導入事例
株式会社JVCケンウッド
子会社での安定運営とコストメリットを実現
- 所在地
- 横浜市神奈川区
- 従業員数
- 13,270人(連結)
- 売上高
- 3,209億円(連結)
課題と効果
- 課題
- グループ子会社が独立運用できる統一の会計基盤が必要となった
- システムの運用コスト削減を目指した
- 効果
- 奉行V ERPの導入により、グループ子会社での安定した独立運用を実現
- 奉行V ERPの導入により、システム運用コストを大幅に削減
導入前の課題
ITインフラの統合で合理化とシナジー強化を目指す
財務戦略部 経理統括部
企画担当 統括マネジャー檮木 節次 氏
株式会社JVCケンウッドは、カーエレクトロニクスや無線機器、音響機器、映像・音楽ソフトなど、「音」「映像」「無線通信」という両ブランドの強みを柱とした事業を展開している。同社の持つブランドは幅広い世代にファンを持ち、その高い品質と性能を誇る製品は長く愛され続けてきた。2008年の経営統合後は、グループのシナジー創出に向けた抜本的な構造改革が行われ、事業や組織の整理が進められた。しかし、ITインフラについては旧グループの事業体に紐づいたものが重複して残っており、早急に合理化を図る必要があった。
財務戦略部 統括マネジャーの檮木(うつぎ)節次氏は当時の状況について次のように振り返る。「経営統合後は、まだ旧グループの事業体(ビクター、ケンウッド)に基づくそれぞれのシステムで決算が行われていました。そのため、JVCケンウッドグループとしての連結数字を把握するには、非常に非効率な手集計の作業が必要となっていました。まずは連結決算を合理化するため、日本ビクターとケンウッドの会計システムの一本化を早急に進めることになりました。それに伴い、日本ビクターの従来システムを使用していたビクターグループ子会社においても、統一して利用できる新たな会計基盤へのニーズが不可避的に発生したのです。」
選定ポイント
コスト面でのメリット
運用のしやすさとサポート体制を重視
グループ子会社に向けた新たな会計システムを選定するにあたり、まず候補に挙がったのがケンウッド子会社で運用実績のあった奉行シリーズであった。導入対象会社の仕訳件数、固定資産物件数等を調査し、奉行製品の持つ機能が今回導入の条件にフィットするかチェックを行った。特に、経営統合当時の外部環境や業況が厳しい中で、コスト面でメリットが出せるかどうかは重要な選定ポイントであったと言う。
また、従来のシステムでは、マスターのメンテナンスや締め処理など、親会社が運用の一部を肩代わりしていたが、新システムでは子会社が独立して業務運用を行うことを目指した。そのため、運用のしやすさやサポート体制も重視すべきポイントであった。
「日本ビクターとケンウッドが一本化して導入したシステムは規模が大きく、システム特性から考えても傘下のグループ子会社で統一利用するメリットがありませんでした。コストを抑えながらも、子会社の経理業務が問題なく回り、月次の会計数字を把握し決算書が出せるなど、基本的なことはきっちりできるもの。しかも導入には極力負荷がかからず、導入後も運用が容易で子会社が独立して安定的に使えるシステム。そういった観点から選択すると、国内ではOBCの提供している奉行V ERPが最適なソリューションと考えました。」(檮木氏)
こうして2010年9月、JVCケンウッドグループでは子会社に向けた共通の会計基盤として奉行V ERPの導入を決定した。
システム概要
子会社14社への短期導入を実現
IT統括部
アプリケーション担当堀 哲也 氏
2011年5月より、子会社14社への奉行V ERPの導入プロジェクトを本格的に開始した。導入範囲を会計・固定資産管理とし、各社のシステム構成に基づいた導入スケジュールを作成、10月からの本稼働に向け、約4か月という短期間で、セットアップから集合研修、データ移行までを集中的に進めた。
限られた短い期間でシステム移行を進めることができた要因について、プロジェクトの推進を担った、IT統括部の堀 哲也氏は次のように話す。
「会計システムと固定資産管理システムとでフェーズを分けながら、子会社14社への導入を一斉にスタートしました。集合研修では各社の導入スケジュールや手順を配布し、作業の進め方を細かくお伝えしました。勘定科目やマスターは親会社の設定と同期を取って統一することとし、導入事務局でひな形となるデータ領域を一括して作成し配布するなど、少しでも子会社の作業負担を減らすように工夫しました。子会社側では、残高移行データの作成や確認などの個別作業に注力頂けた事が、導入期間の短縮に繋がったのだと思います。」

- 親会社と勘定科目やマスターを統一。ひな形となるデータ領域を配布することで、グループ14社への導入を短期間で実現
- 直感的な操作性やサポートの充実により、子会社での独立した業務運用を早期に実現
- 従来のシステムと比較し、運用管理コストを大幅に削減
導入効果
運用コストで桁がひとつ違う効果
子会社の安定した独立運用を実現
財務戦略部
経理統括部 企画担当坂口 真由美 氏
2011年10月、グループ各社で奉行V ERPが本稼働し、各子会社での独立運用が開始した。財務戦略部 経理統括部 坂口 真由美氏は、奉行V ERPの使いやすさを次のように評価する。
「期の途中からの稼働でしたので、データ移行など、導入までは各社での作業が大変だったと思います。プロジェクト中は、子会社さんから問い合わせも多数頂きましたが、導入が終了し稼働開始してからは、奉行V ERPの操作方法や運用についての問い合わせは、ほとんどなくなりました。実際、直感的に操作できる点がとても使いやすく便利に感じます。例えば固定資産管理では、疑問があった場合にも、ヘルプを見れば計算のロジックなども深く理解できるようになっています。」
また、コスト面では目に見える効果が現れていると檮木氏は話す。「システムの運用コストでは、桁がひとつ違うぐらいのメリットが出ています。コスト削減効果は想定通りと言えるのではないでしょうか。」
導入にあたって子会社から不安の声が上がっていた、子会社毎の独立運用も安定してきていると言う。「従来は親会社のシステムを使用し、グループ一体で運用をしていたので、独立運用に移行することに対しては不安の声がありました。また、従来のシステムでカバーしていた機能を一部マニュアル管理に移行するなど、グループ子会社にとっては業務上の負担が増えるマイナス面もあったことは否定できません。しかし、独立運用としたことで、各社の実情に沿った業務の見直しや工夫の余地が生まれ、マイナス面をカバーして概ね安定した運用ができていると思います。」
今後の展望
合併によるシナジー効果のさらなる向上を目指す
JVCケンウッドグループでは、経営統合当時に描いたグランドデザインに基づき、予定通りに計画を進めてきた。「今回、大きなテーマであった会計基盤についての合理化が終わりました。今後とも、旧グループ間の違いの是正を絶えず行い、シナジーをより強めていくことが当面の目標ですが、同時に、IFRS(国際財務報告基準)を巡る動向も注視しながら準備を行っていきたいと考えています。」(檮木氏)
- PDF版ダウンロード
- こちらから導入事例のPDFを
ダウンロードいただけます。 - PDF版ダウンロード
会社概要
- 企業名
- 株式会社JVCケンウッド
- 所在地
- 〒221-0022 神奈川県横浜市神奈川区
- 上場
- 東京証券取引所市場第一部
- 売上高
- 3,209億円(連結)
- 社員数
- 13,270人(連結)
- 事業概要
- カーエレクトロニクス事業、業務用システム事業、ホーム&モバイルエレクトロニクス事業、エンタテインメント事業等の運営および、これら事業を営む会社の株式または持分を保有することによる、当該会社の事業活動の管理