PDF「年次有給休暇の計画的付与制度

勤怠管理システムなら、有給休暇の計画的付与・消化の管理を自動で行えるため、効率的な管理ができます。例えば奉行Edge 勤怠管理クラウドの場合、自社に合ったルールで有給休暇を自動付与し、消化・残管理まで一元管理できます。部署別や社員別に有給休暇の取得状況を一目で確認できるため、手作業での集計も不要です。

奉行Edge 勤怠管理クラウド

4.特別な休暇制度を導入する

有給休暇の取得率が伸び悩む要因には、先述したように、「様々な事情に適した休暇制度がない」ことも考えられます。昨今は、病気療養や育児、介護だけでなく、自発的な職業能力開発、地域活動等への参加時間の確保に対するニーズも高まっており、意欲と能力を充分発揮できる環境整備の観点からも、有給休暇制度をはじめとする法定休暇だけでは難しい局面を迎えています。
従業員の個々の事情に対応するためには、有給休暇とは別に、休暇の目的や取得形態を任意で設定できる特別休暇制度を設けることも検討しましょう。
特別休暇制度の代表的な例としては、病気休暇、ボランティア休暇、リフレッシュ休暇、裁判員休暇などがあげられます。「令和4年就労条件総合調査」によると、企業規模に関わらず約6割の企業が特別休暇制度を設けており、複数の特別休暇制度を設けている企業も多く存在します。

特別休暇

出典:厚生労働省 PDF「令和4年就労条件総合調査の概況

特別休暇は、休暇目的や取得形態を労使の話し合いにより任意で設定でき、法定の内容を上回る休暇という位置づけであるため、上記にあげた例と異なる目的の休暇であっても問題ありません。ただし、特別休暇も法定休暇と同じように適正に管理できる仕組みが必要です。
例えば奉行Edge 勤怠管理クラウドの場合、リフレッシュ休暇など様々な企業独自の休日・休暇を自由に設計できます。半日単位・時間単位の取得や残管理の有無なども設定でき、休暇管理を全てデジタル化できます。

奉行Edge 勤怠管理クラウド

5.時間単位での有給休暇付与制度を導入する

有給休暇は原則1日単位で付与することになっていますが、労使協定を結べば、年5日の範囲内で有給休暇を時間単位で取得することができます。(労働基準法第39条4)これにより、通院や子どもの学校行事への参加、家族の介護など様々な事情がある従業員も、「午前中だけ」「2時間だけ」など柔軟に取得しやすくなるでしょう。
時間単位で有給休暇を導入している企業の中には、導入から半年で従業員の2/3が利用し、有給休暇の取得率向上に寄与している企業も現れており、有給休暇取得への心理的抵抗を少なくする効果が期待できます。
時間単位の有給休暇付与制度を導入する場合、労使協定で次の内容を規定し、就業規則に記載する必要があります。(所轄の労働基準監督署への届出は不要です)

  1. 時間単位有給休暇の日数(1年5日以内)

    取得目的などによって対象範囲を定めることはできません。

  2. 時間単位有給休暇の日数(1年5日以内)
  3. 時間単位有給休暇の1日分の時間数(1日分の有給休暇が何時間分の時間単位有給休暇に相当するか)
  4. 1時間以外の時間を単位として与える場合の時間数
    (2時間単位など1日の所定労働時間を上回らない整数の時間を単位に)

また、勤怠管理システムでも、規定された内容で有給休暇消化管理ができる仕組みが必要です。
奉行Edge勤怠管理クラウドの場合、有給休暇でも特別休暇でも、「休暇設定」ページの「時間単位休暇」を「あり」にするだけで、時間単位での管理もできます。

奉行Edge 勤怠管理クラウド

なお、時間単位有給休暇の取得分については、取得義務化された5日分から差し引くことはできないため注意しましょう。

6.有給休暇取得計画表を作成し管理する

同僚や上司に気兼ねすることなく有給休暇を取得しやすい雰囲気をつくるためには、組織単位で有給休暇取得計画表(カレンダー)を作成するのも効果的です。
年単位や月単位など、長期的なスパンで取得予定を提示すれば、連続休暇・長期休暇も取得しやすくなります。「先の休暇予定は設定できない」「連続ではなく、業務の繁閑を窺いながら休暇をとりたい」などの声があがる場合は、月単位での管理がオススメです。
有給休暇取得計画表の管理は、Excelなどで作成する方法もありますが、更新のたびに修正し直すのは労力がかかります。勤怠管理システムなどで取得した申請から有給休暇日を収集し、スケジュール登録できれば効率的でしょう。例えば、奉行Edge 勤怠管理クラウドの場合、個人の時季指定・計画的付与による有給休暇日をWebワークフローで効率的に収集し、事前にスケジュール登録することもできます。

有給休暇取得計画表

奉行Edge 勤怠管理クラウドで休暇管理を効率化できた企業事例

ここでは、奉行Edge 勤怠管理クラウドを導入して有給休暇取得率を向上させた事例をご紹介します。

事例1:花の舞酒造株式会社様

花の舞酒造株式会社様

花の舞酒造株式会社様では、販売の要となる営業部の定着と採用に苦しんでいました。
「営業メンバーに話を聞いたところ、長時間労働の実態を把握しきれておらず、休暇管理もおざなりになっているという問題に気づきました。こうした状況では、若手の営業メンバーほど心情的に休暇申請を出しにくいはずです。現状を改善し、営業メンバーがプライベートな時間を確保できるようにしなければならないと感じました」
そこで、奉行Edge 勤怠管理クラウドを導入したところ、営業部の働き方が変わったそうです。
「従来は休暇の状況把握をメモに頼っており、管理しきれず誰がいつ休暇を取っているのかわからない状態でしたが、システム導入後は誰がいつ休むかが見えるようになり、交代で休暇を取れる体制になりました。長時間労働も是正できるようになり、対外的な信用度も向上して助成金なども受給しやすくなりました」

事例2:社会医療法人明和会様

社会医療法人明和会様

社会医療法人明和会様では、勤怠管理は長く紙やExcelによるアナログで行われ、抜け漏れや入力ミスが頻発し訂正作業に追われることが常態化していました。
「雇用形態ごとに締め日や手当の計算方法、休暇申請フローなどが異なることで業務が煩雑化し、このままでは有給休暇の年5日間取得義務化にも対応できない恐れがありました」
ちょうど給与・人事業務のデジタル化を図るためシステム改修を検討されており、奉行V ERPへの切り替えと合わせて奉行Edge 勤怠管理クラウドを導入し、勤怠管理もペーパーレス化を進められました。
「労働時間の適正把握に対する課題も解決され、スマートフォンによる勤怠申請で有給休暇の消化状況もリアルタイムで把握できるようになりました。臨時職員と正職員の締め日や残業時間手当の計算方法、休暇申請フローなど、多くの独自ルールをシステムに合わせたことで、導入当初は問い合わせの頻度も多かったですが、現在は1日1件程度にまで減少しています。重要なのは、実際に使ってもらいメリットを実感してもらうことですね。」

おわりに

従業員の健康を守ることは、企業の義務の1つです。また、健康経営の視点から見ても、有給休暇取得の推進は後々経営に大きなメリットを生み出してくれます。
働き方の多様性やワーク・ライフ・バランスが重視されている今こそ、奉行Edge 勤怠管理クラウドのような有給休暇取得率向上をサポートする勤怠管理システムを相棒に、従業員が心身ともにストレスなく働ける環境づくりを目指しましょう。

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