導入事例
東武グループ
- 所在地
- 東京都墨田区
- 従業員数
- 東武グループ 19,858名(2012年3月末現在)
- 売上高
- 東武グループ 7,972億円(2012年3月期)
課題と効果
- 課題
- IFRS(国際財務報告基準)への対応に伴い、グループ子会社の連結決算早期化を実現する必要があった
- グループ子会社では個社ごとに異なるシステムが導入されていた
- 効果
- グループ各社の決算早期化のため、比較的中小規模の子会社について、共通の会計システムを導入し、業務を改善することで経理業務の効率化を図った
- 奉行V ERP Enterprise Group Management-Editionで共通基盤を提供し、データセンターで一元管理したことでグループ全体での運用維持コストの削減につながった
導入前の課題と導入に至る経緯
グループの業務改善による連結決算早期化を目指す
東武鉄道
グループ事業部 課長岩井 健 氏東武鉄道 グループ事業部関岡 美樹 氏
「IFRS対応準備のためグループ内の決算日を統一する必要がありましたが、当時、連結子会社95社の内、82社が3月決算ではない状況でした。」東武鉄道 グループ事業部 課長の岩井 健氏は当時を振り返る。
決算月の統一自体は難しいことではないが、従来から行っていた翌月内開示を維持するには実質7営業日で各社が決算を完了する必要がある。プロジェクトでは、グループ各社へのヒアリングやアンケート調査を行うことで、決算早期化の阻害要因を洗い出し、業務改善施策の検討を重ねた。
プロジェクトを進める中で、子会社における業務の課題や問題点も見えてきたと、グループ事業部の関岡 美樹氏は話す。
「グループ企業は規模も大小様々あり、経理体制やスキルも異なります。経理担当者が他の業務と兼務しているケースもありますし、長年経理を担当されている方や突然経理担当になった方など経験も多様です。会計システムも個社ごとに異なり、企業間の円滑な情報共有や相互協力なども充分に行うことが出来ない状況でした。」
このような中、体制をそのままに決算早期化だけを進めるのは難しいと判断。比較的中規模・小規模の子会社については、共通の会計基盤を導入することで、経理業務の効率化を図りながら、決算早期化およびIFRS適用への対応を目指すこととなった。
システム選定のポイント
データ連携の柔軟性と、誰もがすぐに使える操作性がポイントに
東武ビジネスソリューション
マネージャー中野 輝亮 氏東武シェアードサービス 取締役
ファイナンス・
アカウンティング事業部長種村 守 氏
新たな会計基盤の選定においては複数社を比較検討した。選定時のポイントについて、同グループのシステム部門を担う東武ビジネスソリューション マネージャーの中野 輝亮氏は次のように語る。
「操作画面がユーザーフレンドリーなことと、フロントシステムからのデータ連携が可能であることが重要でした。奉行V ERPはこの点が魅力的でした。」
当時、多くの子会社では、会計システムへの入力はフロントシステムから出力した帳票を基に手入力しており、システム間の連携時に業務負荷がかかっていた。その他にも、グループ会社の科目体系は、連結財務諸表の科目体系とは異なっている場合が多く、グループ各社は、連結決算用の集計に時間を要していた。そのため、集計時間の短縮を図るうえで、連結パッケージの科目体系で出力できる「出力様式登録」機能も評価ポイントとなったと中野氏は話す。
また、東武シェアードサービスの取締役 ファイナンス・アカウンティング事業部長の種村 守氏は、グループ子会社の業務を担ってきた立場から、操作性に対する重要性を語る。
「大規模なシステムを子会社全体に展開するという話もありましたが、グループ子会社の約7割にあたる企業が中小企業ですので、異なったスキルを持つ担当者が誰でも短期間で使い始められる、使いやすいシステムである必要がありました。」奉行シリーズは、同グループ内の子会社で利用実績が最も多く、使いやすさに定評があった点も安心ができた。
比較検討の結果、必要とする機能を十分に備えながら操作性がシンプルで使いやすい点や、データ連携の柔軟性による効率化が期待できる点を評価し、同グループの共通会計基盤として「奉行V ERP」を導入することとなった。
