実務経験者だからこそ語れる!スムーズなIPO実現のためのコツ

IPO実現までは少なくとも2年半から3年の期間を要します。しかし実際には、より多くの期間を要する企業が少なくありません。IPO準備を進める上で早期に認識し、対応してすべきポイントとは?逆に対応を急がなくていいポイントとは?
2020年12月11日

1.はじめに

IPO実現までは少なくとも2年半から3年の期間を必要とします。
しかしこれはあくまで「最短」のお話であり、上場までにより多くの期間を要している企業は少なくありません。
時間がかかる/かからないはそれぞれの事業会社の状況によって変化します。しかしながら、上場準備において起こりうる事象をより早い段階で認識し、対応することができれば、上場準備は比較的スムーズに進み、負荷も平準化できるかもしれません。
本コラムでは、事業会社のイチ担当者として、IPO責任者として、経営企画責任者として・・・またコンサルタントとして複数のIPOに複数の立場でかかわった経験から、上場準備を進めるうえで早期に認識し、対応しておくべき事象について、お話したいと思います。

2.上場準備をするうえで必ず起こる問題

上場準備を進めるうえで必ず起こる問題・・・それは当事者間の認識の相違です。
経営者の皆様は上場を安易に考えがち、監査役の皆様はとにかく厳しくなりがち、取締役の皆様はイマイチぴんと来ず何も変わらない、経営管理に携わる皆様は上場基準に合わせるべく焦りがち、その他従業員の皆様は無関心(さらには統制が厳しくなり反発しがち)・・・
少なからずこうなります。

上場準備を進める第一歩は「意識の統一」です。上場の目的、上場によって従業員は何を享受できるのか?を言い続ける必要があります。そして、上場するとはどういうことか?についてもしっかりと浸透させることにより、内部統制や事業計画がスムーズに進むこととなります。

3.上場するとはどういうことか?

上場の目的や従業員のメリットなどは企業ごとに異なりますので、上場するとはどういうことか?について、これまで私が説明してきた中で比較的受け入れられやすかったものを簡単にご紹介します。

上場とは・・・株式を市場(取引所)に陳列し、誰もが売買できるようにすること、です。
そして上場準備とは、市場に陳列してもらうための基準を満たすための作業となります。

陳列してあるものから選んでいただくわけですから、特定の方だけが損得してはならず、等しく情報開示されていなければなりません(インサイダー取引です)。そして、その情報は、正しく、ミスがないものでなければなりません(内部統制などですね)。 さらに、株式売買の基本的な心理は「儲けたい」ですので、事業の成長性を示し(事業計画や計画の修正ですね)、かつその企業がつぶれてはなりません(反社会的勢力との関連や、法令違反などですね)。

これらの基準を満たし、社内のチェック、社外のチェックを受けて初めて「上場申請してもいいよ。」と言われ、上場申請し、取引所に審査していただくことになります。

4.上場準備を進めるうえで認識しておいてほしい重要なポイント

① いつどんな指摘がどこから来るかわからない!
前項で上場するとはどういうことか?というお話をしました。
簡単に言えば、現状を上場基準に合わせる作業をするだけなのですが、厳密には非常に細かく基準が定められています。 それゆえに監査法人や証券会社の皆様も、すべてを俯瞰したうえでご指摘できるわけではなく・・・、課題発現時に都度ご指摘してくださります。
「それ早く言ってよ~」となんど思ったことか・・・。あらかじめ課題が想定できていれば早い段階から手を打つことができますよね?
ご参考までに、私が上場準備過程で直面した課題を列挙します。

・予実管理
・社長案件、事後稟議
・契約書不備
・議事録不備(取締役会はあるのですが、予算策定などの会議議事録)
・役員の部屋
・車
・労務(未払い・時間管理・管理監督者・時間外業務(朝礼・掃除・懇親会・・・))

② 正論と現状の戦い・・・素直にプロに聞く!
上場基準を満たすためにいただけるご指摘は、基本的には正論です。基準に則った理想の形です。
しかしながら、事業会社によってはその通りにできない場面に遭遇することとなります(しかも頻繁に!)。
その際どうすべきでしょうか?答えは簡単です。
必ず指摘内容と現状をプロ(社労士や弁護士などの士業)の方に相談してください。そして、妥協点を見つけ、可能であれば有形のエビデンスを取得してください。 絶対に社内で勝手に判断したり、無理に正論に合わせないでください。

5.上場準備を始めるにあたって早めに手を付けるべき最優先事項

あくまで個人的な所感ですが、事業計画(コーポレートストーリー含む)です。

計画を作るだけであればそれほど苦労はしません。しかし理解すべきは、「数字はあくまで結果である」ということです。
「何をいくらでどれだけ売るのか?そのためにどういう戦略で何人でいくら使うのか?そしてその時の管理指標はどうするか?」まで考えることができているでしょうか?
ここまでやっておかないと、その計画が実現可能なのか説明できません。もし計画通りにいかなかった場合の説明もできません。

前述の通り、株式は「儲けたい」などのメリットを求めて売買されます。その中で成長性は非常に重要な項目となります。 実際に業績予想の修正開示がなされると、株価は動きますし掲示板も盛り上がりますよね?だからこそ手を抜くことはできません。

そして、事業計画(コーポレートストーリー含む)と書きましたが、この「コーポレートストーリー」は見落とされがちですが・・・非常に重要です。
そもそもその企業がなぜ創業されて、何のために何をしているのか?どう歩んできたのか?取り巻く環境はどうなのか? そしてこれからどこに向かっていくのか?これらについてもしっかりと作りこんでください。 そうすることで、上場の意義も明確になりますし、事業計画の重みも変わります。さらには、従業員の人事評価や求める人材像にもつながります。この機会に見直してみましょう。

6.上場準備を始めるにあたってそれほど急がなくてよい事項

これもあくまで個人的な所感ですが、CFOの採用ですね。

最終的には必須ですが・・・上場準備の初期段階で、その企業に必要となる管理者の要件が正しく定義できているでしょうか?
答えは、できていないです。

経理寄りなのか?経営企画寄りなのか?どういった経験が必要なのか?上場準備を進めるうえで組織も変わっていきます。もともと経営管理に責任者の方はいらっしゃると思いますので、急ぐ必要はありません。上場後の体制も含めて考えていくべきです。

まずは、必要に応じてIPO支援家を使うなどし、目の前の業務が回るようにしたうえで、要件を見極めていけばよいと思います。

7.さいごに

上場はあくまで企業活動を進めるうえでの通過点でしかありません。
企業の理念や計画などを明確にし、全社一丸で真摯に取り組めば自ずと上場は近くなります。
そもそも上場のために特別なことをするわけではなく、できていないことをする。企業の成長のためにすべきことをするだけです。
上場準備というキッカケをうまく使って企業の体質を強化していきましょう。

■ IPO準備企業に寄り添い、IPO実現まで伴走する「CNV合同会社」ホームページ
CNV合同会社HP

執筆
CNV合同会社<br>代表社員 庭野 大輔氏
CNV合同会社
代表社員 庭野 大輔氏
事業会社にて役員運転手・経営企画立上げを経て、コンサルタントとして経営企画業務に携わり、複数のIPOに関わる。2020年CNV合同会社を設立し、IPO及び事業計画支援に携わる。
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