システム概要
奉行V ERPによるサービスを提供
東武グループでは、会計・固定資産管理・人事労務の範囲に、グループ企業に最適化されたモデルである「奉行V ERP Enterprise Group Management-Edition」を導入。プロジェクト立ち上げから約1年後の2011年7月より、共通基盤によるサービスが本稼働を開始した。東武シェアードサービスが主管となり、グループ子会社の要望に応じた利用契約を結び、システムメンテナンスなどの運用維持管理は東武ビジネスソリューションが行っている。
現在はグループ子会社19社が利用しているが、スムーズな導入展開が可能であった。「奉行シリーズの使いやすさもあり、他社システムから切り替えた会社でも、基本操作と主要機能の説明を受けていただくだけで、業務を開始することが可能でした。」(中野氏)

- フロントシステムから勘定奉行V ERPへの仕訳連携を効率化できた
- 出力様式登録や取引先別集計表の活用により連結決算用データの作成を効率化できた
- 個社毎にシステムを構築する必要がなくなったことで、各社の投資負担が軽減され、グループ全体でのコスト削減に寄与できた
- サーバーメンテナンスやバックアップ作業をデータセンターで一元管理できるため、個社での業務負荷を軽減でき、作業を確実に行えるようになった
- シェアード受託会社とのサーバー共通化により、受託会社での起票が可能になった
- グループ共通基盤にしたことで、経理担当者のグループ間での異動時の引継が容易になった
導入効果と今後の展望
決算早期化とグループ内の業務負荷軽減に成功
本稼働から約1年が経過した現在、共通基盤を構築したことにより、「大幅な業務改善につながった会社もあり、決算早期化への効果は十分出ています。」と関岡氏は評価する。
勘定奉行V ERPでは複数の勘定科目を集約し自由な並びに配置できるが、この機能を使うことで個社ごとに異なる勘定科目体系も、連携パッケージで読み込むための統一された科目体系でデータ出力ができる。これにより、子会社の連結決算データの作成を効率化できた。
また、データセンターでの一元管理を実現したことで、グループ個社がサーバーを保有する必要が無くなり、グループ全体での多重投資やメンテナンスにかかる業務負荷の削減につながっているという。「導入以前、バックアップ用のサーバー全体が壊れてしまうというトラブルがあり、データ復旧に苦労した経験がありました。現在はデータセンターで一元管理でき、維持管理も委託できています。自社でサーバーを保有する不安や手間から解放されたのは非常に大きな効果でした。」(種村氏)
今後はグループ全体への展開と管理会計の強化へ最後に今後の展望を岩井氏にお聞きした。
「決算早期化によって各社で経営指標を早く把握できるというメリットもあります。更には、各社の経営情報をタイムリーに分析することへの活用なども検討していきたいと考えています。」
今回、奉行V ERP Enterprise Group Management-Editionの導入によりグループ子会社に共通の会計基盤が整った。同グループでは、今後は債権債務管理をはじめシステム化範囲を広げながら、グループ子会社を共通基盤で管理することも進めていく予定だ。
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会社概要
- 会社名
- 東武グループ
- 売上高
- (2012年3月期):東武グループ 7,972億円、東武鉄道 2,123億円
- 従業員数
- (2012年3月末現在):東武グループ 19,858名、東武鉄道 4,621名
- 事業内容
- 東武グループは、東武鉄道と東武鉄道指定の89社を合わせた計90社で構成され、 住宅・流通・レジャー・交通の4産業部門を展開している。
東武シェアードサービス株式会社
東武グループ各社に対する金銭の貸付、財務・経理・人事・総務・情報システムサービスの提供等を行っている。
東武ビジネスソリューション株式会社
情報処理のコンサルティングに関する業務、情報処理システムの企画・開発・保守・運用・販売に関する業務、WEBコンテンツ及び広告物の企画・開発・保守等を担っている。